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両親との再会
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その日は前もって聞いていたけれど、朝からソワソワと落ち着かなかった。
兄から両親へ離婚後、私がノーマン王国に残ると聞いてやはり渋い顔をしたそうだ。
それでも私の意見は意見として尊重してくれるつもりだと、ただ全然知らない所では不安があるらしく(両親の知らない所で3年近く住んでるのに)実際に見たいと言ってこの家に来ると言い出した。
それが今日なのだ。
ドキドキが止まらない、料理長もおもてなしの料理やお茶菓子を数日前からレシピと格闘して頭を捻って食材を準備してくれている。
通いメイドのルシーも掃除に余念がない。
彼女の夫のマーチは両親の好きな花を聞いてくれたから、花よりもポーションや薬に使える珍しい植物の方が喜ぶと言うと、ハーブで唯一植えてなかった物を取り寄せてハーブ園に植えてくれた。
因みに私の実家のことを聞いて、私の為にマーチは庭の一画を薬草園に、そして温室も手作りで作ってくれている。
この夫婦は本当に善良な働き者だ。
末永く働いて欲しいと思う。
マリリンさんもいつも手入れもしない髪を、彼女には珍しくメリッサに手伝ってもらって結い上げていた。
護衛のライトも執事のトールも両親の訪いの為に邸中に目を配ってくれていた。
執事のトールだけどセルトが連れてきてくれたときは護衛として雇用した。
でも所作が素晴らしくどう見ても貴族、しかも伯爵以上だと思ったし、邸の管理の助言もしてくれたりと其方方面に助かったので、今は執事として居てもらっている。
ライトには護衛が一人だと大変だからトールの代わりになる人を連れてきてと言ったら必要ないと言って、ライトの休みの時だけ自分の弟を私のポーションで釣って連れてきている。
昼食後に皆でエントランスに勢揃いして両親を待った。
暫くしてセルトと訪った二人は久しぶりの私に涙を流している。
父も母もそんなに泣いてるからぼやけるじゃない!
と思っていたけど、ぼやけているのは私が泣いていたからだった。
抱きしめてくれる父の広い胸に顔を埋める。
父は直接触るので私と母とは違い指が少し緑に変色しているのだ。
抱きしめられた体を解き父の手を握り懐かしいその指を見つめた。
「お父様、お母様ご心配おかけして申し訳ありませんでした」
私の詫びに両親は首を横に振って涙を流しながら「違う」と言ってくれた。
「お前に非は一つもない、私達の方こそ親なのに守る事ができなくて申し訳なかった」
「ミランダ顔を見せて、あぁこんなに⋯やつれ⋯てないわね、でも⋯顔色も悪⋯くないみたい。元気そうで安心したわ」
母は割と物をはっきりと言う人だった。
きっとサミュエルの事で私が気に病みやつれていると思っていたのだろう。
でも私は元気よ!
なんなら昔より?
両親を連れてきてくれたセルトも交えて庭の四阿に案内した。
この四阿も料理長の意見を参考にマーチが作ってくれたのだ。
そんなに広い庭ではないので四阿に座ると綺麗な花の花壇も、緑一色の薬草畑も温室も、そして天日干し用のテーブルも(いくつか干していた)全てが一望出来る。
両親の喜びはとても凄かった。
最初に座ってお茶の一口だけは大人しく飲んだけど、その後は二人とも思い思いに庭中を歩き回っている。
その様子をセルトと眺めていた。
「セルト、ありがとう」
「どうしたの急に」
「急ではないけど⋯いつも感謝してるから言ってるじゃない!でも今日は本当に嬉しかったの。両親の事ありがとう」
「気にするな、今日はカイサル殿はこちらの王都に行ってるんだよ」
「えっ?如何して?」
「何でもあのブレスレットこちらの国で作った物を仕入れていたそうだ」
「そうなのね」
「お守りの役はしっかり果たせるものだけど、ミランダみたいになったら気の毒だろう。お守りに悪気はないのだから、そう言って少し効果を上げるように伝えに行ったんだ」
「ご丁寧なことね、でも兄らしいかも」
笑って答えるとセルトも笑ってくれた。
あぁ幸せ。
そう思っていたら父が凄い声を上げた。
「ミランダ!何故リュウキがここにあるんだ!」
その声に温室の中に居た母も飛び出てきた。
私も父の側に行き教会で株分けしてもらった経緯を話すと、案の定父はその教会に行きたいと言い出した。
母も頷いている。
それは吝かではないけど、両親にはもう一人大事な人を紹介しないといけない。
私はマリリンさんをこちらへ連れてきてもらった。
遠慮して部屋で待っててくれていたのだ。
「お父様、お母様こちらはマリリンさんと仰って私の恩人なの」
そう紹介するとマリリンさんは照れながら「マリリンです」と言葉少なに挨拶をしていた。
両親はマリリンさんとの経緯を兄から聞いていたみたいで挨拶が遅くなったことを詫ていた。
三人と私とセルトは一旦四阿に移動してお茶を飲みながら和やかに話し始めた。
魔導具の話には母の方が喰いついていた。
楽しい再会を過ごしていたのにまたしても招かれざる客が今日はオマケも連れてやってきたようだ。
幸せな午後が三人の迷惑な客に台無しにされそうだった。
兄から両親へ離婚後、私がノーマン王国に残ると聞いてやはり渋い顔をしたそうだ。
それでも私の意見は意見として尊重してくれるつもりだと、ただ全然知らない所では不安があるらしく(両親の知らない所で3年近く住んでるのに)実際に見たいと言ってこの家に来ると言い出した。
それが今日なのだ。
ドキドキが止まらない、料理長もおもてなしの料理やお茶菓子を数日前からレシピと格闘して頭を捻って食材を準備してくれている。
通いメイドのルシーも掃除に余念がない。
彼女の夫のマーチは両親の好きな花を聞いてくれたから、花よりもポーションや薬に使える珍しい植物の方が喜ぶと言うと、ハーブで唯一植えてなかった物を取り寄せてハーブ園に植えてくれた。
因みに私の実家のことを聞いて、私の為にマーチは庭の一画を薬草園に、そして温室も手作りで作ってくれている。
この夫婦は本当に善良な働き者だ。
末永く働いて欲しいと思う。
マリリンさんもいつも手入れもしない髪を、彼女には珍しくメリッサに手伝ってもらって結い上げていた。
護衛のライトも執事のトールも両親の訪いの為に邸中に目を配ってくれていた。
執事のトールだけどセルトが連れてきてくれたときは護衛として雇用した。
でも所作が素晴らしくどう見ても貴族、しかも伯爵以上だと思ったし、邸の管理の助言もしてくれたりと其方方面に助かったので、今は執事として居てもらっている。
ライトには護衛が一人だと大変だからトールの代わりになる人を連れてきてと言ったら必要ないと言って、ライトの休みの時だけ自分の弟を私のポーションで釣って連れてきている。
昼食後に皆でエントランスに勢揃いして両親を待った。
暫くしてセルトと訪った二人は久しぶりの私に涙を流している。
父も母もそんなに泣いてるからぼやけるじゃない!
と思っていたけど、ぼやけているのは私が泣いていたからだった。
抱きしめてくれる父の広い胸に顔を埋める。
父は直接触るので私と母とは違い指が少し緑に変色しているのだ。
抱きしめられた体を解き父の手を握り懐かしいその指を見つめた。
「お父様、お母様ご心配おかけして申し訳ありませんでした」
私の詫びに両親は首を横に振って涙を流しながら「違う」と言ってくれた。
「お前に非は一つもない、私達の方こそ親なのに守る事ができなくて申し訳なかった」
「ミランダ顔を見せて、あぁこんなに⋯やつれ⋯てないわね、でも⋯顔色も悪⋯くないみたい。元気そうで安心したわ」
母は割と物をはっきりと言う人だった。
きっとサミュエルの事で私が気に病みやつれていると思っていたのだろう。
でも私は元気よ!
なんなら昔より?
両親を連れてきてくれたセルトも交えて庭の四阿に案内した。
この四阿も料理長の意見を参考にマーチが作ってくれたのだ。
そんなに広い庭ではないので四阿に座ると綺麗な花の花壇も、緑一色の薬草畑も温室も、そして天日干し用のテーブルも(いくつか干していた)全てが一望出来る。
両親の喜びはとても凄かった。
最初に座ってお茶の一口だけは大人しく飲んだけど、その後は二人とも思い思いに庭中を歩き回っている。
その様子をセルトと眺めていた。
「セルト、ありがとう」
「どうしたの急に」
「急ではないけど⋯いつも感謝してるから言ってるじゃない!でも今日は本当に嬉しかったの。両親の事ありがとう」
「気にするな、今日はカイサル殿はこちらの王都に行ってるんだよ」
「えっ?如何して?」
「何でもあのブレスレットこちらの国で作った物を仕入れていたそうだ」
「そうなのね」
「お守りの役はしっかり果たせるものだけど、ミランダみたいになったら気の毒だろう。お守りに悪気はないのだから、そう言って少し効果を上げるように伝えに行ったんだ」
「ご丁寧なことね、でも兄らしいかも」
笑って答えるとセルトも笑ってくれた。
あぁ幸せ。
そう思っていたら父が凄い声を上げた。
「ミランダ!何故リュウキがここにあるんだ!」
その声に温室の中に居た母も飛び出てきた。
私も父の側に行き教会で株分けしてもらった経緯を話すと、案の定父はその教会に行きたいと言い出した。
母も頷いている。
それは吝かではないけど、両親にはもう一人大事な人を紹介しないといけない。
私はマリリンさんをこちらへ連れてきてもらった。
遠慮して部屋で待っててくれていたのだ。
「お父様、お母様こちらはマリリンさんと仰って私の恩人なの」
そう紹介するとマリリンさんは照れながら「マリリンです」と言葉少なに挨拶をしていた。
両親はマリリンさんとの経緯を兄から聞いていたみたいで挨拶が遅くなったことを詫ていた。
三人と私とセルトは一旦四阿に移動してお茶を飲みながら和やかに話し始めた。
魔導具の話には母の方が喰いついていた。
楽しい再会を過ごしていたのにまたしても招かれざる客が今日はオマケも連れてやってきたようだ。
幸せな午後が三人の迷惑な客に台無しにされそうだった。
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