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気になる言葉 ④
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がた、ばたん、どたどた。
騒がしい音の数々にリェットの意識が浮上する。
机に突っ伏して寝てしまったようで、体を伸ばすといつの間にかかけられていた毛布が床にぱさりと落ちた。
おおかたリェットの様子を見に来たロークがかけてくれたのだろう。ロークはリェットの母親か。
断続的に聞こえる雑音を全て聞き流しながら簡単に身支度を整える。ふぁ…と欠伸を零し、この騒ぎの原因を知るために扉を開けた瞬間どん、と何かにぶつかられた。
「あ?」
「…なにやってるんだ」
ぶつかってきたのはローク。その肩にはいつも乗っている精霊がいない。
騒ぎの大元に関わっているのか、少しだけ汗をかいていた。
「おまえ、精霊は?」
「ん?それよりさ、お前の魔力、俺にくれねぇ?」
「…どういうことだ」
「直接的にいうと、噛ませてくれってこと。血が欲しいんだ」
「お前、誰だ」
「…ははっ♪さすがにすぐバレるよネェ」
けらけらとロークの姿で笑い、気持ち悪い言葉遣いをロークの声でいう偽物。
リェットが手を上げると何かを警戒して跳躍し、静かに降り立つとニヤリと口の端を歪めた。
「あ、僕のこと攻撃すればこの体も傷つくことを忘れずに♪体を返して欲しければ夜にまた会おうネェ」
あはははっ♪と高笑いしながら走り去っていくロークの姿をリェットは静かに見つめていた。
ぷくーとほっぺを膨らませるチェーニィはリェットの肩に座り、ムッスリと膨れているように見えるグラはリェットの足元で床をたしたししている。目に見えてイラついているようだ。
「なんなのですかあいつ…!ローク様のお体を勝手に使うなんて!!」
「落ち着け。あいつは自分の力を取り戻したいだけなんだ」
「どこから来たのです?」
『多分お本の中』
「あぁ。多分、俺の家にあった魔導書の中に封印されていたどれかだろう」
「そんなもの溜め込んでいたのですか…?」
「…悪い」
「謝るならローク様に謝ってください。私はその後にお説教しますね」
「怒られるのは確定なんだな…」
「当たり前ですよ?とりあえず、先走らないでくださいね。あなたが無理する必要はないですし、なにかあったらローク様も悲しまれますから」
その言葉に、リェットは頷くことはなかった。
グラと精霊であるチェーニイは朝から日が沈むまでロークのことを探し回ったせいで疲れが溜まってしまったのか夜ご飯を食べたらすぐに眠りの世界へと旅立ってしまった。
裁縫も出来るロークはグラとチェーニイ用の寝具のようものをいつの間にか作ってたようで、ロークの部屋にあったクッションに二人とも運んでおく。
リェットは小さくおやすみ、といって扉を閉じた。
「なら、さっさと片付けないとな。…意外だが、俺はお前のためなら何でもできそうだぞ?だから、心配かけるな」
誰かに語りかけるように呟いたその言葉は誰に届くでもなく、夜の澄んだ空に溶けていった。
自分の部屋から見える月をぼんやりと見ていると、今まで感じなかった違和感が自分のテリトリーである結界内に現れる。
ロークの体を乗っ取り、持っていったあの偽物が宣言通り来たということだろう。
グラには言外に行くなと言われていることに気づいていた僕だが、今回は無視させてもらおう。魔力補充なら魔法使いで一番保有量が多い俺が一番最適だからな。
ちりん、と音を立てるピアスに一度触れ、意を決すると部屋を出た。
騒がしい音の数々にリェットの意識が浮上する。
机に突っ伏して寝てしまったようで、体を伸ばすといつの間にかかけられていた毛布が床にぱさりと落ちた。
おおかたリェットの様子を見に来たロークがかけてくれたのだろう。ロークはリェットの母親か。
断続的に聞こえる雑音を全て聞き流しながら簡単に身支度を整える。ふぁ…と欠伸を零し、この騒ぎの原因を知るために扉を開けた瞬間どん、と何かにぶつかられた。
「あ?」
「…なにやってるんだ」
ぶつかってきたのはローク。その肩にはいつも乗っている精霊がいない。
騒ぎの大元に関わっているのか、少しだけ汗をかいていた。
「おまえ、精霊は?」
「ん?それよりさ、お前の魔力、俺にくれねぇ?」
「…どういうことだ」
「直接的にいうと、噛ませてくれってこと。血が欲しいんだ」
「お前、誰だ」
「…ははっ♪さすがにすぐバレるよネェ」
けらけらとロークの姿で笑い、気持ち悪い言葉遣いをロークの声でいう偽物。
リェットが手を上げると何かを警戒して跳躍し、静かに降り立つとニヤリと口の端を歪めた。
「あ、僕のこと攻撃すればこの体も傷つくことを忘れずに♪体を返して欲しければ夜にまた会おうネェ」
あはははっ♪と高笑いしながら走り去っていくロークの姿をリェットは静かに見つめていた。
ぷくーとほっぺを膨らませるチェーニィはリェットの肩に座り、ムッスリと膨れているように見えるグラはリェットの足元で床をたしたししている。目に見えてイラついているようだ。
「なんなのですかあいつ…!ローク様のお体を勝手に使うなんて!!」
「落ち着け。あいつは自分の力を取り戻したいだけなんだ」
「どこから来たのです?」
『多分お本の中』
「あぁ。多分、俺の家にあった魔導書の中に封印されていたどれかだろう」
「そんなもの溜め込んでいたのですか…?」
「…悪い」
「謝るならローク様に謝ってください。私はその後にお説教しますね」
「怒られるのは確定なんだな…」
「当たり前ですよ?とりあえず、先走らないでくださいね。あなたが無理する必要はないですし、なにかあったらローク様も悲しまれますから」
その言葉に、リェットは頷くことはなかった。
グラと精霊であるチェーニイは朝から日が沈むまでロークのことを探し回ったせいで疲れが溜まってしまったのか夜ご飯を食べたらすぐに眠りの世界へと旅立ってしまった。
裁縫も出来るロークはグラとチェーニイ用の寝具のようものをいつの間にか作ってたようで、ロークの部屋にあったクッションに二人とも運んでおく。
リェットは小さくおやすみ、といって扉を閉じた。
「なら、さっさと片付けないとな。…意外だが、俺はお前のためなら何でもできそうだぞ?だから、心配かけるな」
誰かに語りかけるように呟いたその言葉は誰に届くでもなく、夜の澄んだ空に溶けていった。
自分の部屋から見える月をぼんやりと見ていると、今まで感じなかった違和感が自分のテリトリーである結界内に現れる。
ロークの体を乗っ取り、持っていったあの偽物が宣言通り来たということだろう。
グラには言外に行くなと言われていることに気づいていた僕だが、今回は無視させてもらおう。魔力補充なら魔法使いで一番保有量が多い俺が一番最適だからな。
ちりん、と音を立てるピアスに一度触れ、意を決すると部屋を出た。
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