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第1話 異世界に呼ばれた僕は弱くて錬金術師だった
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「あれっ?」
僕は今、目の前の光景に思考が追い付いていなかった。
今さっきまで実家居間でゴロゴロしていてトイレに行こうと部屋を出たはずだった。
なのに今の自分の前にはひれ伏した兵士が3人居た。
振り返っても石が敷き詰められた床、電灯ではなく松明で照らされた明かり、異様に高い石で出来た天井・・・
「召喚に応じていただきありがとうございます。勇者様」
兵士の一人が立ち上がってそう告げてくる。
僕以外に誰か居るのだろうかと振り返ってみるが・・・もちろん誰も居ない・・・
困惑したまま自分を指差して・・・
「ぼ・・・僕の事ですか?」
「はい、突然の事で混乱されている模様ですが王が今すぐに会いたいと申しております。すみませんがご一緒に付いて来て下さい」
そう兵士に言われ左右を挟む形で残りの2人が僕の横に並んで歩き出す。
一緒に行くつもりは全く無かったのだが何故か体が勝手に歩き出して3人と共に建物の中を歩いて行った・・・
「こちらでございます。失礼します」
長い廊下を歩き終えて辿り着いた扉に向かって礼をしてから兵士が扉を押し開ける。
そこは綺麗に整ったまさしく王の間と呼ぶに相応しい装飾の成された部屋であった。
その部屋の奥は一段高くなっておりそこに座る王の姿が見えた。
「それでは参りましょう」
そう言われ歩き出した兵士と共に僕の足も勝手に進んで行き段差の手前で兵士がしゃがみ、それに続いて体が勝手にしゃがんで頭を下げた。
「突然のお呼び出しを大変申し訳ない、ワシはこの国『ケイ国』の王をしておるケイオーンである」
「えっと、イマイチ状況が理解できないのですが僕の名前は大場 家門と言います」
「カモン殿か、中々勇ましい名前だな。それで早速だがワシの話を聞いてはくれんか?」
そうして話されたのはこのケイ国を中心に東西南北に存在する4つの種族がこの国を狙っていると言う話であった。
北の魔族、東のエルフ族、西のドワーフ族、南の獣族。
毎日の様に戦闘が行なわれ疲弊した国を救う為に異世界の勇者を召喚したと言う話であった。
「あの・・・僕って帰れるのでしょうか?」
「うむ、それであるが・・・すまぬが現状では不可能である、だが4つの種族が持つ種族コアがあれば帰せると思う」
種族コア、それは4つの種族が各々暮らす国で自然と発生する謎のアイテム。
使用すれば願いが叶うと言われている。
それを使えばカモンを帰す事が可能だと言うことであった。
なんとも一方的で身勝手な話であるがケイオーン王の態度は非常に余裕を含んだものであった。
「安心なされよ、異世界召喚で呼び出させて頂いたカモン殿には特殊な力と職業が与えられている筈なのである!」
そう言ってケイオーン王が手を叩いて音を鳴らすと横に立って並んでいた兵士の間から1人の青年がカモンの横に向かって歩いてきた。
殺意はないがあまり面白くなさそうな表情のままケイオーン王に一礼してカモンの横に立つ。
「ふむ、上級鑑定士は今日は不在か?」
「はい、北の森の近くまで採掘に出た者達の助けに呼ばれたようです。ですので今日はこの中級鑑定士が行ないます」
「ふむ・・・仕方ないのぅ、それでは宜しく頼むぞ」
そう言われた青年は両手をカモンに向けて広げたまま近付いてきた。
そして、口からカモンのステータスを述べていくのであった・・・
HP : 80
MP : 00
力 : B
素早さ: C
防御力: D
魔力 : C
精神力: D
職業:錬金術師
「・・・・・・はっ?」
王のその一言で誰もザワザワと騒ぎ始めた。
そう、カモンのステータスが異常に低かったのだ。
それを知った誰もが小声で小さく騒ぎ出す。
「えっ・・・弱くね?」
「嘘だろ?錬金術師?」
ザワザワとざわめくがそれを止めようともしないケイオーン王もカモンのステータスを聞いて固まっていたのだ。
襲い掛かってくる4つの種族に対抗する為に勇者召喚を行なったのにも関わらずあまりにも弱いステータス、そして何より戦闘職ではない錬金術師。
それを知って指で額を押さえて頭を静めるのであった・・・
僕は今、目の前の光景に思考が追い付いていなかった。
今さっきまで実家居間でゴロゴロしていてトイレに行こうと部屋を出たはずだった。
なのに今の自分の前にはひれ伏した兵士が3人居た。
振り返っても石が敷き詰められた床、電灯ではなく松明で照らされた明かり、異様に高い石で出来た天井・・・
「召喚に応じていただきありがとうございます。勇者様」
兵士の一人が立ち上がってそう告げてくる。
僕以外に誰か居るのだろうかと振り返ってみるが・・・もちろん誰も居ない・・・
困惑したまま自分を指差して・・・
「ぼ・・・僕の事ですか?」
「はい、突然の事で混乱されている模様ですが王が今すぐに会いたいと申しております。すみませんがご一緒に付いて来て下さい」
そう兵士に言われ左右を挟む形で残りの2人が僕の横に並んで歩き出す。
一緒に行くつもりは全く無かったのだが何故か体が勝手に歩き出して3人と共に建物の中を歩いて行った・・・
「こちらでございます。失礼します」
長い廊下を歩き終えて辿り着いた扉に向かって礼をしてから兵士が扉を押し開ける。
そこは綺麗に整ったまさしく王の間と呼ぶに相応しい装飾の成された部屋であった。
その部屋の奥は一段高くなっておりそこに座る王の姿が見えた。
「それでは参りましょう」
そう言われ歩き出した兵士と共に僕の足も勝手に進んで行き段差の手前で兵士がしゃがみ、それに続いて体が勝手にしゃがんで頭を下げた。
「突然のお呼び出しを大変申し訳ない、ワシはこの国『ケイ国』の王をしておるケイオーンである」
「えっと、イマイチ状況が理解できないのですが僕の名前は大場 家門と言います」
「カモン殿か、中々勇ましい名前だな。それで早速だがワシの話を聞いてはくれんか?」
そうして話されたのはこのケイ国を中心に東西南北に存在する4つの種族がこの国を狙っていると言う話であった。
北の魔族、東のエルフ族、西のドワーフ族、南の獣族。
毎日の様に戦闘が行なわれ疲弊した国を救う為に異世界の勇者を召喚したと言う話であった。
「あの・・・僕って帰れるのでしょうか?」
「うむ、それであるが・・・すまぬが現状では不可能である、だが4つの種族が持つ種族コアがあれば帰せると思う」
種族コア、それは4つの種族が各々暮らす国で自然と発生する謎のアイテム。
使用すれば願いが叶うと言われている。
それを使えばカモンを帰す事が可能だと言うことであった。
なんとも一方的で身勝手な話であるがケイオーン王の態度は非常に余裕を含んだものであった。
「安心なされよ、異世界召喚で呼び出させて頂いたカモン殿には特殊な力と職業が与えられている筈なのである!」
そう言ってケイオーン王が手を叩いて音を鳴らすと横に立って並んでいた兵士の間から1人の青年がカモンの横に向かって歩いてきた。
殺意はないがあまり面白くなさそうな表情のままケイオーン王に一礼してカモンの横に立つ。
「ふむ、上級鑑定士は今日は不在か?」
「はい、北の森の近くまで採掘に出た者達の助けに呼ばれたようです。ですので今日はこの中級鑑定士が行ないます」
「ふむ・・・仕方ないのぅ、それでは宜しく頼むぞ」
そう言われた青年は両手をカモンに向けて広げたまま近付いてきた。
そして、口からカモンのステータスを述べていくのであった・・・
HP : 80
MP : 00
力 : B
素早さ: C
防御力: D
魔力 : C
精神力: D
職業:錬金術師
「・・・・・・はっ?」
王のその一言で誰もザワザワと騒ぎ始めた。
そう、カモンのステータスが異常に低かったのだ。
それを知った誰もが小声で小さく騒ぎ出す。
「えっ・・・弱くね?」
「嘘だろ?錬金術師?」
ザワザワとざわめくがそれを止めようともしないケイオーン王もカモンのステータスを聞いて固まっていたのだ。
襲い掛かってくる4つの種族に対抗する為に勇者召喚を行なったのにも関わらずあまりにも弱いステータス、そして何より戦闘職ではない錬金術師。
それを知って指で額を押さえて頭を静めるのであった・・・
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