悲劇の令嬢の逆襲〜旦那様契約結婚の延長は致しません〜

maruko

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悪手だったね

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「何だ!お前は失礼だな!」

サミュエルの怒鳴り声などどこ吹く風とばかりに不敵な笑みでセルトは受け流している。
相変わらず私を睨むロットに嘘泣きがバレバレのエミリーナは母に情で訴えている。

「ねぇあんたらもう詰んでるって解らない?」

セルトの言葉にサミュエルは「グッ」と声にならない声が出ていた。
本当は彼もアホなりに解っているのだろう⋯と思いたい。

「そもそもさぁ最初から平民になればよかったのに、そうすれば後になってこんな事にならなかったんじゃないの~」

その正論は今更だと思いますセルト。

「この子が!」

「でも君のとこ没落してるから元々っていうか今も平民でしょ、お腹の子も変わらないからいいじゃないか」

エミリーナがセルトにも情で訴えようとしたけどその前に彼はぶった切る方法を選んだ。

「お前達はそんなに私を平民にしたいのか!」

お前達って、何だろう⋯⋯考えるのを放棄したい言葉がサミュエルから出てきた。

「どうして我々が貴様が平民になるならないに関係あるのだ!」

お父様も不思議に思ったみたいね。
別にサミュエルを平民にしたいわけじゃなくて、それ決めたの多分貴方の公爵家おやだから。
こちらは全く関係ないし、そもそも巻き込んだのはサミュエルだ。

「兎に角私達は公爵家と今後の話しをするつもりだ、貴様は如何するんだ、話し合いに来なければそのまま放逐だろう」

「なっ」

「それはお止めください」

「ロット貴方が言う事じゃないわ、お父様を軽んじないで!」

あ~腹が立つわ、この男。
何、伯爵のお父様に意見してるのよ。
私に苦言を呈されロットは黙ったけれどまた私を睨んでいる。
この男って睨む以外出来ない⋯わね身分的に、いや睨むのもありえない。

「取り敢えず離婚というのは決定事項です、契約を提案されたのも違反したのも貴方であると認識してください。私は⋯」

「おやおやおやおや」

私の締めの宣言を中途にしたのは兄でした。

「お兄様!」

「ミランダ、ちゃんと言ってきたからな!もう粗悪品は入ってこないぞ」

兄が遅れてきたのは私が原因。
丁度私が12歳頃ブレスレット型の私が購入したお守りが原因で中途半端な呪返しが私にかかってしまった、そのお守りは気休め程度の保護魔法が付帯されていたから。
その保護魔法の強化を依頼しに行ったとセルトに聞いていたけど⋯。
街で売ってるちょっとしたお守りなのだから作った人に問題があるわけないのに⋯。
まさか苦情とか言ってないわよね。

「遅かったな」

「父上、話しは終わりましたか?何時になりました?」

「まだだ、今から決める所だった」

「ふうん」

そう言いながら兄が座ったのは⋯⋯何と!没落妊婦の隣に、しかも無理やり。

グイグイ足で妊婦の座ってる膝を押しながら⋯。
何て行儀の悪い破落戸の様な振る舞いに私は目を疑いました。

「何をしている!」
「お前は⋯⋯」

サミュエルと父がほぼ同時に怒りと呆れの声を兄に放つけれど兄は無視してちゃっかり座った。
ん?何故エミリーナが頬を染めてるの?

没落妊婦は両手を頬に宛てて「キャッ」とか言ってるのだけれど。

「君さぁ頭いいのかと思ってたけど悪かったんだね」

兄はサミュエルに話し始めた。

「なっ」

「私だったらミランダは連れて行ったなぁ」

「は?」

「まぁ前提としてこの平民と結婚したいと先に言った事が君の悪手だったね」

何故兄はサミュエルにダメ出ししてるのかしら?

「私ならそんな事はしないけど、まぁまだ挽回は出来た。初夜にミランダと過ごさなくても別に構わないし、平民を一緒に連れて行ったのもまだ目を瞑ってもらえただろう、だけどさぁ肝心の妻を置いていったならそりゃあ公爵家も、ミランダと何らかの密約したって解るだろう、そうなると妾ならいいけど子爵を貰って平民と結婚するかもしれないって誰でも考えるぞ」

「それは⋯」

「どうせこの隣の女が「私虐められてしまうかも~」とか言ったんだろうけど」

「⋯⋯⋯」

「まぁ一緒に行くってなったらミランダは断ったかもしれないけどね」

そう言って私へウインクしてきた。
サミュエルは図星だったのか目を白黒させている。

お兄様お巫山戯が過ぎます。
でもそうね、一緒に船旅ってなったら断っていたかもしれないわ。

いっそそう持ちかけてくれていたなら⋯。

でもそうなるとここへは来ていなかったから、それはそれでありがとうってことになるのかしら?

「もういいだろう、早く終わらせよう」

父が痺れを切らしたように兄に向かって手で制しながら言った。

「取り敢えず公爵家と話しをします、覚悟を決めて2ヶ月後公爵家いえにお戻りください。あぁそちらの方の体のことがあるでしょうから、既に何処かに家を買っていると思いますけど逃げたらそのまま放逐される覚悟をしてください、そうなると貴様の口座は止まるでしょうね」

父はサミュエルを貴様で統一するようです。

こちらに全てが調べられてる事に観念したサミュエルは「わかった」と一言言って項垂れた。



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