偽装婚約〜それでも私は幸せになる

maruko

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 ルクルト伯爵シーレスの話はまだまだ続く。

 甥に継承させることにしたルクルト伯爵だったが、その準備の途中で一旦保留になった。
 甥であるガルシスに更なる問題が起きたのだった。

 その問題が⋯⋯。

「えっ?スコット侯爵令嬢の護衛ですか?」

「そうなんだよ~あいつさ顔だけはいいもんだからね。前からあの令嬢はシスに付き纏っていたんだけど、自分の輿入れの護衛にシスを指名してきてさぁ」

 付き纏いに指名⋯貴族令嬢、しかも侯爵令嬢が有り得ない端なさだと平民のライラでも思えた。

「ガルシスの前の奥さんと取り合ってね、実家の財力で負けちゃったからさ」

「えっ?でもスコット侯爵家はかなりの資産家ではなかったですか?」

 ライラは不思議に思えた。
 レオの想い人エリーゼのスコット侯爵家は領地も広く豊かな穀倉地帯で、国内外で取引があり資金力で言えば国でも1、2位を争う程なのだ。その侯爵令嬢よりも上の財力なんて王家位しか考えられない、だがもし王女が降嫁しているなら騎士爵の妻なんて有り得ない。

「違うんだ、あいつは極度の女嫌いでね。まぁ顔が良すぎて群がる女性達にうんざりしていたんだと思うんだけどさ、王命で絶対結婚しろなんて言われちゃったから。極力直ぐに離婚に応じそうな財力のない方を選んだんだ」

「えっ?」

 どんな基準なのだとライラはまたもや疑問だった。するとシーレスが言うには、元々騎士団にガルシス目当てで見学者が殺到していて女達の小競り合いが耐えなかった。騎士達も落ち着いて鍛錬もできないから見学者を禁止にした。すると今度は騎士団の入り口で待ち伏せが始まった、裏門も表門も横門もどの門でも女性達が大勢屯し始めたのだ。立入禁止を範囲を広げても結局広げた所に屯する。そこで困った上司が王家に相談した。
 最初は、まさかそんなことで副団長まで実力で上り詰めた団員、しかも公爵家の令息を辞めさせるわけにもいかず、ならば落ち着かせればいいのではないかと結婚するように言ったが、極度の女嫌いの男は上司の命令をのらりくらりと躱すので、結果王命で結婚をしろとガルシスは言われる事になる。

 その時にガルシス争奪戦に最後まで残ったのがアイリーン・トール子爵令嬢とエリーゼ・スコット侯爵令嬢だった。

 二人のうちガルシスが選んだのはトール子爵令嬢。理由は爵位と財力がスコット侯爵家よりも劣っていたからだった。

 そして今から4年前アイリーンとガルシスは結婚した。
 だが二人は完全別居の白い結婚、結婚式すらガルシスはしなかった。

 ガルシスに相手にされなかったアイリーンは結婚して2年後に不貞を犯し離縁した。

 ライラはその話の突っ込みどころが多すぎて唖然としてしまった。

 エリーゼはライラと同じ年だ。
 4年前といえばまだ14歳、学園に入学前だ。それなのに24歳の騎士の付き纏いをしていたなんて!
 エリーゼが学園で見目の良い騎士をスカウトしていたのは結構有名な話だったのだが、ひょっとしてガルシスと結婚できなかったから、その代わりに見目の良い騎士を集めていたのだろうか?そんなとんでもない考えがライラの頭に浮かんだ。強ち間違いでもないような気がする。

「どうして劣る方を選んだのでしょうか?」

 ライラは失礼な事だとは思ったが、どうしても知りたくて無礼承知でシーレスに聞いたのだが、答えたのはアリアだった。

「始めはスコット侯爵家の令嬢の方が有利だったのよ。まだ婚姻できる年でもなかったから婚約で済むからそのうち解消する予定でね。だけど侯爵家はかなり強引な手を使ってきそうでしょう、既成事実に持ち込む事もお金があれば結構簡単なのよ。それも懸念されたし、あとは侯爵家が従属爵位を保有していたから、娘の為に無理やり爵位を持たせようとしてね。解消できなかったら無理やり爵位を持たされて離婚も簡単に出来なくなりそうっだってあの子は考えたみたい。その点こんなこと言うと卑劣だけど子爵家だったらお金で黙らせることも出来るから」

「なるほど」

 それを聞いてライラは何となく自分が選ばれたのも平民だからなのかと思っていたら、直ぐ様シーレスから否定の言葉が飛んできた。

「ライラちゃんを選んだ理由は爵位とか関係ないからね!誤解しないで!」

 必死に言い募るルクルト伯爵にライラは苦笑する。それにしてもそんなに見目の良い副団長って一体どんな顔をしているのかな?とライラは少し興味が湧いてきた。

 それにしてもエリーゼ様
 ひょっとしてこの婚約の話を知っていたのではないかしら?
 ライラは、必死で間に入ろうとしていたエリーゼの顔を思い浮かべた。


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