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第17話 帰還
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奈村は樹に『ナ』と言う傷をつけ距離を取った。
その顔には笑みが浮かんでいる。
『それがなんだ?我に傷を付けられるって事の証明か?』
樹が奈村たちに問い掛けるのに対し安居さんはただ奈村の行動の意味を必死に考えていた。
傷を付けたからお前は俺のもの?
いや、このまま傷をつけ続ければお前を倒せる…いやいやいやいや無理でしょ?!
安居さんが頭の中でグチャグチャになる思考は奈村からでた一言で落ち着いた。
「これで終わりです。」
…っえ?何が?
樹と安居さんの両方が暫し固まって同時に同じ事を考えた。
そこで安居さんはハッと気付く…
「樹の根が消えた。」
そう先程まで二人を威嚇して振り回していた根が既に何処にもなかったのである。
それには樹自身も気付いてなかった様で焦り根を再び出して攻撃しようとしたが何も出ない?!
そして、樹が作り出していた闇の空間がまるで万華鏡の様に光の線が目まぐるしく動き回り辺りは小高い丘の上に樹が一本生えている風景に変わった。
樹の後ろに見える美しい海は太陽の光を反射させ世界を色鮮やかに照らす。
冷たい風が柔らかく通りすぎる中、樹は質問した。
『心地よい気持ちだ。一体何をしたのだ?』
奈村はいつもの笑顔を樹に向けて地面から少し見えている自らが残した『ナ』の文字を指差し話す。
「シナさん、あなたは希望通りに本になったのです。」
その言葉が全てを物語っていた。
樹の最後の意識が消えようとしている。
本は自らの意思を持たない。
だから本となった樹は消えるのだ。
『ありがとう…これで私は本なのだな…』
それは奈村に言ったのか分からないが樹は納得しその言葉を最後に何も言わなくなった。
そして、二人の体を光が包み込む。
「おやここは?」
奈村と安居さんはレジの前に立っていた。
二人の横の机の上にはあの本が置かれている。
そう、ここは滋賀県にある本の森の店内であった。
外は既に夜になり時刻は午後10時を過ぎたぐらいだった。
二人は遂に現実世界に生還したのだ!
その顔には笑みが浮かんでいる。
『それがなんだ?我に傷を付けられるって事の証明か?』
樹が奈村たちに問い掛けるのに対し安居さんはただ奈村の行動の意味を必死に考えていた。
傷を付けたからお前は俺のもの?
いや、このまま傷をつけ続ければお前を倒せる…いやいやいやいや無理でしょ?!
安居さんが頭の中でグチャグチャになる思考は奈村からでた一言で落ち着いた。
「これで終わりです。」
…っえ?何が?
樹と安居さんの両方が暫し固まって同時に同じ事を考えた。
そこで安居さんはハッと気付く…
「樹の根が消えた。」
そう先程まで二人を威嚇して振り回していた根が既に何処にもなかったのである。
それには樹自身も気付いてなかった様で焦り根を再び出して攻撃しようとしたが何も出ない?!
そして、樹が作り出していた闇の空間がまるで万華鏡の様に光の線が目まぐるしく動き回り辺りは小高い丘の上に樹が一本生えている風景に変わった。
樹の後ろに見える美しい海は太陽の光を反射させ世界を色鮮やかに照らす。
冷たい風が柔らかく通りすぎる中、樹は質問した。
『心地よい気持ちだ。一体何をしたのだ?』
奈村はいつもの笑顔を樹に向けて地面から少し見えている自らが残した『ナ』の文字を指差し話す。
「シナさん、あなたは希望通りに本になったのです。」
その言葉が全てを物語っていた。
樹の最後の意識が消えようとしている。
本は自らの意思を持たない。
だから本となった樹は消えるのだ。
『ありがとう…これで私は本なのだな…』
それは奈村に言ったのか分からないが樹は納得しその言葉を最後に何も言わなくなった。
そして、二人の体を光が包み込む。
「おやここは?」
奈村と安居さんはレジの前に立っていた。
二人の横の机の上にはあの本が置かれている。
そう、ここは滋賀県にある本の森の店内であった。
外は既に夜になり時刻は午後10時を過ぎたぐらいだった。
二人は遂に現実世界に生還したのだ!
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