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第4話 タロットカード
しおりを挟む「わっ分かったよ僕が行けばいいんだろっ」
永山は、もう回避することができないと悟ったのか、吐き捨てるようにそう言い、立ち上がる。
しかし、永山の足は恐怖で震えているのか、前に進むことがてきない。
「おい、早くしろよって」
「そうよ、時間制限とかあるかもしれないじゃない」
「早く進めって」
クラスメイトは、もうすでに傍観者となり果てている。僕もその1人だが。
永山は、涙で顔を濡らしながら一つ一つの机を掴み、前へと踏み出し始めた。
今日は、雨が降っており、メガネが曇りやすいのか永山のメガネは真っ白になってしまっている。
それに永山は、鼻水が垂れて顔がぐしゃぐしゃだった。クラスメイトは、つまらなさそうに様子を見守るだけで誰も動かない。
「永山君、これ」
クラスのアイドル、九条 桜が永山にポケットティッシュを差し出す。それを見た永山は、ポケットティッシュをすぐに奪い取り顔を拭き取った。そして、無造作に使ったティッシュを制服のポケットに突っ込む。
きっとお礼を言える余裕もないのだろう、永山は九条に目を向けずにまた前へと踏み出し始めた。
九条は、そのことが分かっているのかお礼がないことに怒ることもなくただ永山を見守っている。
そして、九条が教卓にたどり着く。どこかにカメラでもあるのだろうか。それを見計らって、ウラナイシが説明を始めた。
「それでは、永山君、教卓の上にある封筒を開けてカード取り出してくださイ」
永山は、恐る恐るつまみ上げるようにして、封筒をひっくり返し封筒についているセロハンテープか何かを剥がそうとしたが、手先が震えているのか、時間がかかっている。
永山の緊張が伝わったのか教室に緊迫した空気が広がる。
そして、セロハンテープを剥がし終えると永山は、目を瞑りながら封筒に手入れ、一枚のカードを取り出した。
永山の持っているカードには一人の女性が描かれていた。
「The world。世界のカードですネ。正位置の意味は完全。勝利。あなたの勝ちでス。またどこかで楽しみましょウ」
「は、え?」
ウラナイシの予想外な言葉に驚いて目を見開いた永山が目の前から消える。そして、ウラナイシは何事もなかったかのように説明を続けた。
「このように、このゲームではタロットカードの中でも、22枚の大アルカナのカードのみを使いまス。そして、意味は正位置のみデスネ」
「この22枚のカードを毎日学校のどこかに隠しまス。ちなみに、カードの使い方や効果はカードの裏に書いてあるので安心してくださいネ」
「ちょっと待てよ! 永山はどうしたんだ? 死んだのか?」
和台は、椅子から立ち上がりウラナイシに問いかける。
「いいえ、永山君は元の世界に帰りましたヨ。貴方が元々いた世界へネ」
「は? 嘘だ永山は死んだんだろ?」
維持でも、永山が死んだと思いたい和台はウラナイシの言葉が信じられないようだ。
ウラナイシは、相手にするだけ無駄だと思ったのか、和台の質問を無視し、説明を続ける。
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