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ユースティオ編
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※子供が亡くなる描写が出てきます
苦手な方はご自衛ください
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ユースティオ・ソルバンジーが6歳の時、弟ができた。
父に教えてもらった名はラウスだった。彼が着せられていたのが先日までユースティオが着ていた服だったから、それだけでも弟感が増し増しでユースティオはラウスを歓迎した。
2つ上の兄と母は冷ややかにラウスを見ていたのがその時のユースティオには不思議だった。
それ以降ユースティオは毎日ラウスと一緒に過ごした。兄とユースティオはあまり性格が合わなかったから仲が良い兄弟とはいえなかった。それもユースティオがラウスを歓迎する理由にはあったのかも知れない。
その頃のユースティオはラウスが可愛くて可愛くてしょうがなかった。
いつも母はラウスに辛く当たっていて偶にラウスの膝の裏や肩口に抓った後を見つけたりした時は、父に言いつけるのもユースティオで、母や兄を叱ってもらったりもしていた。
その頃の父は比較的ラウスを可愛がっていたようにユースティオには見えていた。
それから2年、ユースティオが8歳の時突然ラウスが家から居なくなった。誰に聞いてもラウスの居場所は教えてもらえなかった。
ラウスが消えてしまったという現実にユースティオの心には深い穴がポッカリと空いてそれを埋める物は存在しなかった。ただただ悲しくてまだ幼いユースティオは立ち直る事が出来なかった。
そんなユースティオを不憫に思った乳母がこっそりと教えてくれたのは、ラウスは孤児院に行ったという事だった。
乳母はユースティオに言った。
「ユース様、ラウス様は奥様の不評を買いましたからしょうがなかったのです。ここにいてはいつかラウス様は奥様に殺されてしまったかもしれません。旦那様はそれを懸念して領地の孤児院にお預けになったのですよ」
それを聞いたユースティオは、少しの希望を見出した。何故なら領地には毎年1週間ほど避暑に行っていたからだ。
その頃のユースティオは、ラウスが母に辛く当たられても兄に虐められても絶対に自分がラウスを守るのだと心に誓ったのに、結局はラウスを守れなかったのだと幼いながらに悔恨を感じていた。
だから今度領地に行ったらラウスに直ぐに会いに行こうと夏になるのを楽しみにしていた。
だが、ユースティオの気持ちに反して父は領地へは今年から行かないと言い出した。その言葉にユースティオは反抗してストライキを起こし、何とか従者と護衛とともに行くことを許されたが、幼い故に滞在日は2日と決められてしまった。
それでもラウスに会いたくて沢山のお土産を持ってラウスのいると聞いた孤児院へと父には内緒で訪った。
ラウスはそこで楽しそうに燥いでいた。
公爵家にいた時は仕立ての良い服を着ていたし、身嗜みも綺麗にしていた。
でも久し振りに見たラウスはヨレヨレのシャツと薄汚れた半スボン姿で、その服は所々繕ったあともあって顔は煤けて見えた。
それでもユースティオに向けていた可愛い笑顔は健在だった。
自分を訪ねてきた兄に満面の笑顔を向けて此方に駆けてくるラウスはやはり可愛くて可愛くてしょうがなかった。
滞在中の2日間は孤児院の子も交えてユースティオも一緒に一日中遊んだ。
別れの時は、名残惜しくて泣きたかったけれど、自分は兄だと心に言い聞かせてギュッと拳を握り泣くのを我慢して「また来年来るからな!」そう言ってラウスと別れた。
まさかそれがラウスとの最期になるとは思っても見なかった。
次の年の夏、孤児院に訪ったユースティオは、孤児院の院長から1週間前にラウスが風邪を拗らせて亡くなったのだと聞かされた。
苦手な方はご自衛ください
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ユースティオ・ソルバンジーが6歳の時、弟ができた。
父に教えてもらった名はラウスだった。彼が着せられていたのが先日までユースティオが着ていた服だったから、それだけでも弟感が増し増しでユースティオはラウスを歓迎した。
2つ上の兄と母は冷ややかにラウスを見ていたのがその時のユースティオには不思議だった。
それ以降ユースティオは毎日ラウスと一緒に過ごした。兄とユースティオはあまり性格が合わなかったから仲が良い兄弟とはいえなかった。それもユースティオがラウスを歓迎する理由にはあったのかも知れない。
その頃のユースティオはラウスが可愛くて可愛くてしょうがなかった。
いつも母はラウスに辛く当たっていて偶にラウスの膝の裏や肩口に抓った後を見つけたりした時は、父に言いつけるのもユースティオで、母や兄を叱ってもらったりもしていた。
その頃の父は比較的ラウスを可愛がっていたようにユースティオには見えていた。
それから2年、ユースティオが8歳の時突然ラウスが家から居なくなった。誰に聞いてもラウスの居場所は教えてもらえなかった。
ラウスが消えてしまったという現実にユースティオの心には深い穴がポッカリと空いてそれを埋める物は存在しなかった。ただただ悲しくてまだ幼いユースティオは立ち直る事が出来なかった。
そんなユースティオを不憫に思った乳母がこっそりと教えてくれたのは、ラウスは孤児院に行ったという事だった。
乳母はユースティオに言った。
「ユース様、ラウス様は奥様の不評を買いましたからしょうがなかったのです。ここにいてはいつかラウス様は奥様に殺されてしまったかもしれません。旦那様はそれを懸念して領地の孤児院にお預けになったのですよ」
それを聞いたユースティオは、少しの希望を見出した。何故なら領地には毎年1週間ほど避暑に行っていたからだ。
その頃のユースティオは、ラウスが母に辛く当たられても兄に虐められても絶対に自分がラウスを守るのだと心に誓ったのに、結局はラウスを守れなかったのだと幼いながらに悔恨を感じていた。
だから今度領地に行ったらラウスに直ぐに会いに行こうと夏になるのを楽しみにしていた。
だが、ユースティオの気持ちに反して父は領地へは今年から行かないと言い出した。その言葉にユースティオは反抗してストライキを起こし、何とか従者と護衛とともに行くことを許されたが、幼い故に滞在日は2日と決められてしまった。
それでもラウスに会いたくて沢山のお土産を持ってラウスのいると聞いた孤児院へと父には内緒で訪った。
ラウスはそこで楽しそうに燥いでいた。
公爵家にいた時は仕立ての良い服を着ていたし、身嗜みも綺麗にしていた。
でも久し振りに見たラウスはヨレヨレのシャツと薄汚れた半スボン姿で、その服は所々繕ったあともあって顔は煤けて見えた。
それでもユースティオに向けていた可愛い笑顔は健在だった。
自分を訪ねてきた兄に満面の笑顔を向けて此方に駆けてくるラウスはやはり可愛くて可愛くてしょうがなかった。
滞在中の2日間は孤児院の子も交えてユースティオも一緒に一日中遊んだ。
別れの時は、名残惜しくて泣きたかったけれど、自分は兄だと心に言い聞かせてギュッと拳を握り泣くのを我慢して「また来年来るからな!」そう言ってラウスと別れた。
まさかそれがラウスとの最期になるとは思っても見なかった。
次の年の夏、孤児院に訪ったユースティオは、孤児院の院長から1週間前にラウスが風邪を拗らせて亡くなったのだと聞かされた。
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