悲劇の令嬢の逆襲〜旦那様契約結婚の延長は致しません〜

maruko

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暗闇

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『喉が焼け付くの、声が出ないの、セルト何処?お父様、お母様お兄様何処?』

真っ暗な闇の中何処へも進めない。
私はここに居るのに誰も助けてくれない。
でも⋯⋯。
助けてもらえないなら助けてもらいに行かなきゃ!
私がここに居ることを誰も気付いてないのよ!
言わなきゃわかるはずないわ。

歩こう!

暗闇は怖いけれど今の私には歩く事しかできない。
喉は焼け付くけれどここに居てもお水はもらえない

歩こう!
歩こう!
歩こう!

只管歩いた先に白い光が見えた。
小指の爪よりも小さな光
暗闇だからよく見える

でも歩いても歩いても近付かない。
待って!
手を伸ばしても届かない!
待って!届かない
待って!もう少し
待って!あぁ逃げないで

「待って!」

「ミランダ!」

漸く届いたと思った手を誰かが握り返してくれた。
光を浴びたと思ったのにまだ暗い。
あぁ瞼が閉じたままなのだったわ、パチっと開けたつもりだったけど、そうでもなかったようだ。
糊でくっついていたようにパリパリパリと少しずつしか開かない。
薄っすらと開いていった目に飛び込んできたのは、誰かのぼやけた顔。

その人は懸命に私に呼び掛けてくれた。

「ミランダ!ミランダ、ミランダ」

何故泣いてるの?

「セ⋯⋯ル⋯ト?」

セルトは自分の手で包んだ私の手を口元に充てていた。
彼の頬を伝う雫が掌に伝って来た。

「泣か⋯な⋯い⋯で」

反対側から私は起こされたみたい。
セルトは私の手を離さない。
誰かが口元にコップを当てて何かを飲ませてくれた。

そして再び私は暗闇へと誘われた。


◇◇◇


次に目を覚ました時はうなされることもなくスッキリとした気分だった。
自分でベッドに起き上がるとセルトは手を繋いだままで⋯寝てるの?

「夢じゃなかったのよね」

呟く声に気付いたモナが「ミランダ様」と言って涙ぐんでいた。

「心配かけちゃったのね」

モナは頭を振りながら頷いている⋯どっち?

「此方を」

そう言ってモナは私の顔を少し温かいタオルで拭ってくれた。
横でゴソゴソしていたからだろうかセルトが起き上がる気配がしたと思ったら徐に抱きしめられた。

「ミランダ!ゴメン。ちゃんと守ってやれなくて」

そう言って彼はもっと力強く抱きしめるのだった。

でも⋯⋯何があったの?





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