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55 乙女なザイリス
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ザイリスが目を開けるとそこは天国!
⋯ではなかった。
ペタペタとザイリスの顔を撫でているのは、二人の幼児。
一人はレイオニー2歳、もう一人はアルマ3歳だった。
そして何故かもう一人の幼児リージュ4歳が、ザイリスの手を両手で握ってくれていた。
一見すれば可愛い見目の天使達だから、天国かもしれない。だが往々にして子供というのは加減を知らない。ペタペタと顔を触る手はちっとも優しくなかった。どちらかというとパチンパチンの方が近かった。
「⋯⋯痛い、です」
ザイリスの声に反応したのはリージュ。
リージュとアルマはリリアンとアルマンの娘達、あまり会うことは少ないが、会えばザイリスには遊んでもらっているので、二人はちゃんと彼をザイリスだと認識していた。
「おかぁしゃま!じゃいりしゅおきまちたよー」
リージュの大きな声でどこからか「はーい」とリリアンの声がする。
ザイリスは倒れている間に自分が子供達の玩具にされていたと理解した。
「うっ!クっ苦しいデフ」
それまで顔パチをしていたレイオニーが、今度は起きたザイリスの胸の上に乗り出して、彼の全体重が一点集中した。
「あらっ!だめよ人の上に乗ったら」
リリアンに注意を受けながら、抱き上げられたレイオニーは、満更でもない顔をして頬を染めていた。
それを眺めてザイリスは「ふぅ」と大きく息を吸った。
「気分はどう?ちょっと勢い余っちゃったわ。ごめんなさいね。でも貴方が悪いのよ。マーシェ様の手を離さないから」
ザイリスは段々と自分の身に起こった事を思い出してきた。
(そうだ!マーシェ様が自分を思い出してくれたんだ)
ザイリスは心にポカポカと温かいものが込み上げてきた。10年も前の気持ちが復活するように、初恋の甘い気持ちが胸を満たしていく。
◇◇◇
「で、どうして教えてくれなかったの?」
ベッドから半身を起こして座るザイリスに、マーシェが少しだけ強めに咎める言葉を投げた。
ザイリスは理由を言えなくて黙っていた。
そんなザイリスを見ながら呆れたように大きく溜め息を吐くリリアン。
マーシェはそんなリリアンを見つめた。
「もう、言っちゃったら?恥ずかしかったって」
「リッ!リアン⋯⋯⋯⋯」
ザイリスが真っ赤になってリリアンを止めようとしたけれど、リリアンは容赦なく暴露した。
「マーシェ様は、知らされてないようですけど、ザイリスはマーシェ様に釣書を送って断られているんです。マーシェ様とポリントで出会ってる事を言わなかったのは、ただ単に振られた相手に名乗るのが恥ずかしかっただけですわ」
リリアンの言葉にマーシェは目を見開いた。
ザイリスの釣書?初耳ですけれど?
そう思いながらザイリスを見ると、彼は恥ずかしいのか両手で顔を覆っている。そしてその手で隠しきれない耳は真っ赤に染まっていて、どこぞの乙女のようにマーシェには映った。
⋯ではなかった。
ペタペタとザイリスの顔を撫でているのは、二人の幼児。
一人はレイオニー2歳、もう一人はアルマ3歳だった。
そして何故かもう一人の幼児リージュ4歳が、ザイリスの手を両手で握ってくれていた。
一見すれば可愛い見目の天使達だから、天国かもしれない。だが往々にして子供というのは加減を知らない。ペタペタと顔を触る手はちっとも優しくなかった。どちらかというとパチンパチンの方が近かった。
「⋯⋯痛い、です」
ザイリスの声に反応したのはリージュ。
リージュとアルマはリリアンとアルマンの娘達、あまり会うことは少ないが、会えばザイリスには遊んでもらっているので、二人はちゃんと彼をザイリスだと認識していた。
「おかぁしゃま!じゃいりしゅおきまちたよー」
リージュの大きな声でどこからか「はーい」とリリアンの声がする。
ザイリスは倒れている間に自分が子供達の玩具にされていたと理解した。
「うっ!クっ苦しいデフ」
それまで顔パチをしていたレイオニーが、今度は起きたザイリスの胸の上に乗り出して、彼の全体重が一点集中した。
「あらっ!だめよ人の上に乗ったら」
リリアンに注意を受けながら、抱き上げられたレイオニーは、満更でもない顔をして頬を染めていた。
それを眺めてザイリスは「ふぅ」と大きく息を吸った。
「気分はどう?ちょっと勢い余っちゃったわ。ごめんなさいね。でも貴方が悪いのよ。マーシェ様の手を離さないから」
ザイリスは段々と自分の身に起こった事を思い出してきた。
(そうだ!マーシェ様が自分を思い出してくれたんだ)
ザイリスは心にポカポカと温かいものが込み上げてきた。10年も前の気持ちが復活するように、初恋の甘い気持ちが胸を満たしていく。
◇◇◇
「で、どうして教えてくれなかったの?」
ベッドから半身を起こして座るザイリスに、マーシェが少しだけ強めに咎める言葉を投げた。
ザイリスは理由を言えなくて黙っていた。
そんなザイリスを見ながら呆れたように大きく溜め息を吐くリリアン。
マーシェはそんなリリアンを見つめた。
「もう、言っちゃったら?恥ずかしかったって」
「リッ!リアン⋯⋯⋯⋯」
ザイリスが真っ赤になってリリアンを止めようとしたけれど、リリアンは容赦なく暴露した。
「マーシェ様は、知らされてないようですけど、ザイリスはマーシェ様に釣書を送って断られているんです。マーシェ様とポリントで出会ってる事を言わなかったのは、ただ単に振られた相手に名乗るのが恥ずかしかっただけですわ」
リリアンの言葉にマーシェは目を見開いた。
ザイリスの釣書?初耳ですけれど?
そう思いながらザイリスを見ると、彼は恥ずかしいのか両手で顔を覆っている。そしてその手で隠しきれない耳は真っ赤に染まっていて、どこぞの乙女のようにマーシェには映った。
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