最悪最凶スキル『デスゲームメーカー』生存確率…

昆布海胆

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第74話 本の中の物語

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まなみが開いた本の内容は物語であった。

それはある小さな村に住んでいた少女リリンと少年ロッツォの話・・・
ある日盗賊に村が襲われた。
偶然にも村から外へ出ていたロッツォとリリンは洞窟で盗賊に追い詰められてしまう。
そして、最初にロッツォが殺された・・・

「ここまでは・・・いい?」

まなみが3人の顔を見ながらそう尋ねる。
内容をゆっくりと読ませた事に意味があるのだろうと竜一はまなみの目を見ながらしっかりと頷く。
そして、まなみがページを捲ったそこには何も書かれていなかった。

「分かった?」
「えっと・・・」

竜一が尋ね返そうとした時であった。

「中々酷い話だね・・・リリンって女の子が悪魔だったなんて・・・」

白根の言葉に竜一は驚き顔を上げた。

「しかも・・・これってもしかして・・・」
「そう、この本の表紙はどうやらこのリリンって少女の皮膚みたい・・・」
「ちょっちょっと待ってくれ、皆何言ってるんだ?」

勝手に会話が続いていくのに驚いた竜一は声を上げて尋ねる。
そんな竜一に一体どうしたのかと疑問を持つ二人は聞き返してきた。

「兄ちゃんこそ何を言ってるんだ?この本の内容について話して・・・」
「白紙じゃないか?!」
「「「えっ?」」」
『見つけた!』

3人が同時に疑問を声に出すのと共に一つの声が上がった。
しかし、その声は竜一にしか届いておらず突然周囲をキョロキョロと探り出す竜一の態度に違和感を覚える二人。
そして、それを目を開いて見詰めるまなみ・・・

「今、何か変な声が・・・」
「坂上君!貴方このページが見えないのよね?」
「えっ?あぁ、だって白紙じゃないか・・・」

その言葉に白根と竜二が驚いたような表情を向けるが気にせずにまなみは続ける・・・

「なら教えて?!貴方から見て何か変なところは無い?」
「そう言われてもな・・・と言うか二人共・・・読むの妙に早くね?」
「「っ?!」」

まるでその言葉がトリガーだったかのように白根と竜二の顔が無表情に変化した。
事実そうなのだ。
竜一が白紙を見せられて疑問に思った次の瞬間には二人共感想を述べ合っていた。
他のページを読んでいた時間を考えると明らかに不自然な早さである。

「坂上君!ありがとう!」

突然のまなみからのお礼の言葉・・・
そして、世界が砕けるように視界がバラバラになり落ちていく・・・
その崩れた先に現れたのは今まで自分が居たと思っていた部屋であった。

「えっ?」

竜一が声を上げると白根と竜二もその声に反応して顔を上げる。
二人共驚きに包まれながら周囲をキョロキョロと見回す・・・

「あれ?私達・・・あの本を読んでいたわよね?」
「そ、それよりもまなみさんは何処へ行ったのかな?」

竜二の言葉で竜一と白根はこの場にまなみが居ない事に気が付いた。
そして、前に置かれていた人皮装丁本が独りでに開いてパラパラとページが捲られる・・・
その開かれたページは先程竜一が観る事が出来なかったページであった。



ロッツォを殺されリリンは捕まって村へと戻っていく・・・
そこでは村長が磔にされて村人の手によって石が投げられていた。
盗賊の親玉が村にいる悪魔を退治する為に必要な行為だと叫び拒否した者は次々と殺されていった。
その中にリリンの両親の姿が在った。
最初に父親が殺されて次に母親が殺されたのだが死んだ母親の血が父親の死体に集まり父親は正体を表した。
父親は悪魔だったのだ。
そのまま父親は村人諸共盗賊を皆殺しにする・・・
そして、悪魔の姿のまま父親は何処かへと去っていった。
村に残されたのは隠れていた助かった男女2名とリリンのみであった。
3人は協力して村を脱出し隣町まで逃げる事となった。



「何だろう・・・目が離せないな・・・」

竜二の言葉に竜一はハッと気付く。
読み終われば勝手にページが捲られて次々と内容が頭に流れ込んでくるのだ。
目を閉じようとしても内容が目に入ってくる上に3人とも同じタイミングでページを読み終わっている事に違和感しか無い。
そして、物語は辿り着く・・・



そこは赫の家と呼ばれていた。
旅人を小鬼が惑わせて住処へ連れ込み男は殺して食料に、女は幻覚の中で小鬼の子を身篭らされる恐ろしい家・・・
そこに捕まったリリンと男女は他の者と同じように幻覚に惑わされた。
男は殺され食料に、女とリリンは子を孕まされる事となりそこで幻覚に捕まったまま飼われ続けていた。
数ヵ月後、2人には子鬼との子が生まれるのだがここで予期せぬ事が起こった。
リリンから生まれたのは悪魔だったのだ。
リリンはその悪魔を産み落とすと共に幻覚が解け我が子を抱いて子鬼の住処を逃げ回った。
そして、リリンはそれを見つけた。
黒い渦、それは闇の世界とその世界を繋ぐ扉。
だがそれを知らないリリンは赤子を抱いたまま逃げる為にその渦の中へと身を投じた。
闇の中で彼女は願った。
我が子と共に居られます様に・・・と。



ページが終わり裏表紙が閉じられた。
それを唖然と見詰める3人は何故か感じ取れたのだ。
その本こそがリリンとその子だと・・・
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