絶対無敵のアホウ

昆布海胆

文字の大きさ
5 / 25

第5話 理解を超えた異次元の戦い

しおりを挟む
星々を飲み込んで一瞬にして蒸発させたレーザーの様な巨大な光線が落ち着いたそこには完全な無が広がっていた。
デビルバハムートは口を閉じて周囲に気を配る・・・

『やはり当たらなかったか』

そう念話で全方位に言葉を発信されヒロシは溜め息を吐きながら言葉を返す。

「お前何処に居るのか分からないからってズルイぞ」

ヒロシが立っていたのは月の様な小さな惑星であった。
デビルバハムートは念話を全方位に発信しその念話が拾われるポイントをソナーを使うようにヒロシの位置を確かめたのだ。
そこに立つヒロシに視線を向けるとヒロシは空に手を翳す。

『強き者よ、お前のそれも十分反則なのだがな・・・』

そうデビルバハムートが口にする。
それと同時に空中に幾つもの瓶が現れその場で割れる。
すると空中に飛散した中身の効果でデビルバハムートのギガフレアで消滅させられたはずのバハムート達が生き返る。
死者ですら死んでから10分以内であれば完全回復させて生き返らせるラストエリクサーであった。

「でもまぁ少しはダメージ与えられたみたいだからな」

そう言ってヒロシは空に浮かぶ数千にも及ぶバハムート達を元の世界へ送る。
そして、この空間にヒロシとデビルバハムートだけになった。

『強き者よ、我を滅ぼしてくれると述べていたがその程度ではまだまだ無理そうだな』
「そうでもないさ、少なくともお前が世界を食い尽くしたせいもあって受けたダメージを回復する統べはないんだろう?」
『やはり気付いていたか・・・』

そう、この世界の生きとし生きるモノ全ては目の前のデビルバハムートによって全て滅ぼされている。
その為、受けたダメージを回復する方法をデビルバハムートは持っていないのだ。

『それでもお前達人間は地を這う虫、そうである以上我にはどうあがいても永遠に届かん』
「あまり人間を舐めるなよ!」

そう言ってヒロシはデビルバハムートを見上げる。
だがそう告げられるのも無理は無い、実際問題ヒロシは星の上に立って宇宙を飛び回るデビルバハムートに直接攻撃を行なう事は通常なら無理なのだ。
アホウを使う事で宇宙空間でも何事も無く動けるヒロシではあるが空を飛ぶ事は出来ないのである。
その筈のヒロシの言葉にデビルバハムートは顔を歪める。
そう、ヒロシが取り出したのは黄色いとても小さな物体であった。
ヒロシはそれを頭に装着しスイッチを入れる。
すると不思議な事にヒロシの頭上でそれは回転してヒロシの体は宙に浮かび上がった。

「どうだ、これが人間の科学の力ってやつだ」

そう、これこそがヒロシが別世界から取り寄せたアイテム『タケ■プター』である。
帽子の上に装着したのにも関わらず体ごと空に浮かび上がる理由は不明だが実際問題ヒロシは空に浮かび上がっていた。

『ククク・・・全く、強き者よ・・・お前を見ていると世界を滅ぼしたのを後悔するぞ』

ヒロシはこれで対等だとデビルバハムートの正面に立つ、それでもその体の比較は象と蟻以上の差があり到底相手になるはずが無いは一目了見である。

『それに、そろそろ時間の様だからな』
「なら最後にこれを喰らって行くといいさ」

そう口にしたヒロシはアホウを使用して何も無い空間から1本の紅い槍を取り出した。

『それが今回お前が我を滅ぼす為に用意した物か?面白い』
「とりあえずこれでも喰らってろ!」

ヒロシとデビルバハムートの間に物凄い数の魔方陣が宙に浮かんだ状態で出現しヒロシはその紅い槍を構えて一つの魔方陣の中へ飛び込む!
その場から消えたと思われたヒロシは離れた場所の魔方陣から出現し再び別の魔方陣の中へ飛び込む。

『出現先を撹乱して我に意識外からの攻撃を仕掛けるつもりか?だがそうはいかんぞ』


そう全方位に念話を送ったデビルバハムートは両翼を再び広げる。
そして、その翼に放電現象の様な物が発生し中心にブラックホールを備えた魔球を幾つも出現させる。

『インパルス』

数々の魔球は瞬時に周囲へ飛び散り空中に浮かんだ魔法陣に触れると共にその周囲の空間ごと中心に粉砕しながら吸収され消滅する。
ヒロシの出現させた魔法陣の殆どがデビルバハムートのインパルスで消滅したその時であった。
デビルバハムートから遥か離れた場所に現れたヒロシは自身を一つの恒星によりその姿を隠していた。
そして、その恒星へ向けて手にしていた紅い槍を投げつける!

「もういっちょ!」

再びヒロシは別の場所へ移動して恒星へ向けてもう一本出した紅い槍を投げつける。
ヒロシの投げた槍は恒星、つまり太陽に飲み込まれるがその太陽自体を槍が吸収し中心に宿った槍の進行方向へ動かす。
ヒロシが同じ要領で紅い槍を使用して太陽を4つデビルバハムートへ向けて動かしたのだ!

『ぬっ?!面白い!』

自身に4方向から迫る4つの太陽に気付いたデビルバハムートは両翼で自身を包み込むように防御の姿勢をとった。
そして、4つの太陽はデビルバハムートに衝突し物凄い熱量が互いに互いを焼き尽くそうと燃え上がり大爆発を起こす!
その爆発の中心を飛び続けていた4本の槍が熱の壁を突き破りデビルバハムートの翼を貫通して皮膚に届いた!

『ぐぉぉぉぉぉぉおおおお!!!』

デビルバハムートの痛みに耐える声が念話で響き渡る。
体に小さな、本当に小さな傷ではあるが体内にまで届いた4本の槍が通過した場所を4つの太陽の熱が焼いていく。
しかし、それすらも単なる時間稼ぎであった。
デビルバハムートから遥か離れたその場所にいつの間にか巨大な戦艦の様な生き物が出現していた。
そいつは近くに在った一つの星そのものに魔法陣を浮かび上がらせて星を一つの魔法陣とした。
そして、そいつから宇宙空間を焼くほどの熱を持ったレーザーが放たれた。
そのレーザーは魔法陣と化した星そのものを飲み込んで増幅されてそのまま4つの太陽に焼かれてながら体内を槍によって傷つけられているデビルバハムートへと襲い掛かった!
まるで一つの宇宙がそこから誕生しそうなくらいのエネルギーが発生し4つの太陽が臨界点を突破して大爆発を引き起こす。
その爆発は一つの銀河を一瞬で燃やす様な勢いで発生して中心に居たデビルバハムートの軽々と飲み込む。

「これで止めだ!」

ヒロシがそう叫んで振り被ったのは5本目の紅い槍であった。
その槍の名前はロンギヌスの槍!
大爆発の中に飛び込んだ槍は爆発毎デビルバハムートを動かして吹き飛ばす。
だがその爆発が急に小さくなり爆発内を通過した紅い5本の槍が慣性を失って宙に浮かぶ。

「くそっこれでも駄目だったか・・・」

ヒロシは今回も仕留める事が出来なかった事を悔やみ手元へ5本の紅い槍を引き戻す。
そして、槍が消えると共にヒロシの姿もその場から消え去る。
この日、滅びた世界で一つの銀河にある半分以上の星がヒロシとデビルバハムートの戦いで消滅したのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

本能寺からの決死の脱出 ~尾張の大うつけ 織田信長 天下を統一す~

bekichi
歴史・時代
戦国時代の日本を背景に、織田信長の若き日の物語を語る。荒れ狂う風が尾張の大地を駆け巡る中、夜空の星々はこれから繰り広げられる壮絶な戦いの予兆のように輝いている。この混沌とした時代において、信長はまだ無名であったが、彼の野望はやがて天下を揺るがすことになる。信長は、父・信秀の治世に疑問を持ちながらも、独自の力を蓄え、異なる理想を追求し、反逆者とみなされることもあれば期待の星と讃えられることもあった。彼の目標は、乱世を統一し平和な時代を創ることにあった。物語は信長の足跡を追い、若き日の友情、父との確執、大名との駆け引きを描く。信長の人生は、斎藤道三、明智光秀、羽柴秀吉、徳川家康、伊達政宗といった時代の英傑たちとの交流とともに、一つの大きな物語を形成する。この物語は、信長の未知なる野望の軌跡を描くものである。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

妻に不倫され間男にクビ宣告された俺、宝くじ10億円当たって防音タワマンでバ美肉VTuberデビューしたら人生爆逆転

小林一咲
ライト文芸
不倫妻に捨てられ、会社もクビ。 人生の底に落ちたアラフォー社畜・恩塚聖士は、偶然買った宝くじで“非課税10億円”を当ててしまう。 防音タワマン、最強機材、そしてバ美肉VTuber「姫宮みこと」として新たな人生が始まる。 どん底からの逆転劇は、やがて裏切った者たちの運命も巻き込んでいく――。

処理中です...