84 / 92
第84話 自分と自分の正体
しおりを挟む
「どうだった?」
「全く進展なし、そっちはどう?」
「駄目ね、せめてヒントでもあれば・・・」
竜一、白根、まなみは人皮装丁本がガラスケースに入った部屋に集まっていた。
ガラスケースの下に在るくぼみには既に3つのケン者の本がセットされ残る1冊を分担して探し回っていたのだが手掛かりは一切つかめていなかった。
「残るのは『見』の見者の本なんだよな・・・」
竜一はその言葉を呟いた時にフト記憶がフラッシュバックするように頭に浮かぶ。
それはこの図書館でデスゲームが始まったあの瞬間、自分達の体を鎖が2つに分けた出来事。
しかし、今の今まで竜一はその事をいつの間にか忘れていたのだ。
そして自分の手を見詰めて呟く・・・
「透けてない・・・」
竜一がそう呟いたのを見た白根も竜一の言葉で記憶がフラッシュバックして思い出す。
自身の体が2つに別れ何処かへ連れ去られたあの瞬間を・・・
「本当・・・なんで忘れてたんだろ・・・」
しかしまなみだけは2人の様子に違和感を覚え首を傾げる。
そして、その映像を見ていたもう1人の竜一と白根は目を大きく見開いてゆっくりと振り返る。
まなみ、彼女だけはあのデスゲームが始まった瞬間に一緒には居なかったのだ。
それに気付いた二人はその顔を見て驚愕する。
「私の顔に何か付いてる?」
まなみはそう尋ねるがそこには顔が無かった。
穴だ、大きな真っ暗な穴が顔面に開いているのだ。
声はその奥から聞こえ不思議そうにまなみは首を傾げる。
竜一も白根も気付いたのだ。
横一列に座っていた筈の椅子がまなみの椅子だけ後ろに下がっていた。
「お前・・・一体なんだ?」
竜一の言葉を聞いたまなみの顔の穴から突如様々な声が次々と漏れ始める・・・
「ここは何処なんだ?」
「やだ、なんなのここ・・・」
「見えない、何も見えないよ」
「誰か・・・ここから出してくれ・・・」
「闇が襲ってくる・・・・もう駄目なんだ・・・」
「音が・・・音だけが・・・」
「暗いのはもうヤダ・・・」
そして、彼女の髪が次々と抜け始める。
まるで風に溶ける様にまなみの髪は塵となり消えていく・・・
そこにはもう誰か分からない顔に穴が開いた人らしき者が立っているだけであった。
「まさか・・・貴方が・・・見者の本?」
白根の言葉に反応を示したのか突然そいつは振り返って走り出した。
そしてそいつは部屋の扉を一気に開けて外へ飛び出していく・・・
呆気にとられる竜一と白根であったが突如白根は立ち上がって駆け出す。
「届けなきゃ!」
それはモニターで見ているもう1人の自分に今出て行ったやつを届けようと言っているのだと竜一は理解した。
しかし、竜一は駆け出した白根の手を掴んで引き止める。
竜一の中にも突如逃げたあいつを追い掛けてもう1人の自分と合流しなければと言う意思が宿っていた。
だが竜一はそれを必死に自制する。
それは一番やってはいけないことだと竜一は気付いていたからだ。
「離して竜一君!あれを追いかけないと私達永遠にここから出られないんだよ?!」
「待ってくれ白根さん・・・ちょっとごめんね」
そう言って竜一は開いたもう片方の手で白根の頬を摘んで捻り上げた。
「いふぁい・・・いふぁいよりゅうふぃちふん・・・」
「見てみろ白根さん・・・」
そう言って竜一は振り返りモニターを見詰める。
突然手をつかまれて頬を摘まれている白根は意味が分からず困惑する。
だが竜一の言葉で彼女もそれに気付くのであった・・・
「ここのルールは部屋から出るな、そして俺達はもう片方の自分とリンクしていて傷や痛みは共有している・・・だったよな?」
白根の頬を摘んでいる竜一の手には爪で引っ掻いた傷が多数残っており彼が自分で試していたのを証明していた。
そして、モニターの中の竜一の手に傷は勿論無く白根も痛みを感じた様子が全く無かったのである。
モニターの中の自分達が負った傷や痛みは共有しこちら側の傷や痛みは向こうへ影響を及ぼさない・・・
それを考えた結果竜一の出した結論・・・それは!
「多分・・・あれは・・・俺達の・・・過去だ!」
『コングラッチュレーション!』
その声が響きその場から竜一と白根の姿は消え去る。
部屋に残されたのはたった一つ・・・
もう1人の3人を映すモニターだけであった・・・
「全く進展なし、そっちはどう?」
「駄目ね、せめてヒントでもあれば・・・」
竜一、白根、まなみは人皮装丁本がガラスケースに入った部屋に集まっていた。
ガラスケースの下に在るくぼみには既に3つのケン者の本がセットされ残る1冊を分担して探し回っていたのだが手掛かりは一切つかめていなかった。
「残るのは『見』の見者の本なんだよな・・・」
竜一はその言葉を呟いた時にフト記憶がフラッシュバックするように頭に浮かぶ。
それはこの図書館でデスゲームが始まったあの瞬間、自分達の体を鎖が2つに分けた出来事。
しかし、今の今まで竜一はその事をいつの間にか忘れていたのだ。
そして自分の手を見詰めて呟く・・・
「透けてない・・・」
竜一がそう呟いたのを見た白根も竜一の言葉で記憶がフラッシュバックして思い出す。
自身の体が2つに別れ何処かへ連れ去られたあの瞬間を・・・
「本当・・・なんで忘れてたんだろ・・・」
しかしまなみだけは2人の様子に違和感を覚え首を傾げる。
そして、その映像を見ていたもう1人の竜一と白根は目を大きく見開いてゆっくりと振り返る。
まなみ、彼女だけはあのデスゲームが始まった瞬間に一緒には居なかったのだ。
それに気付いた二人はその顔を見て驚愕する。
「私の顔に何か付いてる?」
まなみはそう尋ねるがそこには顔が無かった。
穴だ、大きな真っ暗な穴が顔面に開いているのだ。
声はその奥から聞こえ不思議そうにまなみは首を傾げる。
竜一も白根も気付いたのだ。
横一列に座っていた筈の椅子がまなみの椅子だけ後ろに下がっていた。
「お前・・・一体なんだ?」
竜一の言葉を聞いたまなみの顔の穴から突如様々な声が次々と漏れ始める・・・
「ここは何処なんだ?」
「やだ、なんなのここ・・・」
「見えない、何も見えないよ」
「誰か・・・ここから出してくれ・・・」
「闇が襲ってくる・・・・もう駄目なんだ・・・」
「音が・・・音だけが・・・」
「暗いのはもうヤダ・・・」
そして、彼女の髪が次々と抜け始める。
まるで風に溶ける様にまなみの髪は塵となり消えていく・・・
そこにはもう誰か分からない顔に穴が開いた人らしき者が立っているだけであった。
「まさか・・・貴方が・・・見者の本?」
白根の言葉に反応を示したのか突然そいつは振り返って走り出した。
そしてそいつは部屋の扉を一気に開けて外へ飛び出していく・・・
呆気にとられる竜一と白根であったが突如白根は立ち上がって駆け出す。
「届けなきゃ!」
それはモニターで見ているもう1人の自分に今出て行ったやつを届けようと言っているのだと竜一は理解した。
しかし、竜一は駆け出した白根の手を掴んで引き止める。
竜一の中にも突如逃げたあいつを追い掛けてもう1人の自分と合流しなければと言う意思が宿っていた。
だが竜一はそれを必死に自制する。
それは一番やってはいけないことだと竜一は気付いていたからだ。
「離して竜一君!あれを追いかけないと私達永遠にここから出られないんだよ?!」
「待ってくれ白根さん・・・ちょっとごめんね」
そう言って竜一は開いたもう片方の手で白根の頬を摘んで捻り上げた。
「いふぁい・・・いふぁいよりゅうふぃちふん・・・」
「見てみろ白根さん・・・」
そう言って竜一は振り返りモニターを見詰める。
突然手をつかまれて頬を摘まれている白根は意味が分からず困惑する。
だが竜一の言葉で彼女もそれに気付くのであった・・・
「ここのルールは部屋から出るな、そして俺達はもう片方の自分とリンクしていて傷や痛みは共有している・・・だったよな?」
白根の頬を摘んでいる竜一の手には爪で引っ掻いた傷が多数残っており彼が自分で試していたのを証明していた。
そして、モニターの中の竜一の手に傷は勿論無く白根も痛みを感じた様子が全く無かったのである。
モニターの中の自分達が負った傷や痛みは共有しこちら側の傷や痛みは向こうへ影響を及ぼさない・・・
それを考えた結果竜一の出した結論・・・それは!
「多分・・・あれは・・・俺達の・・・過去だ!」
『コングラッチュレーション!』
その声が響きその場から竜一と白根の姿は消え去る。
部屋に残されたのはたった一つ・・・
もう1人の3人を映すモニターだけであった・・・
0
あなたにおすすめの小説
国一番の美少女だけど、婚約者は“嫌われ者のブサイク王子”でした
玖坂
ファンタジー
気がつけば、乙女ゲームの“悪役令嬢”ポジションに転生してました。
しかも婚約者は、誰もがドン引きする“ブサイクで嫌われ者の王子様”
だけど――あれ?
この王子、見た目はともかく中身は、想像以上に優しすぎる……!?
国一番の美少女に転生した令嬢と、誰にも愛されなかった王子が、少しずつ成長していく物語。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
鬼の兵法伝承者、異世界に転世せしむる
書仙凡人
ファンタジー
俺の名は桜木小次郎。
鬼一法眼を祖とする鬼一兵法の令和の伝承者。
だがある時、なぜか突然死してしまったのだ。
その時、自称神様の変なペンギンが現れて、ファンタジー世界の転生を持ちかけられた。
俺はヤケになって転生受け入れたら、とんでもない素性の奴にログインする事になったのである。
ログイン先は滅亡した国の王子で、従者に毒盛られて殺されたばかり。
なにこれ? クーリングオフねぇのかよ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる