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第27話 ドワーフにドラムフリークス

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音ゲーと言うのは面白い物である。
誰もクリア出来なかった曲をある日突然一人がクリアしたと同時に何人もクリア達成者が現われる。
そして、異世界でもそれは同じであった・・・

「やった・・・やったぜ!」

ナーヤがMANIACパラノイヤをクリアしたその日、別の場所にてズーもMANIACパラノイヤをクリアしていたのだ。
ロクドーの貼り出したキングオブフリースタイルダンサーズの広告の効果もあり酒場にはいつも以上の多数の客が押し寄せ順番待ちをしていた所に達成者。
場は大盛り上がりであった。

そして、ナーヤがクリアしたのと同時にロクドーの体にも一つの異変が起こっていた。
それは異世界での音ゲープレイヤーが一定数を超えた事でロクドーの体に秘められていた力が解放されたのである。
それと同時にロクドーの全身から一気に魔力が放出されそれは異世界中に飛び散った。
流星の様に飛んだその魔力の塊はまるで繋がっているようにロクドーが産み落とした音ゲーの元へと飛んで行った。

「なっなんだ?!」

王城へと落ちた流星はビートDJマニアに入り込み筐体が輝く!
そして3rdMIXだった筐体が進化し『completeMIX』へ進化した。
また流星はエルフの国にも飛んで行きそこに置かれていたギターマニアを2ndMIXへと進化させた。
更に精霊達の持ち帰ったポップンでミュージックも2へと進化した。
異世界で同時に起こったこの変化は今後同じように続いていく事となるのである。

「おい!何か飛んできたぞ?!」

いつもの酒場でも同じように隆盛がDDR筐体へ落下し誰もが見守る中・・・
DDRも2ndMIXへと進化を果たしその場に居た誰もがその奇跡の瞬間に立ち会う。
ズーがMANIACパラノイヤをクリアし完全攻略を成し遂げたと思った矢先の出来事であった。








「ん・・・んんん・・・ここは・・・」
「気が付きましたか?ロクドーさん。3時間くらい倒れてましたよ」

エミに膝枕されて目を覚ましたロクドーは魔力欠乏症にも似た体のダルさを感じていた。
しかし、直ぐに自身の体の底から溢れ変える魔力の鼓動を感じ体を起こす。

「誰か・・・来る」

ロクドーに気配察知のスキルなんて無かった。
だが何かを感じ取ったロクドーは意識を玄関の方へ向ける。
そして、そこに入ってきたのは小柄な体に屈強な肉体を持つ髭の濃い人物。
そう・・・ドワーフであった。

「先程の異常な魔力の放出・・・お前がロクドーだな?」
「貴方は?」
「ドワーフのギンタだ。お前に頼みがある、我々ドワーフでも出来る音ゲーを生み出してくれないか?」
「ドワーフでも出来る音ゲー?」

ロクドーの疑問も仕方ないだろう、その後の話しでドワーフは生まれつき音楽センスが皆無だと言う話を聞いた。
何かを作ったり壊したりするのは得意だが細かい作業は苦手と言う事でエルフにロクドーが提供したギターマニアはプレイしたが全然話しにならなかったと言うのだ。
元々エルフと交流はあるが仲が悪いと言う事を知っていたロクドーはエルフとドワーフの間の架け橋となる音ゲーとして一つの音ゲーを思いついていた。
そう、誰もが知ってるあの音ゲー・・・

『ドラムフリークス』である。








「ここがドワーフの村だ」
「エルフの村と近いんですね」

旅の扉を使用する事が普通に出来るロクドーの異常な魔力にドワーフのギンタが唖然としていたのは言うまでも無いがとにかくロクドーはドワーフの村までやって来ていた。
そして、ドワーフ達が集まって会議を行なう集会所へと案内された。
建造や建築もお手の物のドワーフが作った集会所はとても立派な造りで前世の映画で見た古代ローマ帝国の建造物を思い出させるような造りだったのに驚きを隠せいロクドーであった。

「小宇宙と書いてコスモを感じた事ありますか?」
「なんだそれは?美味いのか?」

そんな意味不明な会話を繰り広げてロクドーは集会所の日光が直撃しない場所に立ち両手を突き出しいつもの呪文を唱える・・・

「スキル『創造具現化』を発動!」

まばゆい光の粒子が集まりそれを形作っていく・・・
人間ではありえない・・・いや、エルフですらありえないとんでもない魔力にその場に居たドワーフの面々は机の下に隠れたり建物から逃げ出したりと大騒ぎになったのだが直ぐにその魔力は落ち着く。
そして、彼らの前に出来上がった絶壁の様な魔道具。
正面にに画面が在り足元に1つのペダル、そして正面に5つの物体。
そう・・・打楽器を元に再現された音ゲー『ドラムフリークス』であった。

「そして!」

直ぐ真横に再び立ちロクドーは再び両手を突き出し魔力を込める。
そして、真横にエルフの国にも作ったギターマニアを設置した。
異常な魔力を消費した事で意識が少し朦朧としていたがロクドーはやりきった満足気な表情を浮かべドワーフの面々に最後の力を振り絞って説明をする・・・
そして・・・

「あっ・・・スティックと椅子が無い・・・」

操作説明を終えてその言葉を残して再び意識を失うのであった。
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