最悪最凶スキル『デスゲームメーカー』生存確率…

昆布海胆

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第77話 竜二の命と引き換えの験者の本

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「竜二腕を外側へ押し付けるんだ!」

竜一の叫びを受けて竜二は言われた通りに腕の外側をを刃物へ押し付ける。
痛みを我慢しつつ手の甲側に刃物が強く刺さり出血するが最悪の事態を何とか回避した。
そう、動脈を傷つけるよりはマシだと判断したのだ。

「動くなよ、今何か隙間に差し込める物が無いか探すから」

その言葉と共に白根とまなみも隠し部屋を探索し始める。
指で押さえるには狭すぎるので刃を通さない程ではない硬さと柔らかさの物を探すのだが都合よくそんな物が見つかるわけも無く・・・

「くそっ何か、何か無いのか?!」

背伸びをしたままの竜二の体は徐々に自らの血で赤く染まっていく・・・
そして、竜二は悲鳴を上げ始める。

「ひっ兄ちゃん・・・早く・・・このままじゃ・・・」
「待ってろ今すぐに何か・・・」
「これに上がって!」

竜一もそれを見て気付いた。
竜二の腕を突っ込んだ箱が徐々に、本当に徐々にだが上に上がっているのだ。
そのせいで背伸びをしないと刃が更に深く刺さる竜二は既に爪先立ちになっているのだが箱の上昇は止まらない。
よく見ると透明の箱の上には同じように透明の柱の様な物が天井へ埋め込まれており機械仕掛けで天井内へ回収されようとしているのだ。
慌てて部屋にあった椅子を白根が竜二の足元に持ってきて時間稼ぎを行い少しだけ時間の猶予が出来た。
だが単に時間稼ぎが出来ただけで部屋にあるのは本のみ、紙を差し込んだところで腕を圧迫するだけで刃は容赦なく紙を切り裂いていた。

「これじゃだめ・・・ね」

一番平静を装っているまなみの紙を差し込む案も駄目となり3人は逆の考えを持った。
即ち、箱を破壊してしまおう!

「白根さん、椅子を!」
「今もって来るよ!」

隠し部屋に1つだけ在る椅子を竜二の台に使っているので白根は部屋を出て別の場所の椅子を取りに走っていった。
その間にまなみと竜一は箱を破壊できる物を探すのだが・・・

「ペン・・・これじゃあ駄目か・・・」
「坂上君、私も・・・探してくる・・・」

まなみも箱を破壊できる何かを探しに部屋を飛び出した。
竜二を1人残すのは竜一も抵抗があり部屋に残ったのだが・・・

ゴゴゴゴゴゴ・・・

なんとその時隠し部屋への隠し扉が閉まったのだ!
慌てて竜一は入り口へ向かうのだが・・・
隠し部屋は中から開く事が出来ないのである。

「くそっ!なんなんだここは?!」

焦りから怒りを露にする竜一であるがその後ろで掠れた声の竜二の言葉が届いた。

「兄ちゃん・・・ごめん、もう・・・だめ・・・そうだ・・・」

振り返るとそこには出血多量で真っ青な顔の竜二が椅子の上で背伸びをして立っていた。
全身が自らの血で真っ赤に染まり震えながら真っ直ぐ竜一を見詰めるその顔に竜一は焦った。

「諦めるな!今すぐ何か・・・」
「も・・・う・・・だ・・・・・・・め・・・・・・」

近寄って竜二の足を持ち上げて助けようとするのだがその直前で竜二は力尽きて両腕に体重が掛かってしまう。
ザシュッと刃物が刺さる音が聞こえそうなぐらい両手首に刃が完全に刺さり隙間から血が周囲に吹き出す。
その血が部屋を赤く染め竜一も同じように全身を赤くしていく・・・
弟が目の前で死ぬという光景に現実感が無く竜一は竜二の血を浴びながら立ち尽くしていたのだ。
それと同時に透明の箱は天井に届きミシミシと音を立ててヒビが広がりバガンッと音を立てて箱は壊れる。
倒れこむ真っ赤な竜二を竜一は受け止めるのだがその体はまるでまだ生きているように少し温かくその腕に収まった。
だが鼓動も呼吸も既にしておらず弟が腕の中で息絶えている現実に竜一は遠くを見詰める・・・

ゴゴゴゴゴゴ・・・

隠し部屋の扉が開く音が聞こえそこに白根とまなみが入って来て二人の声が聞こえるのだが竜一には何も聞こえなかった。
無力な自分への不甲斐なさ、それが弟を殺したのだと自問自答を繰り返し竜一は弟の亡骸を抱きしめたまま立ち尽くす・・・
その足元には壊れた箱と共に中に在った『験者の本』が竜二の血の上に落ちているのであった。
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