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32 王太子の困惑
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不思議そうな顔でこちらを見る男の子をルイスも同じく不思議そうに見る。
視線を下に落とし頭を少しだけ下げていた侍女は、いつまでも立ち去る音のしない王太子の視線に漸く気付いたが、声がかからない事には発言出来ずに、しっかりと男の子の手を握って離れないようにしていた。
「この子は誰だ?」
王宮の国王の執務室の近くは、王族のプライベートゾーンに入るギリギリの所にあった。
王宮内の文官や女官、侍女などが行き交う場所では、大臣たちが子を連れて訪れることもあるが、こんな奥まで入り込むことはまず無い。あっても許可を取ってるはずで、それならば謁見用の控室に案内されるはずだった。
バルコニーに王族以外がいる事にルイスは驚いていた。
「こちらは、次期コート伯爵にございます。ポワント辺境伯様がお連れになられました。陛下の謁見をこちらで待つようにと、宰相より命じられました」
「⋯次期コート伯爵。あぁそうか」
貴族の間で起こっていたある事件を秘密裏に探っていた。その事件がもう少しで解決しそうだと報告は受けていたが、決着する前にルイスはストナム王国に向かってしまった為、その後の報告を受けていない。
コート伯爵代理ではなく、次期伯爵がこの場にいるということは、解決したのだと理解した。
それにしてもどうしてこの子を連れてきたのが、ポワント辺境伯なのかが謎だった。
話をしようにも相手は3歳に満たない子供では、何も理解していないだろうと思えた。
気不味さからルイスはバルコニーを出た。何処行く宛もなく彷徨いていたら、アルマンが前からやってくるのが見えた。
「アルマン!」
ルイスの声かけにアルマンは立ち止まり、その場で廊下の端に寄り頭を少し下げた状態になった。
急いでルイスはアルマンの元へと向かう。
今ルイスの疑問を答えてくれるのは、彼が一番適任だ。
「アルマン、私が居ない間に一体なにがあったんだ?」
ルイスの言葉を聞き、アルマンは彼を見上げたかと思うと、顔を真っ赤にして怒りを顕にした。
「どうして、行く前に私に話してくれなかったのですか!そうすればこんな事にはならなかった。まだ書面にはなっていませんが、私は貴方の義弟になりそうなんですよ。それは貴方にも⋯⋯」
恨みがましいアルマンの言葉に、ルイスは不敬などと言えなくなった。それほどに彼は取り乱していた。だがルイスに食ってかかっていたアルマンは途中で言葉を止めた。取り乱しながらも止めることができたのは執務室の扉が開いたからだった。
出てきたのは宰相だった。
宰相の姿を見てルイスは駆け寄った。
勿論、王城の違和感とフォスティーヌの件、聞きたいことは山ほどあった。
だが、宰相はルイスの顔を見て軽く頭を一瞬垂れて、つかつかとバルコニーの方へ向かった。
「待て!宰相!」
「ルイス殿下、恐れ入ります。今は時間がございません。貴方様の処遇は後ほど」
宰相の言葉にルイスは呆然とその場に立ち尽くした。
(処遇とは⋯何だ?)
ルイスは、バルコニーに消える宰相の背に言葉なく語りかけていた。
視線を下に落とし頭を少しだけ下げていた侍女は、いつまでも立ち去る音のしない王太子の視線に漸く気付いたが、声がかからない事には発言出来ずに、しっかりと男の子の手を握って離れないようにしていた。
「この子は誰だ?」
王宮の国王の執務室の近くは、王族のプライベートゾーンに入るギリギリの所にあった。
王宮内の文官や女官、侍女などが行き交う場所では、大臣たちが子を連れて訪れることもあるが、こんな奥まで入り込むことはまず無い。あっても許可を取ってるはずで、それならば謁見用の控室に案内されるはずだった。
バルコニーに王族以外がいる事にルイスは驚いていた。
「こちらは、次期コート伯爵にございます。ポワント辺境伯様がお連れになられました。陛下の謁見をこちらで待つようにと、宰相より命じられました」
「⋯次期コート伯爵。あぁそうか」
貴族の間で起こっていたある事件を秘密裏に探っていた。その事件がもう少しで解決しそうだと報告は受けていたが、決着する前にルイスはストナム王国に向かってしまった為、その後の報告を受けていない。
コート伯爵代理ではなく、次期伯爵がこの場にいるということは、解決したのだと理解した。
それにしてもどうしてこの子を連れてきたのが、ポワント辺境伯なのかが謎だった。
話をしようにも相手は3歳に満たない子供では、何も理解していないだろうと思えた。
気不味さからルイスはバルコニーを出た。何処行く宛もなく彷徨いていたら、アルマンが前からやってくるのが見えた。
「アルマン!」
ルイスの声かけにアルマンは立ち止まり、その場で廊下の端に寄り頭を少し下げた状態になった。
急いでルイスはアルマンの元へと向かう。
今ルイスの疑問を答えてくれるのは、彼が一番適任だ。
「アルマン、私が居ない間に一体なにがあったんだ?」
ルイスの言葉を聞き、アルマンは彼を見上げたかと思うと、顔を真っ赤にして怒りを顕にした。
「どうして、行く前に私に話してくれなかったのですか!そうすればこんな事にはならなかった。まだ書面にはなっていませんが、私は貴方の義弟になりそうなんですよ。それは貴方にも⋯⋯」
恨みがましいアルマンの言葉に、ルイスは不敬などと言えなくなった。それほどに彼は取り乱していた。だがルイスに食ってかかっていたアルマンは途中で言葉を止めた。取り乱しながらも止めることができたのは執務室の扉が開いたからだった。
出てきたのは宰相だった。
宰相の姿を見てルイスは駆け寄った。
勿論、王城の違和感とフォスティーヌの件、聞きたいことは山ほどあった。
だが、宰相はルイスの顔を見て軽く頭を一瞬垂れて、つかつかとバルコニーの方へ向かった。
「待て!宰相!」
「ルイス殿下、恐れ入ります。今は時間がございません。貴方様の処遇は後ほど」
宰相の言葉にルイスは呆然とその場に立ち尽くした。
(処遇とは⋯何だ?)
ルイスは、バルコニーに消える宰相の背に言葉なく語りかけていた。
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