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謁見
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威厳が服を着るとこんな風なのかと思われる程の玉座に鎮座する方の隣に、こちらは異に反して可憐と言う名が相応しいフワフワとした笑みを浮かべている女人が佇まれていた。
(何処が怖くないの?全部怖いわ)
セイシャルの王には私はあまり関わった事は無かった。
王太子様と婚約した時と解消の時、そして第三王子様との破棄の時。
何方も私には優しそうに微笑む姿だった。
王妃様は始終ニコニコしてはいたが目が笑っておらず、怖いというより常に緊張していたように思う。
それでも慣れというのは有るもので緊張の中にも親しみはあった。
私の中で王家とは遠いようで近い、近いようで遠い。
そんなどっちつかずの相手だった。
唯一親しみを覚えたのは王太子様だけだったように思う。
約4年前第三王子との件で登城した以来の王族との対面だった。
セルトは私の中でカウントには入っていない。
セイシャルで仕込まれたカーテシーでの挨拶は体に染み付いていつ如何なるときでも自然に行える。
私の垂れた頭をノーマン王は「あげよ」と仰った。
再び上げて謁見室に入った時にお見かけした二人の顔を見た。
やっぱり怖い。
よく見るとセルトと陛下は顔は似ていないけれど耳の形が同じだ。
「アルセルトが世話になってると聞いた、親として礼をいう」
陛下の声は低いけれど大きくはなくそれでもしっかりと耳に響くような声だった。
「勿体無いお言葉に御座います」
「まぁまぁこの場所を宰相が指定しちゃったからこんなに畏まってるのよね、もっと気楽にお会いしたかったのに⋯ごめんなさいね」
可憐な方はお声も可憐だ。
そして気楽にって無理ですわ王妃様。
「お立場をお考えください」
玉座よりも一段下に立っている方から声が発せられたので、あの方が宰相なのだろうと解った。
「ところで今日マリリンは来ておらぬのか?一緒にいると聞いていた」
突然マリリンさんの話題に私は少し戸惑って、一拍遅れた。
「私の部屋で寛いでおります、ここへ来くるのは嫌だと断られました」
「そうよねぇ肩苦しいもの」
セルトの言葉に被せるように王妃様は宰相を見ながら言った。
「そうか、では移動しよう」
ここにマリリンさんが来ないと解った陛下は簡単に移動すると言う。
マリリンさんの王家での待遇が最上級の物だと解る。
マリリンさん貴方何者ですか?
まさか⋯マリリンさんもどこかの王族?
セルトの部屋へ陛下達と移動しながら考えていたら、見透かしたセルトから
「ただの魔導具づくりの天才婆様だ」
と聞かされたの。
天才っていうのは同感だわ、でもセルトそれ言ってるの知られたらまた叩かれるんじゃない?
そう思ったら何処からともなくスプーンがセルトに直撃してきたのだった。
このスプーン一体何処から飛んできたの?
「いてっ!」と言いながらキョロキョロしているセルトの上着の胸元に魔導具のブローチが付いていた。
これだわ、王子にこんなの仕込むなんて⋯マリリンさんが一番怖い人かもしれない。
(何処が怖くないの?全部怖いわ)
セイシャルの王には私はあまり関わった事は無かった。
王太子様と婚約した時と解消の時、そして第三王子様との破棄の時。
何方も私には優しそうに微笑む姿だった。
王妃様は始終ニコニコしてはいたが目が笑っておらず、怖いというより常に緊張していたように思う。
それでも慣れというのは有るもので緊張の中にも親しみはあった。
私の中で王家とは遠いようで近い、近いようで遠い。
そんなどっちつかずの相手だった。
唯一親しみを覚えたのは王太子様だけだったように思う。
約4年前第三王子との件で登城した以来の王族との対面だった。
セルトは私の中でカウントには入っていない。
セイシャルで仕込まれたカーテシーでの挨拶は体に染み付いていつ如何なるときでも自然に行える。
私の垂れた頭をノーマン王は「あげよ」と仰った。
再び上げて謁見室に入った時にお見かけした二人の顔を見た。
やっぱり怖い。
よく見るとセルトと陛下は顔は似ていないけれど耳の形が同じだ。
「アルセルトが世話になってると聞いた、親として礼をいう」
陛下の声は低いけれど大きくはなくそれでもしっかりと耳に響くような声だった。
「勿体無いお言葉に御座います」
「まぁまぁこの場所を宰相が指定しちゃったからこんなに畏まってるのよね、もっと気楽にお会いしたかったのに⋯ごめんなさいね」
可憐な方はお声も可憐だ。
そして気楽にって無理ですわ王妃様。
「お立場をお考えください」
玉座よりも一段下に立っている方から声が発せられたので、あの方が宰相なのだろうと解った。
「ところで今日マリリンは来ておらぬのか?一緒にいると聞いていた」
突然マリリンさんの話題に私は少し戸惑って、一拍遅れた。
「私の部屋で寛いでおります、ここへ来くるのは嫌だと断られました」
「そうよねぇ肩苦しいもの」
セルトの言葉に被せるように王妃様は宰相を見ながら言った。
「そうか、では移動しよう」
ここにマリリンさんが来ないと解った陛下は簡単に移動すると言う。
マリリンさんの王家での待遇が最上級の物だと解る。
マリリンさん貴方何者ですか?
まさか⋯マリリンさんもどこかの王族?
セルトの部屋へ陛下達と移動しながら考えていたら、見透かしたセルトから
「ただの魔導具づくりの天才婆様だ」
と聞かされたの。
天才っていうのは同感だわ、でもセルトそれ言ってるの知られたらまた叩かれるんじゃない?
そう思ったら何処からともなくスプーンがセルトに直撃してきたのだった。
このスプーン一体何処から飛んできたの?
「いてっ!」と言いながらキョロキョロしているセルトの上着の胸元に魔導具のブローチが付いていた。
これだわ、王子にこんなの仕込むなんて⋯マリリンさんが一番怖い人かもしれない。
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