知らされた真実〜それぞれの選択〜

maruko

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ユースティオ編

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タウンハウスに戻ったユースティオは帰るなり父の執務室へと呼ばれた。

「聞いただろう」

「はい」

「縁がなかったんだ、諦めろ」

「⋯⋯⋯」

ナーチェへの想いを未だ昇華出来ないユースティオに父は感情を乗せずに諭す様に言った。
それがユースティオには薄情に写り、言い知れない怒りが込み上げてきた。

「父上、お願いがあります」

「婚約の事は諦めるんだ」

まだ言うか!そんな言葉が聞こえるような言い方だった、そんな父の言葉に知らん顔をしてユースティオは自分の希望を告げる。

「私を留学させてください」

「馬鹿な!あと一年で卒業するのだろう。何故態々留学など⋯」

「いいのですか?このままでしたら、ナー⋯カールトン公爵令嬢は学園に入学してきますよ」

「なっ!領地に留まるのではないのか?」

「違いますよ、学園に入学するのだと私は聞いておりました、だから婚約を急いだんです」

「そうか、そうだったか。だが学年も違うのだから接点を持たなければ良いのでは「いいのですか?」ないか」

父のソルバンジー公爵の言葉に被せてユースティオは不敵に見える笑みを口元に浮かべながら言った。

「何がだ?」

「私は母上の血を受け継いでいますよ、母上の様になるかもしれませんね」

ソルバンジー公爵はユースティオのその言葉にワナワナと体を震わせた。
それだけは絶対に駄目だと公爵は分かっていた。王家の財政、所謂国庫はカールトン公爵家が3分の1は担ってる事をソルバンジー公爵は知っていた。
もし、ユースティオがカールトン公爵令嬢に付き纏いなどすればタダでは済まない。
ソルバンジー公爵はユースティオの要求を飲むしかなかった。

「⋯⋯分かった、好きにすればいい」

「ありがとうございます父上、懸命なご判断です。それをラウスの時も発揮して頂ければ私は父上を尊敬できたものを⋯」

「なっ!ラウスは⋯⋯いや何でもない」

「留学費用などは私の口座にお願いします。帰国などの催促もしないで頂きたい。よろしいでしょうか?」

「勝手にしろ、但し年に一度は私宛に手紙をで書いて送るように。それ以上は譲歩しない」

「⋯⋯分かりました」

ユースティオは不思議だった。
母を嫌っている父親はユースティオに対してもそんなに愛情を傾けてるとは思えなかった。それなのに安否確認をしたいなどと父の言葉を訝しんだ。
それでも一刻も早くこの国から自分を消してしまいたかったユースティオは兄にも母にも別れの挨拶はせず、必要な書類だけを父親に頼み、単身隣国へと旅立った。

最期にラウスの墓前にだけは立ち寄るのを忘れなかった。




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