ピアノを弾いてたらなんか、色々寄ってくるのですが、どうしたらいいと思います?〜悪役令嬢はもう何も考えたくない〜

序盤の村の村人

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第5話 もう入試試験とか聞いてないんだが? 1

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 ♪♪♪♪♪♪♪♪


「そういえばフィーネちゃん、今日レント君が来るそうよ」
「そうなのですね」


 へー、レント君が来るのか。レント君って近所のお友達かなあ。それにしても今日の朝食美味しいなあ。


 今日の朝のメニューは、かりっかりのフランスパンと暖かい野菜のポタージュ。そして、色とりどりの野菜が盛り付けられたサラダである。特にこのフランスパンがカリカリもちもちで手が止まらない。


 前世でもそうだったけど、どうしてこう焼きたてのパンって美味しいのだろうか。パンの匂いだけで何杯でもご飯が食べれる気がする。


「お母様、レント君ってどちら様ですか?」


 ソルが首を傾げながらお母様に訪ねる。凄くニコニコしているがなぜだろう寒気を感じるのは。


「そういえばソル君は、会ったことがなかったわね、フィーネちゃんの婚約者よ」
「は?」


 ソルの右手からフォークが滑り落ちた。フォークに刺さっていたミニトマトが床に転がっていく。ついミニトマトの行方を目で追ってしまった。


 それにしてもレント君、レント君?待ってお母様、第一王子のことをレント君って呼ぶなんてさすがお母様……。じゃなくてうええええ、来るの?そういえば婚約破棄宣言があってからしばらく来てなかったなあ。


「お姉さま、婚約者いらっしゃったんですか?」
「ええ、いますわよ」


  この前、婚約者破棄宣言された婚約者がいらっしゃいます。あれ?婚約破棄宣言されたってことはもく婚約者じゃないのかなあ、いやでもまだ正式に決まった訳じゃないしなあ。うんうん。よく分からない。


「お姉さまは、ピアノにしか興味がないと思っていたので意外ですね」
「そうでしょ、今は確かにピアノバカだけどね、小さい頃にフィーネちゃんから絶対にこの人と結婚するんだからって言ってくれたのよ、あの時のフィーネちゃんすっごく可愛かったんだから」


   確かにあの時(原作のフィーネ)はそんなことを言ってたような、言ってなかったような、そこもストーリー飛ばしたような。


  あと、ソルせっかくミニトマト拾ったのに手に力が入りすぎて潰れてるよ!?まるで手が血まみれみたいになってるよ!?


「へー。そうなんですね。僕とっても会うのが楽しみです」


 なぜ、とってもの所にアクセントが入ってるんだろうねソル。ちなみにお姉さまは、とっても会いたくないです。ピアノが、ピアノを弾く時間があっ。


 私の心の叫びは誰にも聴かれることはなかった。
 


♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪





「久しぶりだね、フィーネ嬢に会うのは」
「ええ、そうですわねレント王子」


 カップを持ち上げて口の方へ運ぶ。少し温かさが残った紅茶が口の中に広がった。


 ドレスを着るためにコルセットで絞められたせいで体が引き締まった気がする……。うっ思い出すだけで恐怖が。おかげでテーブルいっぱいに広かったケーキやクッキーは手付かずのままで残っている。ピアノの次に食べることが好きなのに……。くっ。


「そういえば、フィーネ嬢は、王都鳳凰音楽学校の試験を受けると聞いたけど、入学試験で弾く曲は決まったのかな?」
「入学試験?」
「もう入学試験まで3カ月をきってるからね。フィーネ嬢の所にも封筒が届いていると思うけど。早い生徒は3年前から練習を初めていると思うよ」


  し、しまった。義理の弟が来たり、演奏会行ったりしてバタバタですっかり忘れてた。というかどうしよう、1曲完成させるのに1年は欲しかったのに……。今から練習して間に合うかな。曲なんてまだ全く決めてないしなあ。


「そ、そうでしたのね。これから、決めますわ」
「そう、フィーネ嬢は余裕でいいね。練習頑張ってね」


 どうしてだろう、嫌味のように聞こえるのは。(他の人は頑張ってるのにお前は余裕でいいな)みたいな心の声が聞こえるような……。



 でもゲームのフィーネ嬢だったら全く練習しないで入学試験受けてそうだよなあ。好きなピアノニスト(ヒロイン)の演奏の直前に悪役令嬢の演奏があったんだけどあれはピアノの音じゃなかったし……。まるでこの世の終わりのような……。うん。ああはならないようにしよう。


「が、頑張りますわ。きっとレント王子なら必ず合格すると思いますが、レント王子も頑張ってくださいませ」
「もちろんだよ、ありがとう」


 レント王子は、にっこりと笑っているが、なぜか恐ろしさを感じる。仮面をかぶっているというかなんというか。受け流されているというか。あれ?いつものことか。


 ぼーとレント王子の方を見ているとにっこりと笑い返された。胡散臭くなく、まるで愛おしい物を見るような呆けたような表情で、あれ?


「ところでフィーネ嬢、この前来ていたご令嬢のことなのだけど」
「お姉様!そちらの方はどなたですか?」
「ソル?」 


 いつの間にここに来たのかソルが上目遣いで私と王子を交互に見ていた。 


 閉まっていたはずの部屋の扉が開いているから、きっとソルは、そこから入ってきたんだろうなあ。


 突然の来客にレント王子は、一瞬動揺したが、すぐに立ち直り椅子から立ち上がった。


「噂は聞いているよ。フィーネ嬢の弟君だよね。ご挨拶が遅れて申し訳ない。フィーネ嬢の婚約者のオーリア王国、第一王子アンダンテ·レントです。よろしくね」


 さすがと言うべきか、お辞儀をするだけでキラキラとしたオーラが滲み出ている。
 
 

 
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