異世界で音ゲー革命! 音楽ゲームが異世界に進出?!

昆布海胆

文字の大きさ
23 / 86

第23話 ナーヤ、初めての突破者となる!

しおりを挟む
中盤に出現するANOTHERと同じようなくるくる回る配置にて休憩と回復を行なったナーヤは僅かな時間では在るが磨り減った精神力を回復させる事に成功していた。
ただ、この部分ですら周囲の観客からしたら結構難易度が高くそこに頂点に君臨する二人のプレイヤーとの力の差を示す結果となる。

「すげぇ・・・あそこが休憩ゾーンなのかよ・・・」
「ありえないだろ・・・」

そんな声が所々で漏れるがDDRから流れる重低音にかき消されナーヤにそれが届く事は無い。
集中力を切らさないようにしながらも回復に努めたナーヤは4回繰り返されたフレーズが終わり僅かな休憩の隙間で肺に残った空気を一度吐き出す。
そして、MANIACトラップマシーンのラストラッシュが襲い掛かってきた!

DDRにおいて他の音ゲーと大きく違う点に足を使うのでプレイするのと共にバランスを取らないと駄目と言うのが在る。
特にジャンプが必要な同時踏みにおいては判断力も必要になってくるのだ。
認識してからジャンプして同時踏みを行なう、だがそこから次の譜面にバランスを崩さないように続けるにはジャンプで止まってしまってはいけない。
それを示すように出現した譜面は・・・
裏打ち同時からの8分踏みである。

「な・・・なんだよあれ・・・」

誰かの言葉が観客の中から漏れる。
それはそうだろう、同時踏みを行なうにはジャンプが必要だ。
そうなると着地の時にバランスを取る必要があるのだが、そのバランスを取るべきタイミングで次の譜面が来ているのだ!
だがナーヤはロクドーのプレイを見ていた。
知識として知っている、それだけでも大きく違うのが音ゲーなのだ!

初めて見る複雑な配置にも関わらずナーヤは一瞬焦りはするが大きなミス無く突破して行く。
その姿にズーは額に血管を浮かべピクピクと半切れになりながら見詰める。
そして、次々襲い掛かる複雑な配置に唖然とする観客達を放置してナーヤはゲージを切らさないように突き進む!
ミスが無いわけではない、だが踏み遅れてもワザと1歩捨てて追いついたりする高等テクニックを見せつけながら先へ進む!
その失敗をすぐさま挽回するテクニックこそナーヤが今まで沢山ミスをしてきた証拠であろう。
そして、足腰に疲労が溜まりナーヤの動きに精細を欠き始めた時に遂にやってきた。

デデッ♪デデッ♪デデッ♪デデッ♪

そう、トラップマシーンのラストに控える8分の2連が4回来る特殊配置!
最後の最後に他の曲には存在しないその独特にリズム、4分と裏打ちが交互に繰り返されるリズムに最後の力を振り絞って踏むナーヤ!
既にナーヤの体力も限界が近かった。
ただ踏むだけだが音楽に合わせてバランスを取りながらプレイするDDRは通常よりもはるかに体力と精神力を消耗するのだ。
しかもこのエクストラステージは通常よりも1曲多くプレイしているのである。
ジャンプと共に宙を舞う汗が筐体からの光に照らされ空中で幻想的光景を映し出し観客の誰もが疲労困憊のナーヤの必死な姿に魅了された。

そして・・・曲が修了し普段は賑やかな元酒場の店内に静寂が訪れる・・・
誰も言葉を発しない・・・
自分の眼で誰もが人類が新たなステージに到達したのを目撃したのだ。
その静寂は筐体から発せられる歓声によって破られた。

「ワーー!!!!!」

クリアを知らせるその歓声に目の前の光景に固まっていた観客達は次々と声を上げる。

「う、うぉおおおおおお!!!」
「すげぇええええやりやがったぁああああ!!!」
「格好いいぞねぇちゃん!!!」
「わあああああああ!!!」
「きゃあああああああ!!!」
「結婚してくれーーーーー!!!」
「汗だくのそのまま抱き締めてぇええええ!!!」

とんでもないカミングアウトが歓声の中に混ざりながら店内に響くがそれはナーヤに届く事は無かった。
そんな中、ズーだけが両腕を組みながらナーヤを睨みつけ口にする・・・

「なるほど、確かに上手い・・・認めてやるよ、だがここまでだ。MANIACパラノイヤを先に攻略するのはこの俺だ!お前はこの国でナンバー2で俺がナンバー1なんだよ!!!」

唯でさえ悪い目つきを更に酷く歪め眉間に皺を寄せ口にするズーであった。
だが周囲からの歓声でその言葉はナーヤに届く事はなかった。
しかし、その威圧的な気配はナーヤに届きナーヤもズーを見詰め返す。
この二人によるパラノイヤ最速攻略の勝負は直ぐに決着を迎えることとなるのだがズーはまだ知らない。
そこには二人の小さな差が決定的な理由となる・・・
すなわち、ズーにとって自分とナーヤが現在の最強DDRプレイヤーであるが・・・
ナーヤにとってはエミと言った自分と同格かそれ以上の実力者を知っており、更に生みの親のロクドーの実力の一旦を知っているナーヤはその力の差を理解していた。
ただ、ロクドーの本気の実力を過小評価しているのはまだナーヤは知らない。
ロクドー・・・シャッフル掛けてもMANIACパラノイヤですらPFCを容易く踏み出すレベルなのだが想像の遥か上に居るなんて思いもしなかった。

※PFC:パーフェクトフルコンボの略、最高判定のパーフェクトのみで全ての矢印を踏んでその曲の理論値と呼ばれる限界得点を出すこと。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

処理中です...