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「すーーぅ」
口を塞がれたライラだったが、息が苦しくて父の手をタップした。慌てた父はライラの鼻まで塞いでいたからだ。
やっと手が離れてライラは大きく息を吸った。
(死ぬかと思った)
ライラの生命の危機は回避されたが、父は汗を拭きながら伯爵に謝罪している。その様子でどうやら父も生命の危機だったらしいとライラは自分の発言が駄目だったのだと気付いた。
「シスはさ王位継承権を持っているんだよ、放棄できないんだ。先に兄達が放棄してしまったからね。その権利を有する者の托卵は流石に笑えないからさ」
「ひっ」
ライラはその罪の重さを想像して恐ろしさに悲鳴が上がった。
アイリーン様なんて事をしたんですか!
ライラは心の中でアイリーンの失態を詰った。
「まぁそれで離婚せざるを得なくて、だけど離婚したら元の木阿弥だろう?絶対にスコット侯爵家が出張ってくるのは分かっていたから、王家は手っ取り早く彼女を先に婚約させようと画策したんだ」
「それが隣国の公爵家という事なのですね」
ライラの言葉にルクルト伯爵はニッコリ笑って頷いた。
「王家関与の婚約だからね、スコット侯爵令嬢も諦めてくれたと思ってたんだけど。そうはいかなかったよ、それで困った事になってね」
隣国の公爵家に嫁ぐのは半ば王命に近いのでエリーゼは婚約解消等という愚行は出来なかった。隣国公爵家が原因なら行けるか!と色々と仕掛けてみたが2年ではどうにもならず、婚姻は受け入れた。だが長年好きなガルシスを諦めたくはない。だったら護衛として隣国に付いてきてもらおう!そうエリーゼは考えてスコット侯爵に相談した。
スコット侯爵はエリーゼの恋心を始めは応援してはいなかった。だが4年前娘が子爵令嬢に負けたと知って侮辱されたと密かに憤慨していた。
だから今回はエリーゼに協力しようと思ったらしい。
かなり強引に王家に迫った。
国を上げての婚姻なのだから、騎士団から然るべき人物が専属の護衛として輿入れに付いていくのは当たり前だと主張した。
そしてスコット侯爵はガルシスを指名してきた。
どうしても行きたくないガルシスは国を出られない理由を画策した、それがルクルト伯爵の継承だった。だがそれはあまり効果がなかった。
それでまたもや婚姻という手段を取ることにした。
今回はスコット侯爵が出張ってきたこともあって、ガルシスの兄であるオーレント公爵も協力的だった。侯爵家になど負けるものかという気概が感じられたとルクルト伯爵は言う。
ライラはもう気が遠くなりそうだった。
また倒れてもいいかな?
いいよね?
⋯⋯⋯どうして今度は倒れないのよ私!
血の気だけが引いていって気分は悪いのに、今日は全く倒れてくれない自分の体を呪った。
伯爵から始まり侯爵家に公爵家、隣国の公爵家でトドメに王家。
そんな大掛かりな貴族や王族が絡みまくっているのに、どうしてその婚約の打診が平民のライラに齎されたのか。
お貴族様で勝手にやってよ!
ライラの心の中は悪態を吐くばかりだった。
口を塞がれたライラだったが、息が苦しくて父の手をタップした。慌てた父はライラの鼻まで塞いでいたからだ。
やっと手が離れてライラは大きく息を吸った。
(死ぬかと思った)
ライラの生命の危機は回避されたが、父は汗を拭きながら伯爵に謝罪している。その様子でどうやら父も生命の危機だったらしいとライラは自分の発言が駄目だったのだと気付いた。
「シスはさ王位継承権を持っているんだよ、放棄できないんだ。先に兄達が放棄してしまったからね。その権利を有する者の托卵は流石に笑えないからさ」
「ひっ」
ライラはその罪の重さを想像して恐ろしさに悲鳴が上がった。
アイリーン様なんて事をしたんですか!
ライラは心の中でアイリーンの失態を詰った。
「まぁそれで離婚せざるを得なくて、だけど離婚したら元の木阿弥だろう?絶対にスコット侯爵家が出張ってくるのは分かっていたから、王家は手っ取り早く彼女を先に婚約させようと画策したんだ」
「それが隣国の公爵家という事なのですね」
ライラの言葉にルクルト伯爵はニッコリ笑って頷いた。
「王家関与の婚約だからね、スコット侯爵令嬢も諦めてくれたと思ってたんだけど。そうはいかなかったよ、それで困った事になってね」
隣国の公爵家に嫁ぐのは半ば王命に近いのでエリーゼは婚約解消等という愚行は出来なかった。隣国公爵家が原因なら行けるか!と色々と仕掛けてみたが2年ではどうにもならず、婚姻は受け入れた。だが長年好きなガルシスを諦めたくはない。だったら護衛として隣国に付いてきてもらおう!そうエリーゼは考えてスコット侯爵に相談した。
スコット侯爵はエリーゼの恋心を始めは応援してはいなかった。だが4年前娘が子爵令嬢に負けたと知って侮辱されたと密かに憤慨していた。
だから今回はエリーゼに協力しようと思ったらしい。
かなり強引に王家に迫った。
国を上げての婚姻なのだから、騎士団から然るべき人物が専属の護衛として輿入れに付いていくのは当たり前だと主張した。
そしてスコット侯爵はガルシスを指名してきた。
どうしても行きたくないガルシスは国を出られない理由を画策した、それがルクルト伯爵の継承だった。だがそれはあまり効果がなかった。
それでまたもや婚姻という手段を取ることにした。
今回はスコット侯爵が出張ってきたこともあって、ガルシスの兄であるオーレント公爵も協力的だった。侯爵家になど負けるものかという気概が感じられたとルクルト伯爵は言う。
ライラはもう気が遠くなりそうだった。
また倒れてもいいかな?
いいよね?
⋯⋯⋯どうして今度は倒れないのよ私!
血の気だけが引いていって気分は悪いのに、今日は全く倒れてくれない自分の体を呪った。
伯爵から始まり侯爵家に公爵家、隣国の公爵家でトドメに王家。
そんな大掛かりな貴族や王族が絡みまくっているのに、どうしてその婚約の打診が平民のライラに齎されたのか。
お貴族様で勝手にやってよ!
ライラの心の中は悪態を吐くばかりだった。
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