公爵夫人マーシェのお悩み

maruko

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42 知らなかったマーシェ②

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 いつもリリアンとの密会に使っていた図書館の個室。いつものように窓際に椅子を移動して話す。これは盗み聞きをされるのを防止する為だ。
 だがいつもは二人だから小窓に合わせて椅子を並べてもそれほど離れずに、小声で話せたが、今日は三人だ。
 椅子を三脚並べると、小声では聞こえなくなる時もある。かと言ってこれ以上声を大きくすれば廊下に漏れる心配もある。
 試行錯誤しながら出した結論は、三人とも椅子を使わずに絨毯の上に直に座る事だった。

 はしたない
 一言でいえばそんな体制で、ボソボソと三人は話し始めた。

「それでどうして今日はこちらに?」

「ですから、交渉を⋯」

「何をですの?」

 マーシェはもしかして、ザイリスはアルマンに頼まれて、フォスティーヌとの婚約をどうにか回避させる手助けをマーシェにさせようと思ってるのではないか?そう思ったらそうとしか思えなくなって、マーシェは途端に警戒して、丸くなっていた場所から、そっとリリアンの方に体を傾けた。

「どうして離れるんですか!」

「いえ別に」

 マーシェはザイリスから目をそらした。

「マーシェ様、私からもお願いします、お話しを聞いてあげてください。お断りしてもよろしいので」

「ちょっリリアン!」

 マーシェはフムと顎に手を乗せ考える。
 断ってもいいお話し、他ならぬリリアンのお願いであるから聞くのは決定事項だが、ザイリスがリリアンを呼びつけにしたのが気になった。

 (本当の関係って?でも詮索するほどザイリスに興味はないのよね)

 マーシェは少し離れたザイリスに、気持ち分近づいて「どうぞ」と言葉と手で促した。

「実はですね、マーシェ様は離婚されたあとは領地にお戻りになりますよね」

「えぇそうね、もう王都には未練もないですし、心残りはリリアン様だけですが、お手紙のやりとりをするお約束も先日取り付けましたので、フフ」

 マーシェは自慢するように胸を張ってザイリスに言った。
 すると、ザイリスがコホンと一度態とらしく咳をして、マーシェをじっと見つめてその手を自分の両手で急に握りしめた。

「ぜひ!私も連れて行ってください!」

「ちょっ、どうして手をって、えっ?」

「私を辺境に連れて行ってください!」

 大事なことだったらしく、ザイリスは同じ事を二度言った。

 よく言えました的に、ニコニコとしているリリアン。

「どうして?」

 手を握られて呆然としながらも、マーシェの疑問が脳内に犇めきあっていた




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