知らされた真実〜それぞれの選択〜

maruko

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ナーチェ編

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それから暫くしてオルト一味による『カールトン公爵家乗っ取り事件』が世間に公表された。
その際にやはりルーディスト侯爵家のアンソニーは貴族達の中でも嘲笑の的になってしまった。
『悪女にまんまとだまされた間抜けで哀れな男』
そんな軽口が紳士クラブや各家のお茶会などで話題になっていた。

そんな中、その醜聞を払拭する為に手を差し伸べたのは王家であった。

あくまでもアンソニー・ルーディストは被害者、それを証明するのは嘗ての学園関係者全員だった。
何故なら誰一人として入学してきたナーチェ・カールトンがチェルシー・ターシルドだと見破った者は居なかったのだから。
アンソニーが間抜けならばその時通っていた貴族子女等は皆間抜けということ。

軽口を叩けば叩くほど自身が間抜けだと披露することになると、ある日の茶会でポロッと王妃が零してからルーディスト侯爵家への当たりは緩和することになった。
そんな事態をナーチェは見届けて父のカールトン公爵と領地へ戻ったのだった。

公爵家はあの一件で使用された離れの屋敷は取り壊すことになった。忌まわしい事件を思い出させる物は全てを取り壊すに限る。

その解体作業をナーチェは自身の目で確かめる事を希望した。
そうする事で10年の辛い日々をリセットしたいからだった。

壁が取り壊されていく度に舞う埃も大きな崩れる耳障りな音も、ナーチェの心を救うように聞こえるし見えるように思った。

お昼になれば解体作業の作業員に公爵家の料理人が作る料理とお菓子を配るのも最近のナーチェの日課になっていた。

そしてその後は必ずそこに向かう。

公爵邸の裏庭には庭師が丹精込めた色とりどりの花達が並んでいる。花壇に沿うように小道が付けられ、そこを道なりに進むと無機質なグレイに塗られた壁で出来たガゼボが建っていた。

その先に人ひとりがやっと歩ける道が繋がっている。解体作業が終わったらその道を舗装して貰う予定になっていた。
周りに伸びる木々は、光の遮断が丁度よい塩梅になるように均等に立ち並んで、歩く人の歩行を妨げない様に工夫されていた。
子供の頃には気付かなかったことだった。

そこを抜けると広い湖が広がるはずだったが、子供の頃に見たからそう感じたのかもしれない。
湖はそれほど大きくも広くもなかった。

紙面で表されていた領地の境界線がこの湖の真ん中を通っている事に、ナーチェはここから離れた王宮の図書館で初めて知ったのだった。
半分がカールトン公爵領で向こう側の半分はユースティオの生家ソルバンジー公爵領だった。

その境界線に最近建てられた小さな休憩所が存在する。

そのテラスに置かれたテーブルにナーチェの愛しい人が待っていた。

「ティオ!」

ナーチェが呼び掛けると彼は立ち上がり手を振る。

「ナーチェ!遅い!」

遅かったのはユースティオだ。
ナーチェは10年彼が来るのを待ちわびたのだから。
でもこれはまだ冗談のように軽くは口に出せないから心の中に呑み込む。

「ごめんなさい!」

素直に謝罪を言葉にしてナーチェはユースティオに向かって進む。
今日ユースティオは話があると言っていた。
まだ彼からは何も言われていないけれどナーチェは彼が何を言うか予想していた。

だからその返事は選択する必要を感じない「はい」一択だとナーチェは心に決めていた。



✎ ------------------------

いつも読んで頂きありがとうございます🙇‍♀
※明日から『ユースティオ編』になります。
暫く3話更新にしていましたが、ストックの都合で明日からは暫く2話更新に戻します🫡
スタートは12時10分👀 
よろしくお願いします🙇‍♀



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