最悪最凶スキル『デスゲームメーカー』生存確率…

昆布海胆

文字の大きさ
83 / 92

第83話 隠されたルール

しおりを挟む
サイコロを持ちながら竜一は思考を巡らせていた。
そして、一つの仮説に行き着く・・・

(これ、なんで俺だけが残り9で2人が8なんだ?)

偶然、そう考えれば納得がいくかもしれないがこんな常識の範囲外のゲームの中でそんな安直に考える事は危険だと判断した竜一は気付いた。
残りのマスに対して4・5・6しかサイコロを振っても出ないと言う事は進む為には4を出すしかない。
ここで竜一は3回4を出せばクリアとなると考えはしなかった。
スゴロクの中には最後のマスには丁度でないと残ったマス数を戻らされるものがあるのだ。
もしこれもそうだとしたら・・・

(2人をクリアさせて俺だけクリア出来ない仕様に強制的に変えられたのか?)

もしも2人が9マスで竜一が8マスであればサイコロは3・5・6のみになっていたのかもしれない・・・
可能性の問題であるが竜一にはその考えが頭から離れなかった。
そしてそのまま竜一はサイコロを振る事無く持ち続けながら考える・・・
前方では2人がどうしたのかとチラチラと竜一の方を見るが竜一は気付かずにサイコロを見詰めながら考える・・・
どちらにしても確立3分の1で死ぬのを2回までミスしても大丈夫、そんなふざけたゲームに強制されている事に段々と腹を立て始めた竜一。
そして、気付いた・・・

(あれ?なんで強制的にデスゲームに参加させられている?今までは本を集める工程で・・・?!)

背筋にゾワっと寒気が走り竜一はサイコロを見詰めたまま気付き手にした拳大サイズのサイコロを腰を固定している金具に擦りつけ始めた。

ガリガリ・・・ガリガリ・・・

その音に不快感を覚えるが竜一は止めずに擦りつけ続ける・・・

ガリガリ・・・ガリガリ・・・

ガラスを爪で引っ掻いたりする時に感じる不快感、それと似た様な音が静寂の空間に響く・・・
竜一自身も嫌そうな顔をしつつも必要だと判断しそれをし続ける・・・
気付いたのだ、残る2冊のケン者の本は『見者の本』と『研者の本』であると。
そして、今までデスゲームが始まる前には必ず本がその姿を現していた。
しかし、今回は本は一切姿を現す事無くデスゲームが始まった。
だがもし今回も本が何処かに在って既に見ているのだとしたら・・・

ガリガリ・・・ガリガッ!!ザー

突然サイコロの一部が割れて砂になり地面へと落ち始めた。
そして、見る見るサイコロは崩れていき竜一の手の中に一冊の手帳が残った。
ポケットサイズのその手帳、勿論開く事は出来ず見ると表紙には『研者の本 9』裏表紙にも『研者の本 9』と記載されていた。
そして、竜一はその本を床へと転がす。
地面が凸凹になっている為に立つ事はもちろん無く表紙の通り9の文字が光り竜一の体を固定している機械が動き始める。
そして、最後の1マスに到着すると共にその姿が一瞬で消失する・・・

それを見ていた白根もまなみも互いを見て頷きまなみの手に現れたサイコロを同じように擦りつけ始めるのであった・・・




「ここは・・・戻ったのか・・・」

竜一が気付くとあのデスゲームへ飛ばされる前に居た本をはめ込む部屋に立っていた。
その手にはいつの間にかあの小さな手帳が握られており竜一はゆっくりと台座へ近付く。
そして、研者の本と書かれた穴にそっとセットするが・・・

「厚みが足りないのか・・・」

妙に深い部分にまで入った手帳を眺めていると・・・

「も・・・戻れたの・・・?」

後ろから声が聞こえ振り返るとまなみが立っていた。
勿論その手には小さな手帳サイズの研者の本が握られていたのだが・・・
突如まなみは走り出し竜一に抱き付いてきた。

「ちょっまなみ?!」
「ありがとう・・・本当にもう駄目かと思った・・・」

そう、あのデスゲームの隠された攻略の鍵として研者の本を見つけると言うルールが実はあったのだ。
もしもそれに気付かずにゴールに辿り着いた場合はゴールの先に更にマスが広がり延々と死ぬまでサイコロを振り続ける事となったのである。
語られないルールに気付けるか、それこそがあのデスゲームの本当のルールなのであった。

「わ・・・私・・・戻れた・・・」

声が聞こえ視線をやると白根が女の子座りでその場にペタンと座り込んだ。
一度死を体験した事もあり震えながら生きている実感を感じているのだろう、手帳サイズの研者の本を握り締めたまま自分の体を抱き締めていた。

「大丈夫か?」
「・・・うん・・・竜一・・・ありが・・・」

白根は途中で言葉に詰まった。
それはそうだろう、視線を上げると目の前で竜一とまなみが抱き合っていたのだ。
一瞬戸惑った白根であったが竜一が手を広げて白根に微笑む。
それが何を意味するのか理解した白根はゆっくりと立ち上がり竜一に近付く・・・
いやらしい気持ちではない、単純に生還を喜んでいるのだ。
そう理解した白根はまなみの背中ごと竜一に抱きつく・・・

「良かった。本当に・・・よかった・・・」

重みのある竜一の言葉、偶然とはいえ気付けなかったら死んでいたのだ。
そうして溢れる感情のままに白根とまなみは竜一に抱きつきながら涙を流すのであった・・・
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

国一番の美少女だけど、婚約者は“嫌われ者のブサイク王子”でした

玖坂
ファンタジー
気がつけば、乙女ゲームの“悪役令嬢”ポジションに転生してました。 しかも婚約者は、誰もがドン引きする“ブサイクで嫌われ者の王子様” だけど――あれ? この王子、見た目はともかく中身は、想像以上に優しすぎる……!? 国一番の美少女に転生した令嬢と、誰にも愛されなかった王子が、少しずつ成長していく物語。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

鬼の兵法伝承者、異世界に転世せしむる

書仙凡人
ファンタジー
俺の名は桜木小次郎。 鬼一法眼を祖とする鬼一兵法の令和の伝承者。 だがある時、なぜか突然死してしまったのだ。 その時、自称神様の変なペンギンが現れて、ファンタジー世界の転生を持ちかけられた。 俺はヤケになって転生受け入れたら、とんでもない素性の奴にログインする事になったのである。 ログイン先は滅亡した国の王子で、従者に毒盛られて殺されたばかり。 なにこれ? クーリングオフねぇのかよ!

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...