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迷一休さん
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ここはダンジョンの資源で栄えた迷宮都市『ナイスバディ』、冒険者がダンジョンに潜って毎日働くこの町に有名なお坊さんが居た。
何処からともなく現れて謎の言葉を残して姿を消すこのお坊さん、人は彼をダンジョンの霊だという・・・
その名は・・・
『迷一休さん』
今日もまた一人の女冒険者が冒険者ギルドで荒れていた。
「ちくしょー!男なんてー!!男なんて―!!!!」
彼女はズボラ、先日パーティーを組んでいた男冒険者に告白をして見事に撃沈した女性冒険者である。
赤い髪に赤い目と燃える様な情熱的な印象を受ける彼女だが・・・
実は彼女、この都市にある実家で暮らすなんちゃって冒険者である。
ダンジョンに潜りはするが、浅い階層でしか活動を行っておらず、日々の稼ぎは微々たるものである。
そんな彼女の夢は・・・逆玉!
俗に言う金持ちと結婚して専業主婦になるのを夢見る女性である。
だが既に30代後半に差し掛かって焦りが見え始めていた。
化粧で誤魔化しているが、逆にその化粧のせいで男性冒険者に気味悪がられている。
「うぅ・・・」
酒が回って来たのかズボラは虚ろな目で机に体重を預けていた。
逆玉どころか自分に言い寄る男すらもここ数年は見かけなくなっていた。
そんな日常に嫌気がさしてきた彼女はつぶやく・・・
「どうせ私に結婚してくれなんて言う人が居るわけないのよ・・・」
『そんな事は無いですよ』
突然その言葉が聞こえ、ズボラは顔を前に向けた。
するとそこには何時の間にか一人のお坊さんが座っていた。
『貴女は素敵な女性だ。もっと自分に自信を持って下さい』
「なによあんた~」
そんなお坊さんの言葉にイラっとしたズボラは眼を鋭くして睨みつける。
だがそんなズボラの言葉が届いているのかいないのか、お坊さんは続ける・・・
『それじゃあこういうのはどうですか?今日一日が終わるまでに誰かが貴女に『結婚してくれ』って言わなかったら貴女と結婚します。ですが、言われたら貴女の大切な物を頂きます』
「ははっ何よそれ?いいわよ、やってやろうじゃないの!約束よ、私と結婚して私を養って甘やかせてね!」
『はい、わかりました』
そう言ってお坊さんはいつのまにか姿を消していた・・・
ズボラに支払いを押し付けて・・・
「な~にが『結婚してくれ』って言われなかったらよ」
あれから歩ける程度に酒が抜けるまで冒険者ギルドでボケーとしていたズボラだったが、誰からも声を掛けられることも無く帰路についていた。
千鳥足で自宅に辿り着き、両親の待つ家の玄関を大きな声を出して開ける。
「ただいま~!」
ズボラは少しご機嫌であった。
酒が抜け始めた事で思い出したのだ。
このナイスバディで神出鬼没の謎のお坊さん『迷一休さん』の事を・・・
「くふふ・・・かなり金持ちって噂だからな」
そう含み笑いをしながら両親に報告をする・・・
「あらズボラ今日は遅かったわね」
「あぁお母さん、今日ねちょっと良い事があってね」
「そうなの?まぁいいわ・・・それより、貴女いつになったら家を出て行くの?」
「えぇ~またその話~?」
これはズボラが20歳になる頃から言われている事・・・
それはそうである、家にお金も全く入れず稼いだお金を全て酒につぎ込んでいるのだから。
「私達もいつまでも貴女の面倒を見続けるわけにはいかないのよ。分かってる?」
「分かってるって」
「お父さんも言ってるわよ・・・ズボラが家を出てくれる為に早く誰かと『結婚してくれ』ないかなぁ~って」
「えっ・・・」
その瞬間、ズボラの耳に『結婚してくれ』の言葉だけが大きく響き・・・
『約束です。大事な物を頂きます』
そう頭の中で一言声が聞こえるのであった・・・
ねぇ知ってる?迷一休さんの話
あぁ聞いた事あるよ、確か話しかけられた本人しか姿が見えない魔物なんだろ?
なんでも変な賭け事の約束をしてきて、賭けに負けると大事な物が取られるんでしょ?
そうらしいんだ、ほらっ彼女を見てみろよ
そこにはズボラが一人今日のダンジョンの成果を受付に提出していた。
その量があまりにも多く、受付の人々は慌てた様子で処理を進めていく・・・
へぇ、彼女働きものなんだな
違うんだ。あの女冒険者、前は凄い怠惰な人だったらしいんだ。
えぇ!?でも凄い生き生きとした顔で頑張っているようだよ?
誰もが奇妙だと言い続けるズボラの変化・・・
誰も知らない・・・ズボラが迷一休さんに奪われた物が『心』だという事を・・・
そう、ズボラは迷一休さんに心を奪われ、推しとしてお金を貢ぐ為に稼ぐ様になったのである・・・
だが、ズボラは知らない、今後貯めたお金を迷一休さんに渡す機会が存在しない事を・・・
迷一休さんは話しかけられた本人しか見る事が出来ないのだ。
恋する乙女となったズボラは家事等も率先し熟す様になり、後に別の男性に猛アタックされて結婚する事になる。
何時の間にか奪われていた心が戻っており、いい奥さんになったそうな・・・
めでたしめでたし・・・
何処からともなく現れて謎の言葉を残して姿を消すこのお坊さん、人は彼をダンジョンの霊だという・・・
その名は・・・
『迷一休さん』
今日もまた一人の女冒険者が冒険者ギルドで荒れていた。
「ちくしょー!男なんてー!!男なんて―!!!!」
彼女はズボラ、先日パーティーを組んでいた男冒険者に告白をして見事に撃沈した女性冒険者である。
赤い髪に赤い目と燃える様な情熱的な印象を受ける彼女だが・・・
実は彼女、この都市にある実家で暮らすなんちゃって冒険者である。
ダンジョンに潜りはするが、浅い階層でしか活動を行っておらず、日々の稼ぎは微々たるものである。
そんな彼女の夢は・・・逆玉!
俗に言う金持ちと結婚して専業主婦になるのを夢見る女性である。
だが既に30代後半に差し掛かって焦りが見え始めていた。
化粧で誤魔化しているが、逆にその化粧のせいで男性冒険者に気味悪がられている。
「うぅ・・・」
酒が回って来たのかズボラは虚ろな目で机に体重を預けていた。
逆玉どころか自分に言い寄る男すらもここ数年は見かけなくなっていた。
そんな日常に嫌気がさしてきた彼女はつぶやく・・・
「どうせ私に結婚してくれなんて言う人が居るわけないのよ・・・」
『そんな事は無いですよ』
突然その言葉が聞こえ、ズボラは顔を前に向けた。
するとそこには何時の間にか一人のお坊さんが座っていた。
『貴女は素敵な女性だ。もっと自分に自信を持って下さい』
「なによあんた~」
そんなお坊さんの言葉にイラっとしたズボラは眼を鋭くして睨みつける。
だがそんなズボラの言葉が届いているのかいないのか、お坊さんは続ける・・・
『それじゃあこういうのはどうですか?今日一日が終わるまでに誰かが貴女に『結婚してくれ』って言わなかったら貴女と結婚します。ですが、言われたら貴女の大切な物を頂きます』
「ははっ何よそれ?いいわよ、やってやろうじゃないの!約束よ、私と結婚して私を養って甘やかせてね!」
『はい、わかりました』
そう言ってお坊さんはいつのまにか姿を消していた・・・
ズボラに支払いを押し付けて・・・
「な~にが『結婚してくれ』って言われなかったらよ」
あれから歩ける程度に酒が抜けるまで冒険者ギルドでボケーとしていたズボラだったが、誰からも声を掛けられることも無く帰路についていた。
千鳥足で自宅に辿り着き、両親の待つ家の玄関を大きな声を出して開ける。
「ただいま~!」
ズボラは少しご機嫌であった。
酒が抜け始めた事で思い出したのだ。
このナイスバディで神出鬼没の謎のお坊さん『迷一休さん』の事を・・・
「くふふ・・・かなり金持ちって噂だからな」
そう含み笑いをしながら両親に報告をする・・・
「あらズボラ今日は遅かったわね」
「あぁお母さん、今日ねちょっと良い事があってね」
「そうなの?まぁいいわ・・・それより、貴女いつになったら家を出て行くの?」
「えぇ~またその話~?」
これはズボラが20歳になる頃から言われている事・・・
それはそうである、家にお金も全く入れず稼いだお金を全て酒につぎ込んでいるのだから。
「私達もいつまでも貴女の面倒を見続けるわけにはいかないのよ。分かってる?」
「分かってるって」
「お父さんも言ってるわよ・・・ズボラが家を出てくれる為に早く誰かと『結婚してくれ』ないかなぁ~って」
「えっ・・・」
その瞬間、ズボラの耳に『結婚してくれ』の言葉だけが大きく響き・・・
『約束です。大事な物を頂きます』
そう頭の中で一言声が聞こえるのであった・・・
ねぇ知ってる?迷一休さんの話
あぁ聞いた事あるよ、確か話しかけられた本人しか姿が見えない魔物なんだろ?
なんでも変な賭け事の約束をしてきて、賭けに負けると大事な物が取られるんでしょ?
そうらしいんだ、ほらっ彼女を見てみろよ
そこにはズボラが一人今日のダンジョンの成果を受付に提出していた。
その量があまりにも多く、受付の人々は慌てた様子で処理を進めていく・・・
へぇ、彼女働きものなんだな
違うんだ。あの女冒険者、前は凄い怠惰な人だったらしいんだ。
えぇ!?でも凄い生き生きとした顔で頑張っているようだよ?
誰もが奇妙だと言い続けるズボラの変化・・・
誰も知らない・・・ズボラが迷一休さんに奪われた物が『心』だという事を・・・
そう、ズボラは迷一休さんに心を奪われ、推しとしてお金を貢ぐ為に稼ぐ様になったのである・・・
だが、ズボラは知らない、今後貯めたお金を迷一休さんに渡す機会が存在しない事を・・・
迷一休さんは話しかけられた本人しか見る事が出来ないのだ。
恋する乙女となったズボラは家事等も率先し熟す様になり、後に別の男性に猛アタックされて結婚する事になる。
何時の間にか奪われていた心が戻っており、いい奥さんになったそうな・・・
めでたしめでたし・・・
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