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第1話 王子が私を探してるってどういうこと? 2
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♬♬♬♬♬♬
「お嬢様! 髪を結ってるので動かないでください!」
「いやだああ」
私は朝からメイドに捕まってドレスを着せられたり、髪を結われたりしている。正直ものすごく痛い。髪引っ張りすぎだよ。
「今日はお嬢様の好きな王子様がお見舞いに来るのにどうしたんですか? いつもだったら早起きしてドレス選びに3時間もかけるのに」
うん。確かにゲームのパッケージの裏にフィーネが王子を追いかけまわしてたような表記あったような気がする。
そう、私はモデラートフィーネの体に転生したらしい。
フィーネの記憶はそのままあるけど、フィーネの感情は感じられない。
だから、全く王子に興味を持ってない。ただただピアノが弾きたいと思ってる。
それにしても、こんなに長くピアノに触ってないのは初めてかもしれないなあ。
私は自分が手のひらを開いたり閉じたりするのを眺める。
ピアノが弾きたい。
私は椅子から立ち上がる。
「ピアノを見つけよう」
「待ってくださいフィーネお嬢様! まだ終わってませんよメイクもしてないのに!」
走る前の準備運動って大切だよね、ということで屈伸してと。
「お嬢様!?」
自慢じゃないけど短距離走は2番目だった。2人中だけど。その日たまたま欠席したんだよなあ皆んな。懐かしい思い出。
ということで、私は勢いよくドアをめがけて走り出した。
「待ってくださいお嬢様どこ行くんですか!?」
♬♬♪♬♪♬♪♬
私はおろした髪を左右に振りながら走る。ひたすら走る。
ここは、物置きかあ。ん? ここはキッチンそしてここは浴場かな。
そして、ひとつひとつ片っ端からドアを開ける。
それにしてもこの屋敷広いなあ。もう何個扉があったか思い出せない。屋敷走り回ってるだけで息も切れ始めたし。
しばらく走ると静かで誰もいない廊下に来た。
よっしゃ、そろそろメイドも撒いたか
「見つけた。」
窓から入る光が宙に舞うホコリを照らす。
黒いグランドピアノがポツンと部屋の真ん中に置かれていた。
指でピアノの蓋をなぞると隠れていた黒色が出てきた。
「ありゃ、少しホコリ被っちゃってる」
はぁ。やっぱりフィーネあんまり練習してなかったんだね。
蓋を開いてドの音を弾いてみる。
音は外れてないね。音の伸びもいい感じ。これなら調律しないでも全然弾けるかも。少し鍵盤は固いけど、よく響きそうないいピアノだ。
私はうずうずしながらこれから何を弾くか考え始める。
何弾こうかな月の◯? それともトル◯行進曲? でもまだ手のひら小さいからなオクターブ届かないよね。
「やっぱり最初はこれかな?」
エリー◯のために
私が初めて発表で弾いた曲だ。あの時は、人前で弾くのが初めてだったから緊張したなあ。
私はピアノの椅子に座り、ゆっくりと鍵盤に指をのせた。鍵盤は、ひんやりと冷たく固い。
そして、一度ペダルを踏んでみる。
私はペダルを踏むことで、ダンバーが上がるのを確認してから、エリー○のためにを弾き始めた。
初めはゆっくりと。音を広げて。
次は音の粒を揃えるようにして、曲全体が流れるように奏でる。
ここは、優しく包み込むように。
ペダルは濁らないように気をつけて。次はクレッシェンドだから、だんだん音を大きくする。
ここは、曲調が変わる。だから音も悲しく。冷たく。
久しぶりに弾いたからだろうか、いつもより上手く弾けている気がした。
私は、やっぱりピアノが好きだなあ。このピアノを弾いたときの高揚感がたまらない。練習が嫌いじゃないと言ったら嘘になるけど、ピアノを弾くのをどうしても辞められない。
まるで呪いにかかったように自分がピアノに執着していると感じる。
そして、曲はクライマックスへ。
ガタンッ
びっくりした。何の音だろう?
弾くのを止めて音の鳴ったほうを振り向くとそこにはサファイアのような色の瞳を持つ美少年がいた。
どうやらさっきの音は、その少年が持ってた本を落とした音みたいだね、床に本が4冊落ちているし......。
少年は、最初固まっていたが、自分が演奏を止めてしまったのに気づいたのか、申し訳無さそうに話し出した。
「ごめん、あまりにも君が上手だったから聴いちゃった。邪魔したかな?」
「いいえ、大丈夫ですわ」
板についてきた私のお嬢様言葉。いつの間にかすらっと出てくる自分が怖いなあ。というか、誰だろうお客様かな?
そういえば今日メイドが誰か来るって言っていたような……。うーん。思い出せない。
まあ、後で聞けばいっか。
そんなことより、うずうずする早くピアノの続き弾きたいなあ。
私は続きを弾こうと体をピアノの方へ傾けようとしたが、それは少年によって遮られた。
「フィーネの友達かな? すごく上手だったね」
お願いだからピアノをひかせてくれえええ。
私は涙目になりながら少年の方に振り返る。
ていうか、フィーネの友達? 本人だけどなあ。
あっもしかして、メイクもヘアセットもしてないから分からないのかな?
「ありがとうございます」
めんどくさいので、そういう事にしておこう。うんうん。もし本人だってバレたらピアノ上達し過ぎて中身違うのバレちゃうかもしれないしね。
その後少年は、ぼーとこちらを見つめたまま何も次を喋らない。
用事はなかったのかな? ピアノ弾いてもいい?
「じゃあ、続きを弾くので」
「えっ」
続きから弾き始める。
ここは丁寧に弾いてと。そしてここは……。
「お嬢様! 髪を結ってるので動かないでください!」
「いやだああ」
私は朝からメイドに捕まってドレスを着せられたり、髪を結われたりしている。正直ものすごく痛い。髪引っ張りすぎだよ。
「今日はお嬢様の好きな王子様がお見舞いに来るのにどうしたんですか? いつもだったら早起きしてドレス選びに3時間もかけるのに」
うん。確かにゲームのパッケージの裏にフィーネが王子を追いかけまわしてたような表記あったような気がする。
そう、私はモデラートフィーネの体に転生したらしい。
フィーネの記憶はそのままあるけど、フィーネの感情は感じられない。
だから、全く王子に興味を持ってない。ただただピアノが弾きたいと思ってる。
それにしても、こんなに長くピアノに触ってないのは初めてかもしれないなあ。
私は自分が手のひらを開いたり閉じたりするのを眺める。
ピアノが弾きたい。
私は椅子から立ち上がる。
「ピアノを見つけよう」
「待ってくださいフィーネお嬢様! まだ終わってませんよメイクもしてないのに!」
走る前の準備運動って大切だよね、ということで屈伸してと。
「お嬢様!?」
自慢じゃないけど短距離走は2番目だった。2人中だけど。その日たまたま欠席したんだよなあ皆んな。懐かしい思い出。
ということで、私は勢いよくドアをめがけて走り出した。
「待ってくださいお嬢様どこ行くんですか!?」
♬♬♪♬♪♬♪♬
私はおろした髪を左右に振りながら走る。ひたすら走る。
ここは、物置きかあ。ん? ここはキッチンそしてここは浴場かな。
そして、ひとつひとつ片っ端からドアを開ける。
それにしてもこの屋敷広いなあ。もう何個扉があったか思い出せない。屋敷走り回ってるだけで息も切れ始めたし。
しばらく走ると静かで誰もいない廊下に来た。
よっしゃ、そろそろメイドも撒いたか
「見つけた。」
窓から入る光が宙に舞うホコリを照らす。
黒いグランドピアノがポツンと部屋の真ん中に置かれていた。
指でピアノの蓋をなぞると隠れていた黒色が出てきた。
「ありゃ、少しホコリ被っちゃってる」
はぁ。やっぱりフィーネあんまり練習してなかったんだね。
蓋を開いてドの音を弾いてみる。
音は外れてないね。音の伸びもいい感じ。これなら調律しないでも全然弾けるかも。少し鍵盤は固いけど、よく響きそうないいピアノだ。
私はうずうずしながらこれから何を弾くか考え始める。
何弾こうかな月の◯? それともトル◯行進曲? でもまだ手のひら小さいからなオクターブ届かないよね。
「やっぱり最初はこれかな?」
エリー◯のために
私が初めて発表で弾いた曲だ。あの時は、人前で弾くのが初めてだったから緊張したなあ。
私はピアノの椅子に座り、ゆっくりと鍵盤に指をのせた。鍵盤は、ひんやりと冷たく固い。
そして、一度ペダルを踏んでみる。
私はペダルを踏むことで、ダンバーが上がるのを確認してから、エリー○のためにを弾き始めた。
初めはゆっくりと。音を広げて。
次は音の粒を揃えるようにして、曲全体が流れるように奏でる。
ここは、優しく包み込むように。
ペダルは濁らないように気をつけて。次はクレッシェンドだから、だんだん音を大きくする。
ここは、曲調が変わる。だから音も悲しく。冷たく。
久しぶりに弾いたからだろうか、いつもより上手く弾けている気がした。
私は、やっぱりピアノが好きだなあ。このピアノを弾いたときの高揚感がたまらない。練習が嫌いじゃないと言ったら嘘になるけど、ピアノを弾くのをどうしても辞められない。
まるで呪いにかかったように自分がピアノに執着していると感じる。
そして、曲はクライマックスへ。
ガタンッ
びっくりした。何の音だろう?
弾くのを止めて音の鳴ったほうを振り向くとそこにはサファイアのような色の瞳を持つ美少年がいた。
どうやらさっきの音は、その少年が持ってた本を落とした音みたいだね、床に本が4冊落ちているし......。
少年は、最初固まっていたが、自分が演奏を止めてしまったのに気づいたのか、申し訳無さそうに話し出した。
「ごめん、あまりにも君が上手だったから聴いちゃった。邪魔したかな?」
「いいえ、大丈夫ですわ」
板についてきた私のお嬢様言葉。いつの間にかすらっと出てくる自分が怖いなあ。というか、誰だろうお客様かな?
そういえば今日メイドが誰か来るって言っていたような……。うーん。思い出せない。
まあ、後で聞けばいっか。
そんなことより、うずうずする早くピアノの続き弾きたいなあ。
私は続きを弾こうと体をピアノの方へ傾けようとしたが、それは少年によって遮られた。
「フィーネの友達かな? すごく上手だったね」
お願いだからピアノをひかせてくれえええ。
私は涙目になりながら少年の方に振り返る。
ていうか、フィーネの友達? 本人だけどなあ。
あっもしかして、メイクもヘアセットもしてないから分からないのかな?
「ありがとうございます」
めんどくさいので、そういう事にしておこう。うんうん。もし本人だってバレたらピアノ上達し過ぎて中身違うのバレちゃうかもしれないしね。
その後少年は、ぼーとこちらを見つめたまま何も次を喋らない。
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「じゃあ、続きを弾くので」
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