絶対絶命遊戯~結末は絶望のみ~

昆布海胆

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人から人へ感染するアウトブレイク 第3話

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「来ないで!」
「あ”あ”あ”あ”」

ガンジーがハイネスと玄関で争っている丁度その頃、奥のヒロエの部屋でバーラが怒鳴っていた。
少し開けられたスライド式の窓から腕を無理やり突っ込んできている一人の村人。
その腕がヒロエの袖を掴んで引っ張っていたのだ。
そのあまりにも強い力はとても人間のモノとは思えない強さで二人掛かりで引っ張っても力負けしていた。
その窓の外の人物こそ、この村で最初に井戸で紫の霧を浴びた男性であった。

「なんなの・・・なんなのよお母さん・・・」
「ヒロエ!私が押し返すから窓を閉めなさい!」
「う、うん!」

バーラが中へ突っ込まれた村人の腕を逆に両手で押し返した時であった。
袖を掴んでいた村人の手が一瞬離れた!
だが、直ぐにその手がバーラの手を掴みなおし、その手が窓の外へ引っ張られたのだ。

「きゃあっ?!」
「あ”あ”あ”あああ”!!!」

そして、そのバーラの手に突然噛み付く村人。
あまりにも強い力で引き込まれたバーラはバランスを崩し、横に居たヒロエもよろけた一瞬の出来事であった。
村人のその目は赤く染まり生えた牙がバーラの腕に食い込んだ。

「きゃぁああああああああ!!!」
「どうした?!」

ヒロエの叫びが響き、それを聞いたガンジーとエルミンが部屋へ飛び込んできた!
窓に手をやったまま怯えるヒロエの視線の先を見た二人は血相を変えて窓へ急ぐ!

「バーラ!」
「母さん!」

慌てて窓の外へ引きずり出されそうになったバーラを二人は必死に押さえ、その体にしがみ付く!
半分開かれた窓はバーラの体ごと外に外れそうになっており、窓が壊れそうにミシミシと異音を立てていたのだ。
慌てた3人は必死にバーラの体を押さえ、窓から出された腕を必死に引っ張った時であった!

ブチブチブチブチッ!
「うぎぃいい・・・」

肉が引きちぎれるような音とバーラのうめき声と共にバーラは部屋の中へ引き込まれた。
生々しい音と共に部屋に倒れ込む4人の音が響く、間一髪窓は外れることは無かったが結果は悲惨なものであった。
3人の目に飛び込んできたその光景は目を疑うモノであった・・・
部屋の壁に飛び散る鮮血、バーラの左手が半分・・・中指から小指までが食い千切られていたのだ。

「おかあさ・・・」
「窓を閉めろヒロエ!」

父ガンジーの咄嗟の叫びでヒロエは我に返り、直ぐに母の血が付着した半開きの窓を一気に閉めた。
エルミンは母の流れる血を見て、慌てて妹の部屋から適当に布を取って母の手に巻く。
この辺りは流石狩りを行う男子であった。
怪我をした際の応急処置としては手際が良く、止血が完了するのは直ぐである。

「ううう・・・」
「お母さん・・・」

バーラが自分の為に怪我をしたと理解しているヒロエは悲しそうな目で苦しそうにする母を見つめる・・・
窓の外に居た村人はバーラの手を喰っているのか、窓の外から咀嚼をするような音が続く・・・
だが、それに夢中になっているのか窓から中へ入ろうとする行動は見られず、ガンジーは人差し指を立ててそっとバーラに肩を貸しヒロエの部屋を後にするのであった。

「一体何が起こってるんだ・・・」

バーラの部屋から出て向かいに在る父ガンジーの部屋に移動した4人は息を潜めて外を窺っていた。
閉められた窓の外・・・そこはまさしく地獄そのものであった。
数名の者に襲われ体を引き千切られながら喰われる人影・・・
虚ろな表情のまま赤い目で獲物を探しまわりながら歩く者・・・
遠くから聞こえる絶叫・・・
ありふれた日常は一瞬にしてその姿を変化させていた。

「お父さん・・・怖い・・・」
「大丈夫、お父さんが付いている!」

泣くヒロエを抱きしめガンジーはこれからの事を考える・・・
家に籠城していた所で助けが来る当てもない、外の様子を見るに早急にこの村から逃げ出すべきだと考えた時であった。

ドン!ドン!ドン!

ガンジーの部屋のドアが強く叩かれる!
玄関が破られた音はしなかったのにそこに誰かが居る、それを感じ4人は息を潜めた。
今家の中に誰かが居る、だが外から侵入された形跡はない・・・となれば考えられる答えは一つである。
それに気付いたエルミンは出そうになった声を口を塞いでせき止める・・・
4人が静かにじっとしていたが、既に話し声でここに自分達が居る事がバレているのか、ドアの向こうの主はそこから離れようとせずドアを叩き続ける。

「しっ・・・」

人差し指を口の前に立てて言葉を発しないように指示をしたガンジーは静かに立ち上がる・・・
何かないかと咄嗟に部屋を見回し何か武器になる物はないかと探すガンジーの目に入ったのは薪割り用の斧であった。
ゆっくりと立ち上がり壁に立て掛けられたその斧を手にしたガンジーはゆっくりとドアの方へ近づいていく・・・
その時であった。

「か・・・母さん?」

エルミンの声が聞こえた。
振り返ったガンジーの目に映ったのはユラリと立ち上がる妻バーラの姿・・・
その左手に付けられていた手当て用の血で真っ赤に染まった布が自然と下へ落ちる。
そこに在る筈の無いそれに気付き、ガンジーは驚きを隠せなかった・・・

「お前・・・その手・・・」

そこにはおかしくなったハイネスに食い千切られた筈の左手が元通りの状態でそこにあった。
その目は虚ろで赤く充血するかのように色が変わるのにガンジーは気付かなった・・・
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