33 / 46
ユースティオ編
32
※子供が亡くなる描写が出てきます
苦手な方はご自衛ください
--------------------
ユースティオ・ソルバンジーが6歳の時、弟ができた。
父に教えてもらった名はラウスだった。彼が着せられていたのが先日までユースティオが着ていた服だったから、それだけでも弟感が増し増しでユースティオはラウスを歓迎した。
2つ上の兄と母は冷ややかにラウスを見ていたのがその時のユースティオには不思議だった。
それ以降ユースティオは毎日ラウスと一緒に過ごした。兄とユースティオはあまり性格が合わなかったから仲が良い兄弟とはいえなかった。それもユースティオがラウスを歓迎する理由にはあったのかも知れない。
その頃のユースティオはラウスが可愛くて可愛くてしょうがなかった。
いつも母はラウスに辛く当たっていて偶にラウスの膝の裏や肩口に抓った後を見つけたりした時は、父に言いつけるのもユースティオで、母や兄を叱ってもらったりもしていた。
その頃の父は比較的ラウスを可愛がっていたようにユースティオには見えていた。
それから2年、ユースティオが8歳の時突然ラウスが家から居なくなった。誰に聞いてもラウスの居場所は教えてもらえなかった。
ラウスが消えてしまったという現実にユースティオの心には深い穴がポッカリと空いてそれを埋める物は存在しなかった。ただただ悲しくてまだ幼いユースティオは立ち直る事が出来なかった。
そんなユースティオを不憫に思った乳母がこっそりと教えてくれたのは、ラウスは孤児院に行ったという事だった。
乳母はユースティオに言った。
「ユース様、ラウス様は奥様の不評を買いましたからしょうがなかったのです。ここにいてはいつかラウス様は奥様に殺されてしまったかもしれません。旦那様はそれを懸念して領地の孤児院にお預けになったのですよ」
それを聞いたユースティオは、少しの希望を見出した。何故なら領地には毎年1週間ほど避暑に行っていたからだ。
その頃のユースティオは、ラウスが母に辛く当たられても兄に虐められても絶対に自分がラウスを守るのだと心に誓ったのに、結局はラウスを守れなかったのだと幼いながらに悔恨を感じていた。
だから今度領地に行ったらラウスに直ぐに会いに行こうと夏になるのを楽しみにしていた。
だが、ユースティオの気持ちに反して父は領地へは今年から行かないと言い出した。その言葉にユースティオは反抗してストライキを起こし、何とか従者と護衛とともに行くことを許されたが、幼い故に滞在日は2日と決められてしまった。
それでもラウスに会いたくて沢山のお土産を持ってラウスのいると聞いた孤児院へと父には内緒で訪った。
ラウスはそこで楽しそうに燥いでいた。
公爵家にいた時は仕立ての良い服を着ていたし、身嗜みも綺麗にしていた。
でも久し振りに見たラウスはヨレヨレのシャツと薄汚れた半スボン姿で、その服は所々繕ったあともあって顔は煤けて見えた。
それでもユースティオに向けていた可愛い笑顔は健在だった。
自分を訪ねてきた兄に満面の笑顔を向けて此方に駆けてくるラウスはやはり可愛くて可愛くてしょうがなかった。
滞在中の2日間は孤児院の子も交えてユースティオも一緒に一日中遊んだ。
別れの時は、名残惜しくて泣きたかったけれど、自分は兄だと心に言い聞かせてギュッと拳を握り泣くのを我慢して「また来年来るからな!」そう言ってラウスと別れた。
まさかそれがラウスとの最期になるとは思っても見なかった。
次の年の夏、孤児院に訪ったユースティオは、孤児院の院長から1週間前にラウスが風邪を拗らせて亡くなったのだと聞かされた。
苦手な方はご自衛ください
--------------------
ユースティオ・ソルバンジーが6歳の時、弟ができた。
父に教えてもらった名はラウスだった。彼が着せられていたのが先日までユースティオが着ていた服だったから、それだけでも弟感が増し増しでユースティオはラウスを歓迎した。
2つ上の兄と母は冷ややかにラウスを見ていたのがその時のユースティオには不思議だった。
それ以降ユースティオは毎日ラウスと一緒に過ごした。兄とユースティオはあまり性格が合わなかったから仲が良い兄弟とはいえなかった。それもユースティオがラウスを歓迎する理由にはあったのかも知れない。
その頃のユースティオはラウスが可愛くて可愛くてしょうがなかった。
いつも母はラウスに辛く当たっていて偶にラウスの膝の裏や肩口に抓った後を見つけたりした時は、父に言いつけるのもユースティオで、母や兄を叱ってもらったりもしていた。
その頃の父は比較的ラウスを可愛がっていたようにユースティオには見えていた。
それから2年、ユースティオが8歳の時突然ラウスが家から居なくなった。誰に聞いてもラウスの居場所は教えてもらえなかった。
ラウスが消えてしまったという現実にユースティオの心には深い穴がポッカリと空いてそれを埋める物は存在しなかった。ただただ悲しくてまだ幼いユースティオは立ち直る事が出来なかった。
そんなユースティオを不憫に思った乳母がこっそりと教えてくれたのは、ラウスは孤児院に行ったという事だった。
乳母はユースティオに言った。
「ユース様、ラウス様は奥様の不評を買いましたからしょうがなかったのです。ここにいてはいつかラウス様は奥様に殺されてしまったかもしれません。旦那様はそれを懸念して領地の孤児院にお預けになったのですよ」
それを聞いたユースティオは、少しの希望を見出した。何故なら領地には毎年1週間ほど避暑に行っていたからだ。
その頃のユースティオは、ラウスが母に辛く当たられても兄に虐められても絶対に自分がラウスを守るのだと心に誓ったのに、結局はラウスを守れなかったのだと幼いながらに悔恨を感じていた。
だから今度領地に行ったらラウスに直ぐに会いに行こうと夏になるのを楽しみにしていた。
だが、ユースティオの気持ちに反して父は領地へは今年から行かないと言い出した。その言葉にユースティオは反抗してストライキを起こし、何とか従者と護衛とともに行くことを許されたが、幼い故に滞在日は2日と決められてしまった。
それでもラウスに会いたくて沢山のお土産を持ってラウスのいると聞いた孤児院へと父には内緒で訪った。
ラウスはそこで楽しそうに燥いでいた。
公爵家にいた時は仕立ての良い服を着ていたし、身嗜みも綺麗にしていた。
でも久し振りに見たラウスはヨレヨレのシャツと薄汚れた半スボン姿で、その服は所々繕ったあともあって顔は煤けて見えた。
それでもユースティオに向けていた可愛い笑顔は健在だった。
自分を訪ねてきた兄に満面の笑顔を向けて此方に駆けてくるラウスはやはり可愛くて可愛くてしょうがなかった。
滞在中の2日間は孤児院の子も交えてユースティオも一緒に一日中遊んだ。
別れの時は、名残惜しくて泣きたかったけれど、自分は兄だと心に言い聞かせてギュッと拳を握り泣くのを我慢して「また来年来るからな!」そう言ってラウスと別れた。
まさかそれがラウスとの最期になるとは思っても見なかった。
次の年の夏、孤児院に訪ったユースティオは、孤児院の院長から1週間前にラウスが風邪を拗らせて亡くなったのだと聞かされた。
あなたにおすすめの小説
三度裏切られた私が、四度目で「離婚」を選ぶまで
狛犬
恋愛
三度、夫に裏切られた。
一度目は信じた。
二度目は耐えた。
三度目は――すべてを失った。
そして私は、屋上から身を投げた。
……はずだった。
目を覚ますと、そこは過去。
すべてが壊れる前の、まだ何も起きていない時間。
――四度目の人生。
これまでの三度、私は同じ選択を繰り返し、
同じように裏切られ、すべてを失ってきた。
だから今度は、もう決めている。
「もう、陸翔はいらない」
愛していた。
けれど、もう疲れた。
今度こそ――
自分を守るために、家族を守るために、
私は、自分から手を放す。
これは、三度裏切られた女が、
四度目の人生で「選び直す」物語。
[完結]優しすぎた選択
青空一夏
恋愛
恋人の玲奈とコンサートへ向かう途中、海斗は思いがけない出来事に遭遇する。
たいしたことはないはずだったその出来事とその後の選択は、順風満帆だった彼の人生を狂わせた。
十年後、理由の分からない別れを抱えたまま生きる海斗の前に、忘れていた過去と向き合うための期限が訪れる。
これは、優しさから選んだはずの決断が、取り返しのつかない後悔へと変わった物語。
これは、すべてを手に入れてきたはずの人生を歩んできた男が、たった一度の選択で、一生後悔することになったお話。
※本作は他サイトにも掲載しています。
【完結】彼を幸せにする十の方法
玉響なつめ
恋愛
貴族令嬢のフィリアには婚約者がいる。
フィリアが望んで結ばれた婚約、その相手であるキリアンはいつだって冷静だ。
婚約者としての義務は果たしてくれるし常に彼女を尊重してくれる。
しかし、フィリアが望まなければキリアンは動かない。
婚約したのだからいつかは心を開いてくれて、距離も縮まる――そう信じていたフィリアの心は、とある夜会での事件でぽっきり折れてしまった。
婚約を解消することは難しいが、少なくともこれ以上迷惑をかけずに夫婦としてどうあるべきか……フィリアは悩みながらも、キリアンが一番幸せになれる方法を探すために行動を起こすのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも掲載しています。
仮面王の花嫁
松雪
恋愛
婚約者を腹違いの妹に奪われ、新しい相手も見つからず修道院に行く覚悟を決めたルチア。修道女となるため髪を切った日の夜、王城から「国王がルチアを妻に望んでいる」という書簡を持った使者がやって来た。
しかし、従兄弟であり恋仲だったニールが国王のせいで死に至った過去を持つルチアは、国王からの求婚を喜べずーー。
『影の夫人とガラスの花嫁』
柴田はつみ
恋愛
公爵カルロスの後妻として嫁いだシャルロットは、
結婚初日から気づいていた。
夫は優しい。
礼儀正しく、決して冷たくはない。
けれど──どこか遠い。
夜会で向けられる微笑みの奥には、
亡き前妻エリザベラの影が静かに揺れていた。
社交界は囁く。
「公爵さまは、今も前妻を想っているのだわ」
「後妻は所詮、影の夫人よ」
その言葉に胸が痛む。
けれどシャルロットは自分に言い聞かせた。
──これは政略婚。
愛を求めてはいけない、と。
そんなある日、彼女はカルロスの書斎で
“あり得ない手紙”を見つけてしまう。
『愛しいカルロスへ。
私は必ずあなたのもとへ戻るわ。
エリザベラ』
……前妻は、本当に死んだのだろうか?
噂、沈黙、誤解、そして夫の隠す真実。
揺れ動く心のまま、シャルロットは
“ガラスの花嫁”のように繊細にひび割れていく。
しかし、前妻の影が完全に姿を現したとき、
カルロスの静かな愛がようやく溢れ出す。
「影なんて、最初からいない。
見ていたのは……ずっと君だけだった」
消えた指輪、隠された手紙、閉ざされた書庫──
すべての謎が解けたとき、
影に怯えていた花嫁は光を手に入れる。
切なく、美しく、そして必ず幸せになる後妻ロマンス。
愛に触れたとき、ガラスは光へと変わる
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
忙しい男
菅井群青
恋愛
付き合っていた彼氏に別れを告げた。忙しいという彼を信じていたけれど、私から別れを告げる前に……きっと私は半分捨てられていたんだ。
「私のことなんてもうなんとも思ってないくせに」
「お前は一体俺の何を見て言ってる──お前は、俺を知らな過ぎる」
すれ違う想いはどうしてこうも上手くいかないのか。いつだって思うことはただ一つ、愛おしいという気持ちだ。
※ハッピーエンドです
かなりやきもきさせてしまうと思います。
どうか温かい目でみてやってくださいね。
※本編完結しました(2019/07/15)
スピンオフ &番外編
【泣く背中】 菊田夫妻のストーリーを追加しました(2019/08/19)
改稿 (2020/01/01)
本編のみカクヨムさんでも公開しました。