最悪最凶スキル『デスゲームメーカー』生存確率…

昆布海胆

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第73話 図書館

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ミンミンとセミが鳴く、日差しの熱でアスファルトの上が揺らいで見える・・・
季節は夏真っ只中、坂上竜一は手で太陽の日差しを遮りながら遠くを見詰める・・・

「あぁ、オアシスが見えるがアレは蜃気楼じゃないよな?」
「兄ちゃん、遂に熱で頭がやられたか?」

弟の竜二が冷ややかな目を隆一に向ける。
その手にはノートが抱えられ二人はコンクリートジャングルの中を歩いていた。

「兄ちゃんさぁ、俺達共同で自由研究か・・・図書館で何を調べるんだ?」
「あぁ、それなら白根さんが興味深い物語があるって言ってたから今日はそれを研究してみようかと思ってな」
「白根さん・・・俺、なんだかあの姉ちゃん苦手だな・・・」

まだ小学生高学年の竜二は中学生になった隆一の友人達と一緒に遊ぶ事も多々あった。
だがその中に数名だけ居る女子の存在が違和感を覚えさせる・・・
中学生になっても男女が一緒に遊んでいると言う光景が竜二にとってはおかしな事なのである。

「んーまぁ幼馴染だからってのもあるけど、なんだか一緒に居ても互いに空気みたいなんだよな」
「気にならないけど無いと困る?」
「おいおい・・・深読みしすぎだろそれ・・・」

苦笑いを浮かべながらも隆一にとって年々大人になっていく白根優里の事をそう意識すると隆一の鼓動が早くなる・・・
小さい頃からいつも一緒に居たからこそ、そういった意識を持ってしまうと今までの関係が壊れそうで怖くなる・・・
互いに意識をしつつも今の関係が居心地が良いのでそのままでと言う考えを持っている二人だからこそ仲良くし続けているのもあるのだ。

「とりあえずもう熱くて溶けそうだからさっさと図書館入るぞ」
「はいはい」

歩く速度を早めた竜一に続き竜二も歩く速度を早める。
2人はそのままガラス戸を押し開け中に入ると共にエアコンの冷気に目を閉じて両手を広げる。

「あぁ・・・竜二、天国ってここに在ったんだな」
「それは否定しない・・・」
「はぁ・・・あんた達また遅れてきて意味不明な事する・・・」

目を開くと眼鏡をかけた長髪の白根さんが腕を組んで立っていた。
まるで俺の胸に飛び込んで来いと言うポーズをとったままの竜一と竜二はそのままの姿勢で白根さんを見詰め・・・

「よし、どっちにするか選べ!」
「はぁ?」

白根さんが首を傾けて白い目で竜一を見詰めて問い返す。
その様子に竜二はプッと吹き出し笑い出す。

「やっぱ二人共付き合っちゃえよ」
「「なんでそうなる?!」」
「息ピッタリじゃん!?」

図書館の入り口でそんなやり取りをしていれば係員がギロリと睨みつけて来そうなものだが今日に限ってはそれは無いのだ。
何故なら本来今日は休刊日、それをコネを使って開けてもらっているのだ。

「ねぇ・・・とりあえず奥に行こうよ」

ボソッと小さい声で話しかけてきた声に白根さんは慌てて振り返り両手を合わせて謝罪を述べる。

「ごめんまなみ、忘れていた訳じゃないのよ」
「大丈夫、2人がお似合いのカップルだってのは分かったから」
「あの・・・まなみさん?」

そこに居たのは小柄なおかっぱ頭の少女。
彼女は吉田まなみ、この図書館のオーナーを父に持つ竜一の同級生である。
白根とは小学校からの付き合いで竜一も何度か白根さん経由で共に下校した事もあり知らない仲ではなかった。

「それはそうと、俺達兄弟に解いて欲しい事ってなんだよまなみ?」
「うん、その説明もしたいから早く移動しよ」
「あぁ」

そう言って4人は図書館の中へ入って行く。
町の中でも大きな建物のこの図書館は2階建てでかなり広いスペースが在る。
驚く事に幾つかの個室も完備しておりまるで漫画喫茶の様な使い方も出来るのだ。

「俺この先に行くの初めてだから楽しみ!」

竜二が嬉しそうに話すそこは関係者以外立ち入り禁止とされた通路である。
その一番奥に在る妙な飾りの扉の前にまなみは立ちポケットから金色の鍵を取り出す。
手に持つ部分が骸骨の様な形状をしているそれを差し込み回すとガコンッと何かが外れる音が響いた。
カギというよりは閂が外された様な音に竜一は生唾を飲み込む。
その手にはいつの間にか白根が手を重ねており少し震えているのが分かった。
さり気なく竜一は白根の手を握ってやり落ち着かせながら開く扉を見詰めていた。

「アレがその本」

扉を開けて中を見ると中央に石で出来た台が在り、その上に一冊の本が置かれていた。
それを見た瞬間3人の背筋にゾクゾクッと寒気が走る。
その様子を確認したまなみは中へと入り台の側へ寄る。
それに続くように3人も部屋に入りその本を中央に囲むように立った。

「なぁ、これってもしかして・・・」
「気付いた?どうも人の皮膚で出来た本みたいなの」
「マジかよ・・・」

人皮装丁本と呼ばれる物を聞いた事がある人も居るだろう。
これは外側が人の皮膚で作られた本の事である。
それと同じ物が4人の目の前の本なのだ。

「確かに産毛みたいな物もあるな・・・」

じっくりと見詰めると本の表紙に産毛が生えているのが見て取れた。
しかし同じようにじっくりと見詰めていた白根が小さく悲鳴を上げた。

「ひっ?!」
「ど、どうした?」

その白根の様子を見てまなみは一回頷いた。

「見られたのね?」
「うん・・・」

見られた?
その言葉が何を意味するのかと考えた時に竜一にもそれが分かった。
目である。
本の表紙に巨大な一つ目が現れたのである。
それは竜一を見詰め二三度瞬きをして再び目を閉じた。

「なぁ、まなみ・・・この本がそうなのか?」

竜一の言葉にまなみは一度深く頷く。
その本こそが彼等の運命を狂わせ世界に死神を生み出す呪われた本である事をまだ4人は知らない・・・
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