悲劇の令嬢の逆襲〜旦那様契約結婚の延長は致しません〜

maruko

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招かれざる客ワントゥスリー

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私の元へいつも冷静沈着なトールが走ってきたのは、そろそろ教会に行こうかと皆が席を立とうとした所でした。

「ミランダ様、先触れなしの客人が来ております、追い返そうとしましたが⋯これ以上は⋯」

私は予想が付きました。またロットが何かを言いに来たのだろうことが解りました。
「はぁ」と溜息を吐く私にトールは追い打ちをかけます。

「それが今日はいつもの方に見知らぬ方が一緒で」

「誰?」

「何でもミランダ様の旦那様だと言っております」

「「「「「!」」」」」

一同顔を見合わせました。
なんと!サミュエルが来たようです。
私が承諾しないので痺れを切らしたのでしょう。
でも⋯いい機会ではないかしら?

ここに丁度両親がいる、という事はサミュエルの愚行もバレたと思うでしょう。

私がセルトを見るとセルトはニッコリ笑って頷き腕を捲り力瘤を作って見せました。
援護射撃は任せとけと言ってるようで心強く思います。

「では応接室へお通しして後で行きます」

「承知しました」

トールは私に頭を下げて両親にも会釈をして行きました。

「ミランダどうするつもりかしら?」

「お母様対決することになっても構いませんか?」

「えぇ大丈夫よ、ねぇ貴方」

「あぁミランダ大丈夫だ、私達は今度こそ決断する」

父が勢い良く宣言しましたが、父の決断てなんの事でしょうか?
不思議に思っていたら答えてくれました。

「私達は国を出ようと思う」

私は目を見開いて父を見ます。
吃驚しましたが少し嬉しくもありました。

「いいのですか?」

「本当は第三王子の時にそうするつもりだったのよ」

お母様もニッコリ微笑まれながら言ってくれました。

「あの時陛下に頭を下げられて⋯王族に下げさせた頭の分だけまだ我慢しようとした結果がこれだ。本来ミランダは侮られていい娘ではない。それなのに⋯理不尽にも程がある。やはりあの時出ていればこんな事にはならなかったのだ」

お父様の後悔がサミュエルにより枯れてしまった胸の内に水を与えてくれたように思います。
そんなに思ってくれていたとは正直思ってなかったのです。

両親にも仕方のないことだったのだと思ってはいても、こんな美形に産んでと恨んでいました。
そこそこでよかったのに⋯⋯。
そうすれば王家に目を付けられる事もなかったのにと両親からすれば理不尽な思いを私は二人に抱いていました。

それから5人でサミュエル達との対峙をどうするか相談して私は応接室に向かいます。

マリリンさんは魔導具を取りに部屋へ行きました。
両親とセルトは隣の部屋で待機です。
私からの合図で部屋に入る事になっています。

ここまででかなりの時間を要しましたのでたっぷり一時間は待たせたでしょうか。
ちょっとだけザマァみろと思ってしまいます。

部屋に入るとサミュエルだけではなかったようです。
おそらくそこに座っている女性がサミュエルの恋人エミリーナなのでしょう。

「お待たせいたしました」

「遅い!主人を待たせるとはどういうつもりだ!」

「⋯⋯主人?」

開口一番が怒声では話しになりませんし、サミュエルの言った主人という言葉にどう捉えていいのか解りませんでした。

「主人とはどういうつもりなのでしょうか?」

「お前の夫と言う意味だ!なぜわからぬ」

「はぁ雇用主の方かと思いましたの」

「!⋯では雇用主でもよい。主人の命令だ婚姻の延長をしろ」

「お断りいたします」

私の言葉にサミュエルは目を見開き怒りを向けます。
その時その隣に鎮座するエミリーナが「ウッ」と、言いながら座ったままお腹を押さえ始めました。
彼女の薄いピンクの髪が俯いた拍子にダランと下がります。

「「大丈夫か(ですか)!!」」

サミュエルとロットが彼女を気遣いますが私はシラッとしていました。
何故なら彼女は俯く寸前ニヤリとして見えたから。
そういうタイプの女だと気付きました。
第三王子を私から奪った(別にいい)子爵家の女にそっくりです。

私の平然さにサミュエル我慢ならないという風に憤っています。

「お前は血も涙もないのか!エミリーナは妊婦だぞ、体を厭わないといけない身なのに態々頭を下げに来てやったんだ」

「頼んでおりませんし下げられてもいませんが?」

「お前という女は⋯だから二度も婚約破棄されるのだ!綺麗なのは顔だけだ!心根は腐っているのであろう。第三王子の真実の相手に嫌がらせをしていたそうだからな」

あの頃はその噂も嘘だろう、君がそんな事するはずないのにと一緒に憤って下さった方と同一人物だとは思えない物言いです。
この方の作戦はもうあの時には始まっていたのだと自分の嘗ての恋心が不憫になりました。

「それに漬け込んだのは貴方でしょう、そしてそこの妊婦にまんまと絆されての所業じゃないですか」

エミリーナは元は子爵家の娘だったのですが、家が飽満経営で没落したそうです。
その後公爵家に雇われたという経緯がありますが、最初からサミュエルに的を絞って狙っていたとセルトが調べてくれました。

何故そんなに詳しく調べられたのか?
なんてことはないです。
エミリーナの母親が話してくれたのです。

サミュエルに取り入るのは家ぐるみの作戦だったのに、旅に出てからお金を送ってこなくなった娘に怒って少しの謝礼金でべらべらと喋ったそうです。

録音する魔導具でその声を聞いたとき私は笑ってしまいました。

真実の愛とはこれいかに?






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