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第1話 王子が私を探してるってどういうこと? 3
しおりを挟む「フィーネお嬢様、どこにいらっしゃるんですか?」
聞き覚えのある声と足音が大きくなっているのが分かった。
うわあああ、メイドだ。やばい怒られる隠れなきゃ。どこか隠れる場所……。
私は部屋を見渡して隠れられる場所を探す。そして、咄嗟にそこへ飛び込んだ。
「あ、王子様、フィーネお嬢様を見かけませんでしたか?」
「いや見てないよ、君は知ら……あれ? いなくなってる?」
ふー本当に危なかった。私は窓枠を掴みながら聞き耳を立てる。
「どうかされましたか?」
「いや何でもないよ」
開いた窓から入った風がパタパタとカーテンを揺らしてる。私は2人がいなくなった後その窓から部屋に入った。
♫♪♫♫♪♪♪♫
ほんとに地獄すぎる。
こちら、ただいま王子とお庭で楽しいティータイム中です。
あの後結局メイドに見つかって、くるくる縦ロールと厚化粧をされて今ここにいるフィーネちゃんです。
現実逃避してたら敬語になっちゃったよね、うんうん。
そして、この目の前にいらっしゃる王子様全くしゃべらない。
王子は、考え事をしているようで頬杖をついたままずっと庭の薔薇に顔を向けている。
どうすればいいんだああ。
そうだ、こういう時は天気の話でも
「今日はいい天気ですね」
「うん」
王子はこちらに顔を向けずに上の空で返事をする。
終わった。会話が終わった。次だ次、えっと。
テーブルへ視線を向ける。
「この紅茶美味しいですわね、どこのかご存知かしら?」
「うん」
いや、今の質問でうんはおかしいよ? うん、大丈夫か王子?
私は会話を諦めてテーブルにおいてある青い薔薇が書かれたティーカップを手に取る。そして紅茶を口に運ぼうとした時王子がこちらに顔を向けた。
「今日はフィーネ嬢は、あまり喋らないのだね」
私頑張って話しかけたのにすべてなかったことにされてる……。上の空だったもんなあ王子。
「ちょっとまだ体調が悪いのですわ、おほほほほほー」
悔しいけど体調が悪いことにしとこう。うんうん。私の方が精神年齢高いしね。
すると、突然王子はこちらに甘い微笑みを浮かべて、呟いた。
「ところで、今日フィーネ嬢に来ていたお友達はどこのご令嬢かな?」
危うく持っていたティーカップを落としそうになる。
ああ、この王子自分の顔がいい事が分かってるなあ。でも、この質問はよくないと思うんだけど。
なんて返せばいいんだろ。えっと、そう!
「私の前で他の女の話をするなんてあんまりですわ、でも、今日は誰もいらしてなくてよ、幽霊でも見たんじゃなくて?」
この私の前で他の女の話をするなんてっていうセリフなんて悪役令嬢しか使えないよね。初めて悪役令嬢で良かったと思ったかも。
「ふーん。そう、じゃあやる事ができたからそろそろ帰るよ」
なんか分からないけど全身に悪寒が走ったよ。今。
「分かりました。またいらしてくださいませ」
王子は、少し進んだあと一度立ち止まって振り向いた。
「後先に言っとくけど僕らの婚約は近いうちに解消されると思うから」
あっ婚約してたんですねー。
婚約していたことを知らなかったことに罪悪感を感じたフィーネは、来世ではちゃんとストーリーをちゃんとスキップしないようにしようと思ったのであった。
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