ピアノを弾いてたらなんか、色々寄ってくるのですが、どうしたらいいと思います?〜悪役令嬢はもう何も考えたくない〜

序盤の村の村人

文字の大きさ
3 / 25

第1話 王子が私を探してるってどういうこと? 2

しおりを挟む
 ♬♬♬♬♬♬
 
 
「お嬢様! 髪を結ってるので動かないでください!」
「いやだああ」
 
 
 私は朝からメイドに捕まってドレスを着せられたり、髪を結われたりしている。正直ものすごく痛い。髪引っ張りすぎだよ。
 
 
 
「今日はお嬢様の好きな王子様がお見舞いに来るのにどうしたんですか? いつもだったら早起きしてドレス選びに3時間もかけるのに」
 
 
 
 うん。確かにゲームのパッケージの裏にフィーネが王子を追いかけまわしてたような表記あったような気がする。
 
 
 そう、私はモデラートフィーネの体に転生したらしい。
 
 
 フィーネの記憶はそのままあるけど、フィーネの感情は感じられない。
 
 
 
 だから、全く王子に興味を持ってない。ただただピアノが弾きたいと思ってる。
 
 
 
 
 
 
 それにしても、こんなに長くピアノに触ってないのは初めてかもしれないなあ。
 
 
 私は自分が手のひらを開いたり閉じたりするのを眺める。
 
 
 ピアノが弾きたい。
 
 
 私は椅子から立ち上がる。
 
 
 
「ピアノを見つけよう」
「待ってくださいフィーネお嬢様! まだ終わってませんよメイクもしてないのに!」
 
 
 
 走る前の準備運動って大切だよね、ということで屈伸してと。
 
 
 
「お嬢様!?」
 
 
 自慢じゃないけど短距離走は2番目だった。2人中だけど。その日たまたま欠席したんだよなあ皆んな。懐かしい思い出。
 
 
 
 ということで、私は勢いよくドアをめがけて走り出した。
 
 
 
「待ってくださいお嬢様どこ行くんですか!?」
 
 
 
 
 ♬♬♪♬♪♬♪♬
 
 
 
 
 私はおろした髪を左右に振りながら走る。ひたすら走る。
 
 
 ここは、物置きかあ。ん? ここはキッチンそしてここは浴場かな。
 
 
 そして、ひとつひとつ片っ端からドアを開ける。
 
 
 
 それにしてもこの屋敷広いなあ。もう何個扉があったか思い出せない。屋敷走り回ってるだけで息も切れ始めたし。
 
 
 しばらく走ると静かで誰もいない廊下に来た。
 
 
 
 
 よっしゃ、そろそろメイドも撒いたか
 
 
「見つけた。」
 
 
 窓から入る光が宙に舞うホコリを照らす。
 黒いグランドピアノがポツンと部屋の真ん中に置かれていた。
 指でピアノの蓋をなぞると隠れていた黒色が出てきた。
 
 
「ありゃ、少しホコリ被っちゃってる」
 
 
 はぁ。やっぱりフィーネあんまり練習してなかったんだね。
 
 
 蓋を開いてドの音を弾いてみる。
 
 
 
 音は外れてないね。音の伸びもいい感じ。これなら調律しないでも全然弾けるかも。少し鍵盤は固いけど、よく響きそうないいピアノだ。
 
 
 私はうずうずしながらこれから何を弾くか考え始める。
 
 
 何弾こうかな月の◯? それともトル◯行進曲? でもまだ手のひら小さいからなオクターブ届かないよね。
 
 
「やっぱり最初はこれかな?」
 
 
 エリー◯のために
 
 
 私が初めて発表で弾いた曲だ。あの時は、人前で弾くのが初めてだったから緊張したなあ。
 
 
 私はピアノの椅子に座り、ゆっくりと鍵盤に指をのせた。鍵盤は、ひんやりと冷たく固い。
 
 
 そして、一度ペダルを踏んでみる。
 
 私はペダルを踏むことで、ダンバーが上がるのを確認してから、エリー○のためにを弾き始めた。
 
 
 初めはゆっくりと。音を広げて。
 
 
 次は音の粒を揃えるようにして、曲全体が流れるように奏でる。
 
 
 ここは、優しく包み込むように。
 
 
 ペダルは濁らないように気をつけて。次はクレッシェンドだから、だんだん音を大きくする。
 
 
 ここは、曲調が変わる。だから音も悲しく。冷たく。
 
 
 久しぶりに弾いたからだろうか、いつもより上手く弾けている気がした。
 
 
 私は、やっぱりピアノが好きだなあ。このピアノを弾いたときの高揚感がたまらない。練習が嫌いじゃないと言ったら嘘になるけど、ピアノを弾くのをどうしても辞められない。
 
 まるで呪いにかかったように自分がピアノに執着していると感じる。
 
 
 そして、曲はクライマックスへ。
 
 
 
 
 ガタンッ
 
 
 びっくりした。何の音だろう?
 
 
 弾くのを止めて音の鳴ったほうを振り向くとそこにはサファイアのような色の瞳を持つ美少年がいた。
 
 
 どうやらさっきの音は、その少年が持ってた本を落とした音みたいだね、床に本が4冊落ちているし......。
 
 少年は、最初固まっていたが、自分が演奏を止めてしまったのに気づいたのか、申し訳無さそうに話し出した。
 
 
「ごめん、あまりにも君が上手だったから聴いちゃった。邪魔したかな?」
「いいえ、大丈夫ですわ」
 
 
 板についてきた私のお嬢様言葉。いつの間にかすらっと出てくる自分が怖いなあ。というか、誰だろうお客様かな?
 
 そういえば今日メイドが誰か来るって言っていたような……。うーん。思い出せない。
 
 まあ、後で聞けばいっか。
 
 そんなことより、うずうずする早くピアノの続き弾きたいなあ。
 
 私は続きを弾こうと体をピアノの方へ傾けようとしたが、それは少年によって遮られた。
 
 
「フィーネの友達かな? すごく上手だったね」
 
 
 
 お願いだからピアノをひかせてくれえええ。
 
 私は涙目になりながら少年の方に振り返る。
 
 ていうか、フィーネの友達? 本人だけどなあ。

 あっもしかして、メイクもヘアセットもしてないから分からないのかな?
 
 
「ありがとうございます」
 
 
 めんどくさいので、そういう事にしておこう。うんうん。もし本人だってバレたらピアノ上達し過ぎて中身違うのバレちゃうかもしれないしね。
 
 
 その後少年は、ぼーとこちらを見つめたまま何も次を喋らない。
 
 
 用事はなかったのかな? ピアノ弾いてもいい?
 
 
 
「じゃあ、続きを弾くので」
「えっ」
 
 
 続きから弾き始める。
 
 
 
 ここは丁寧に弾いてと。そしてここは……。
 
 
 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

逆ハーレムエンド? 現実を見て下さいませ

朝霞 花純@電子書籍発売中
恋愛
エリザベート・ラガルド公爵令嬢は溜息を吐く。 理由はとある男爵令嬢による逆ハーレム。 逆ハーレムのメンバーは彼女の婚約者のアレックス王太子殿下とその側近一同だ。 エリザベートは男爵令嬢に注意する為に逆ハーレムの元へ向かう。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

5年経っても軽率に故郷に戻っては駄目!

158
恋愛
伯爵令嬢であるオリビアは、この世界が前世でやった乙女ゲームの世界であることに気づく。このまま学園に入学してしまうと、死亡エンドの可能性があるため学園に入学する前に家出することにした。婚約者もさらっとスルーして、早や5年。結局誰ルートを主人公は選んだのかしらと軽率にも故郷に舞い戻ってしまい・・・ 2話完結を目指してます!

ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する

ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。 皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。 ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。 なんとか成敗してみたい。

よくある父親の再婚で意地悪な義母と義妹が来たけどヒロインが○○○だったら………

naturalsoft
恋愛
なろうの方で日間異世界恋愛ランキング1位!ありがとうございます! ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 最近よくある、父親が再婚して出来た義母と義妹が、前妻の娘であるヒロインをイジメて追い出してしまう話……… でも、【権力】って婿養子の父親より前妻の娘である私が持ってのは知ってます?家を継ぐのも、死んだお母様の直系の血筋である【私】なのですよ? まったく、どうして多くの小説ではバカ正直にイジメられるのかしら? 少女はパタンッと本を閉じる。 そして悪巧みしていそうな笑みを浮かべて── アタイはそんな無様な事にはならねぇけどな! くははははっ!!! 静かな部屋の中で、少女の笑い声がこだまするのだった。

悪役令嬢がヒロインからのハラスメントにビンタをぶちかますまで。

倉桐ぱきぽ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私は、ざまぁ回避のため、まじめに生きていた。 でも、ヒロイン(転生者)がひどい!   彼女の嘘を信じた推しから嫌われるし。無実の罪を着せられるし。そのうえ「ちゃんと悪役やりなさい」⁉ シナリオ通りに進めたいヒロインからのハラスメントは、もう、うんざり! 私は私の望むままに生きます!! 本編+番外編3作で、40000文字くらいです。 ⚠途中、視点が変わります。サブタイトルをご覧下さい。

【長編版】悪役令嬢は乙女ゲームの強制力から逃れたい

椰子ふみの
恋愛
 ヴィオラは『聖女は愛に囚われる』という乙女ゲームの世界に転生した。よりによって悪役令嬢だ。断罪を避けるため、色々、頑張ってきたけど、とうとうゲームの舞台、ハーモニー学園に入学することになった。  ヒロインや攻略対象者には近づかないぞ!  そう思うヴィオラだったが、ヒロインは見当たらない。攻略対象者との距離はどんどん近くなる。  ゲームの強制力?  何だか、変な方向に進んでいる気がするんだけど。

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

処理中です...