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54 思い出したマーシェ
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あまり考えなしで己の感情の赴くままに行動する、プライドだけは高い、ある意味王女らしいといえばらしいフォスティーヌが、他人に謝ったと聞けば、そこに導いたであろうマーシェは、一時的に母親の気分になった。
(フォスティーヌ様、成長したのね)
感無量とばかりに目の潤むマーシェの目の前に、そっとハンカチが出された。急に視界に入った白いハンカチに、驚いたマーシェが差し出されたほうに視線を向けると、そのハンカチを握りしめているのは、可愛らしいレイオニーだった。
「どぅじょ」
いつまでもハンカチを受け取らないマーシェを、不思議に思ったのかレイオニーが声をかけた。マーシェはこの小さな紳士に感激の視線を熱く投げた。顔立ちは前コート伯爵に似ているのか知らないが、齢二歳にしてこの気遣い。
マーシェは思わず受け取ったハンカチを、ハハアと上げ奉ってしまった。
実を言うとこのハンカチ、涙ぐんだマーシェに渡そうと、咄嗟にザイリスが懐から出したのだが、レイオニーがそれを目敏く見つけて、素早く取り上げマーシェに差し出したのだった。
その早業0.1秒の二歳児にしてやられたザイリスだったが、丁度その場面は感無量中のマーシェは見ていない。
手柄?を横取りされた残念なザイリスだった。
そんなザイリスを横目にして、残念な男だとリリアンは同情した。
「そういえば、ポリント辺境伯はとてもお忙しいご様子ですね。ご挨拶しようと訪ねたのですが、ここ数日はいらっしゃらないとか」
リリアンからそう言われたマーシェは、そこでザイリスとレイオニーが同行した謎が解けた。おそらくリリアンがマーシェのところに来る前に、辺境伯の部屋を訪ねて、不在の辺境伯の代わりに居たザイリスと合流したのだと分かった。
そんなに父が忙しいのは十中八九兄の仕業と、また何を思いついたのかななんてコトをマーシェは考えていた。
「きっと、父は兄に扱き使われているのですわ」
「お兄様とは、次期辺境伯ですか?」
「えぇ、兄は思いつくだけで自分ではちっとも動きませんの。きっと今回も何かを考え思いついた事を、父に実行させているのですわ。その昔私もよく兄に扱き使われたものです」
「まぁマーシェ様も?」
リリアンが目を見開いてマーシェに驚いて見せたが、その顔がとても綺麗でマーシェはウットリしながら、口だけが先走っていた。
「えぇそうなんですの、辺境伯領である盗賊団のアジトを推理したらしく、それに付き合わされたのです。その時に護衛達がウッカリと⋯⋯あらっ?」
マーシェは口が勢いで勝手に話していたのだが、何を話していたのかはちゃんと理解していた。今の話をしながらも記憶の片鱗が脳裏を掠り、そして導いた。
最近どこで嗅いだ匂いか気になっていた人物に焦点を合わせた。
「もしかして、ザイリス様って迷子のお兄さん?」
マーシェの言葉に歓喜したのは言うまでもなくザイリスだった。
やっと、やっと思い出してくれたとマーシェに抱きつきたい気持ちが行動に表れて、ついマーシェの白い手を握って迫ってしまった。
「ひっ!」
驚いたマーシェが瞬時に固まっている。
それでも離さないザイリスの後頭部を、ルームサービスの時にホテルの従業員が持ってきたトレーで、リリアンが思いっきり叩いた。
トレーがクリティカルヒットしたザイリスは、手を握ったまま意識を手放した。
(フォスティーヌ様、成長したのね)
感無量とばかりに目の潤むマーシェの目の前に、そっとハンカチが出された。急に視界に入った白いハンカチに、驚いたマーシェが差し出されたほうに視線を向けると、そのハンカチを握りしめているのは、可愛らしいレイオニーだった。
「どぅじょ」
いつまでもハンカチを受け取らないマーシェを、不思議に思ったのかレイオニーが声をかけた。マーシェはこの小さな紳士に感激の視線を熱く投げた。顔立ちは前コート伯爵に似ているのか知らないが、齢二歳にしてこの気遣い。
マーシェは思わず受け取ったハンカチを、ハハアと上げ奉ってしまった。
実を言うとこのハンカチ、涙ぐんだマーシェに渡そうと、咄嗟にザイリスが懐から出したのだが、レイオニーがそれを目敏く見つけて、素早く取り上げマーシェに差し出したのだった。
その早業0.1秒の二歳児にしてやられたザイリスだったが、丁度その場面は感無量中のマーシェは見ていない。
手柄?を横取りされた残念なザイリスだった。
そんなザイリスを横目にして、残念な男だとリリアンは同情した。
「そういえば、ポリント辺境伯はとてもお忙しいご様子ですね。ご挨拶しようと訪ねたのですが、ここ数日はいらっしゃらないとか」
リリアンからそう言われたマーシェは、そこでザイリスとレイオニーが同行した謎が解けた。おそらくリリアンがマーシェのところに来る前に、辺境伯の部屋を訪ねて、不在の辺境伯の代わりに居たザイリスと合流したのだと分かった。
そんなに父が忙しいのは十中八九兄の仕業と、また何を思いついたのかななんてコトをマーシェは考えていた。
「きっと、父は兄に扱き使われているのですわ」
「お兄様とは、次期辺境伯ですか?」
「えぇ、兄は思いつくだけで自分ではちっとも動きませんの。きっと今回も何かを考え思いついた事を、父に実行させているのですわ。その昔私もよく兄に扱き使われたものです」
「まぁマーシェ様も?」
リリアンが目を見開いてマーシェに驚いて見せたが、その顔がとても綺麗でマーシェはウットリしながら、口だけが先走っていた。
「えぇそうなんですの、辺境伯領である盗賊団のアジトを推理したらしく、それに付き合わされたのです。その時に護衛達がウッカリと⋯⋯あらっ?」
マーシェは口が勢いで勝手に話していたのだが、何を話していたのかはちゃんと理解していた。今の話をしながらも記憶の片鱗が脳裏を掠り、そして導いた。
最近どこで嗅いだ匂いか気になっていた人物に焦点を合わせた。
「もしかして、ザイリス様って迷子のお兄さん?」
マーシェの言葉に歓喜したのは言うまでもなくザイリスだった。
やっと、やっと思い出してくれたとマーシェに抱きつきたい気持ちが行動に表れて、ついマーシェの白い手を握って迫ってしまった。
「ひっ!」
驚いたマーシェが瞬時に固まっている。
それでも離さないザイリスの後頭部を、ルームサービスの時にホテルの従業員が持ってきたトレーで、リリアンが思いっきり叩いた。
トレーがクリティカルヒットしたザイリスは、手を握ったまま意識を手放した。
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