74 / 92
第74話 本の中の物語
しおりを挟む
まなみが開いた本の内容は物語であった。
それはある小さな村に住んでいた少女リリンと少年ロッツォの話・・・
ある日盗賊に村が襲われた。
偶然にも村から外へ出ていたロッツォとリリンは洞窟で盗賊に追い詰められてしまう。
そして、最初にロッツォが殺された・・・
「ここまでは・・・いい?」
まなみが3人の顔を見ながらそう尋ねる。
内容をゆっくりと読ませた事に意味があるのだろうと竜一はまなみの目を見ながらしっかりと頷く。
そして、まなみがページを捲ったそこには何も書かれていなかった。
「分かった?」
「えっと・・・」
竜一が尋ね返そうとした時であった。
「中々酷い話だね・・・リリンって女の子が悪魔だったなんて・・・」
白根の言葉に竜一は驚き顔を上げた。
「しかも・・・これってもしかして・・・」
「そう、この本の表紙はどうやらこのリリンって少女の皮膚みたい・・・」
「ちょっちょっと待ってくれ、皆何言ってるんだ?」
勝手に会話が続いていくのに驚いた竜一は声を上げて尋ねる。
そんな竜一に一体どうしたのかと疑問を持つ二人は聞き返してきた。
「兄ちゃんこそ何を言ってるんだ?この本の内容について話して・・・」
「白紙じゃないか?!」
「「「えっ?」」」
『見つけた!』
3人が同時に疑問を声に出すのと共に一つの声が上がった。
しかし、その声は竜一にしか届いておらず突然周囲をキョロキョロと探り出す竜一の態度に違和感を覚える二人。
そして、それを目を開いて見詰めるまなみ・・・
「今、何か変な声が・・・」
「坂上君!貴方このページが見えないのよね?」
「えっ?あぁ、だって白紙じゃないか・・・」
その言葉に白根と竜二が驚いたような表情を向けるが気にせずにまなみは続ける・・・
「なら教えて?!貴方から見て何か変なところは無い?」
「そう言われてもな・・・と言うか二人共・・・読むの妙に早くね?」
「「っ?!」」
まるでその言葉がトリガーだったかのように白根と竜二の顔が無表情に変化した。
事実そうなのだ。
竜一が白紙を見せられて疑問に思った次の瞬間には二人共感想を述べ合っていた。
他のページを読んでいた時間を考えると明らかに不自然な早さである。
「坂上君!ありがとう!」
突然のまなみからのお礼の言葉・・・
そして、世界が砕けるように視界がバラバラになり落ちていく・・・
その崩れた先に現れたのは今まで自分が居たと思っていた部屋であった。
「えっ?」
竜一が声を上げると白根と竜二もその声に反応して顔を上げる。
二人共驚きに包まれながら周囲をキョロキョロと見回す・・・
「あれ?私達・・・あの本を読んでいたわよね?」
「そ、それよりもまなみさんは何処へ行ったのかな?」
竜二の言葉で竜一と白根はこの場にまなみが居ない事に気が付いた。
そして、前に置かれていた人皮装丁本が独りでに開いてパラパラとページが捲られる・・・
その開かれたページは先程竜一が観る事が出来なかったページであった。
ロッツォを殺されリリンは捕まって村へと戻っていく・・・
そこでは村長が磔にされて村人の手によって石が投げられていた。
盗賊の親玉が村にいる悪魔を退治する為に必要な行為だと叫び拒否した者は次々と殺されていった。
その中にリリンの両親の姿が在った。
最初に父親が殺されて次に母親が殺されたのだが死んだ母親の血が父親の死体に集まり父親は正体を表した。
父親は悪魔だったのだ。
そのまま父親は村人諸共盗賊を皆殺しにする・・・
そして、悪魔の姿のまま父親は何処かへと去っていった。
村に残されたのは隠れていた助かった男女2名とリリンのみであった。
3人は協力して村を脱出し隣町まで逃げる事となった。
「何だろう・・・目が離せないな・・・」
竜二の言葉に竜一はハッと気付く。
読み終われば勝手にページが捲られて次々と内容が頭に流れ込んでくるのだ。
目を閉じようとしても内容が目に入ってくる上に3人とも同じタイミングでページを読み終わっている事に違和感しか無い。
そして、物語は辿り着く・・・
そこは赫の家と呼ばれていた。
旅人を小鬼が惑わせて住処へ連れ込み男は殺して食料に、女は幻覚の中で小鬼の子を身篭らされる恐ろしい家・・・
そこに捕まったリリンと男女は他の者と同じように幻覚に惑わされた。
男は殺され食料に、女とリリンは子を孕まされる事となりそこで幻覚に捕まったまま飼われ続けていた。
数ヵ月後、2人には子鬼との子が生まれるのだがここで予期せぬ事が起こった。
リリンから生まれたのは悪魔だったのだ。
リリンはその悪魔を産み落とすと共に幻覚が解け我が子を抱いて子鬼の住処を逃げ回った。
そして、リリンはそれを見つけた。
黒い渦、それは闇の世界とその世界を繋ぐ扉。
だがそれを知らないリリンは赤子を抱いたまま逃げる為にその渦の中へと身を投じた。
闇の中で彼女は願った。
我が子と共に居られます様に・・・と。
ページが終わり裏表紙が閉じられた。
それを唖然と見詰める3人は何故か感じ取れたのだ。
その本こそがリリンとその子だと・・・
それはある小さな村に住んでいた少女リリンと少年ロッツォの話・・・
ある日盗賊に村が襲われた。
偶然にも村から外へ出ていたロッツォとリリンは洞窟で盗賊に追い詰められてしまう。
そして、最初にロッツォが殺された・・・
「ここまでは・・・いい?」
まなみが3人の顔を見ながらそう尋ねる。
内容をゆっくりと読ませた事に意味があるのだろうと竜一はまなみの目を見ながらしっかりと頷く。
そして、まなみがページを捲ったそこには何も書かれていなかった。
「分かった?」
「えっと・・・」
竜一が尋ね返そうとした時であった。
「中々酷い話だね・・・リリンって女の子が悪魔だったなんて・・・」
白根の言葉に竜一は驚き顔を上げた。
「しかも・・・これってもしかして・・・」
「そう、この本の表紙はどうやらこのリリンって少女の皮膚みたい・・・」
「ちょっちょっと待ってくれ、皆何言ってるんだ?」
勝手に会話が続いていくのに驚いた竜一は声を上げて尋ねる。
そんな竜一に一体どうしたのかと疑問を持つ二人は聞き返してきた。
「兄ちゃんこそ何を言ってるんだ?この本の内容について話して・・・」
「白紙じゃないか?!」
「「「えっ?」」」
『見つけた!』
3人が同時に疑問を声に出すのと共に一つの声が上がった。
しかし、その声は竜一にしか届いておらず突然周囲をキョロキョロと探り出す竜一の態度に違和感を覚える二人。
そして、それを目を開いて見詰めるまなみ・・・
「今、何か変な声が・・・」
「坂上君!貴方このページが見えないのよね?」
「えっ?あぁ、だって白紙じゃないか・・・」
その言葉に白根と竜二が驚いたような表情を向けるが気にせずにまなみは続ける・・・
「なら教えて?!貴方から見て何か変なところは無い?」
「そう言われてもな・・・と言うか二人共・・・読むの妙に早くね?」
「「っ?!」」
まるでその言葉がトリガーだったかのように白根と竜二の顔が無表情に変化した。
事実そうなのだ。
竜一が白紙を見せられて疑問に思った次の瞬間には二人共感想を述べ合っていた。
他のページを読んでいた時間を考えると明らかに不自然な早さである。
「坂上君!ありがとう!」
突然のまなみからのお礼の言葉・・・
そして、世界が砕けるように視界がバラバラになり落ちていく・・・
その崩れた先に現れたのは今まで自分が居たと思っていた部屋であった。
「えっ?」
竜一が声を上げると白根と竜二もその声に反応して顔を上げる。
二人共驚きに包まれながら周囲をキョロキョロと見回す・・・
「あれ?私達・・・あの本を読んでいたわよね?」
「そ、それよりもまなみさんは何処へ行ったのかな?」
竜二の言葉で竜一と白根はこの場にまなみが居ない事に気が付いた。
そして、前に置かれていた人皮装丁本が独りでに開いてパラパラとページが捲られる・・・
その開かれたページは先程竜一が観る事が出来なかったページであった。
ロッツォを殺されリリンは捕まって村へと戻っていく・・・
そこでは村長が磔にされて村人の手によって石が投げられていた。
盗賊の親玉が村にいる悪魔を退治する為に必要な行為だと叫び拒否した者は次々と殺されていった。
その中にリリンの両親の姿が在った。
最初に父親が殺されて次に母親が殺されたのだが死んだ母親の血が父親の死体に集まり父親は正体を表した。
父親は悪魔だったのだ。
そのまま父親は村人諸共盗賊を皆殺しにする・・・
そして、悪魔の姿のまま父親は何処かへと去っていった。
村に残されたのは隠れていた助かった男女2名とリリンのみであった。
3人は協力して村を脱出し隣町まで逃げる事となった。
「何だろう・・・目が離せないな・・・」
竜二の言葉に竜一はハッと気付く。
読み終われば勝手にページが捲られて次々と内容が頭に流れ込んでくるのだ。
目を閉じようとしても内容が目に入ってくる上に3人とも同じタイミングでページを読み終わっている事に違和感しか無い。
そして、物語は辿り着く・・・
そこは赫の家と呼ばれていた。
旅人を小鬼が惑わせて住処へ連れ込み男は殺して食料に、女は幻覚の中で小鬼の子を身篭らされる恐ろしい家・・・
そこに捕まったリリンと男女は他の者と同じように幻覚に惑わされた。
男は殺され食料に、女とリリンは子を孕まされる事となりそこで幻覚に捕まったまま飼われ続けていた。
数ヵ月後、2人には子鬼との子が生まれるのだがここで予期せぬ事が起こった。
リリンから生まれたのは悪魔だったのだ。
リリンはその悪魔を産み落とすと共に幻覚が解け我が子を抱いて子鬼の住処を逃げ回った。
そして、リリンはそれを見つけた。
黒い渦、それは闇の世界とその世界を繋ぐ扉。
だがそれを知らないリリンは赤子を抱いたまま逃げる為にその渦の中へと身を投じた。
闇の中で彼女は願った。
我が子と共に居られます様に・・・と。
ページが終わり裏表紙が閉じられた。
それを唖然と見詰める3人は何故か感じ取れたのだ。
その本こそがリリンとその子だと・・・
0
あなたにおすすめの小説
国一番の美少女だけど、婚約者は“嫌われ者のブサイク王子”でした
玖坂
ファンタジー
気がつけば、乙女ゲームの“悪役令嬢”ポジションに転生してました。
しかも婚約者は、誰もがドン引きする“ブサイクで嫌われ者の王子様”
だけど――あれ?
この王子、見た目はともかく中身は、想像以上に優しすぎる……!?
国一番の美少女に転生した令嬢と、誰にも愛されなかった王子が、少しずつ成長していく物語。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
鬼の兵法伝承者、異世界に転世せしむる
書仙凡人
ファンタジー
俺の名は桜木小次郎。
鬼一法眼を祖とする鬼一兵法の令和の伝承者。
だがある時、なぜか突然死してしまったのだ。
その時、自称神様の変なペンギンが現れて、ファンタジー世界の転生を持ちかけられた。
俺はヤケになって転生受け入れたら、とんでもない素性の奴にログインする事になったのである。
ログイン先は滅亡した国の王子で、従者に毒盛られて殺されたばかり。
なにこれ? クーリングオフねぇのかよ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる