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第一章 公爵夫人になりました
私の過去 3ー②
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私は6歳の頃から母に連れられてお茶会に参加する事が多くなりました。
お友達が少しずつ増える感覚でそれなりに楽しんでいましたし、その日は必ず父が「楽しかったかい?」と訊ねてくれて沢山お喋りも出来るのでとても嬉しかったのです。
普段の父は姉二人とよく話していました。
不思議な事かもしれませんが私は姉二人をお姉様と呼んだ事がありませんでした。
そもそも姉と言う言葉を知らなかったのです。
だから二人の事は名前で呼んでいました。
まだその頃は姉二人が養女ということも私は聞かされていなかったのです。
キャンベラが何度も怒ってましたが怒る意味が解ってなかったのです。
いつものように魔法で躱しておりました。
でも何度もお茶会に参加すれば世間が少し見えてきます。
世間では上の兄弟をお兄様、お姉様と呼ぶ事に気づきました。
それで母に何故スパナート家では違うのかと訊ねましたら、父が嫌がるからだと教わりました。
決して他の人には言ってはいけないとも言われました。
私はその時はまだ小さかったので、これを逆に捉えてしまいましたの。
私が父に嫌われているから姉達と区別しているのだと。
子供ながらに考えてお茶会の話の時だけは機嫌の良い父親と沢山話したくて母にお強請りして何度も何度もお茶会に参加していたのですが、そのうち私の周りに変化が起こります。
仲良くしていた友人達が私を遠巻きに見るようになってヒソヒソ話すのです。
子息達からは意味もわからず泥水の中に突き飛ばされたりお茶をかけられたり。
私はきっと勝ち気な性格なのでしょうね、悔しくても悲しくても絶対に泣くものかと魔法で浄化を続け、何事もなかったように振る舞って相手にしてないわという態度で接してました。
でもそんな日々が続くと子供ですからもうお茶会になんか行かない!
私は友達なんかいらない!
と、なりますよね。
私もそうなりました。
お強請りするほど参加していたお茶会に行かなくなって母も祖母も心配して声を掛けて下さいましたが、頑なに語りませんでした。
おそらく母はお茶会に参加した後に何らかの魔法を私が使っている事に気づいていたのでしょう。
調べて私の身に何が起こったのかを知ったようです。
でもその時の母は行動は起こしませんでした。
静観することにしたようです。
ずっと家から出ない私は弟とばかり一緒にいました。
時折メリルも一緒に遊んでくれて、もう私の世界はこれでいいと思ってました。
キャンベラが日々するイジメは正直、お茶会でのイジメとは比べ物にならないくらい子供っぽいので簡単にやり込められるし気にするほどの事でもないので、家の中での運動くらいにしか考えてませんでした。
そんな日々に慣れ始めていた私が9歳になった頃、クラリス・ミラー侯爵令嬢からお手紙が届いたのです。
彼女はお茶会で出来た初めてのお友達でした。
私はお茶会で出来た友人達とはお手紙のやり取りをしておりましたが、その数は徐々に減っていきイジメが始まってからは全くなくなっていましたので、彼女からのお手紙は戸惑い半分、嬉しさ半分といった気持ちでした。
そういえばクラリスは最初の2、3回会った後は何故かお茶会に参加しなくなりそれっきりだったわねと思いながら中身を読むと、とても信じられない事が書いてありました。
私は姉いじめの汚名を着せられていたのです。
それを兄姉がいる子供達が聞いて、姉を虐げる輩は排除しようとなったみたいです。
そしてその事を話しているのがメリルだと手紙に書いてありました。
敵は家の中にいる気をつけるように、と私を心配している手紙に涙が溢れます。
お人好しな優しい姉だと思っていたメリル。
いつもキャンベラに苦言を呈してくれていたメリル。
お姉様と呼びたかったメリル。
何故なのかと理由がわからなくて部屋に閉じこもり、食事もしなくなった私を心配して父母が部屋にやってきました。
数日はそのまま閉じこもっていましたが意を決して父母にクラリスの手紙を見せました。
読み終わった父は舌打ちをし、そんな父を母は睨みつけておりました。
次の日、私と弟と両親4人で初めて外食に行きました。
私は初めての事に戸惑いましたが父がいて、そして移動の時に私と手を繋いでくださる事が何よりも嬉しくて悲しい気持ちが少し和らぎました。
すごく綺麗なお店で美味しい料理を堪能していると父が此処は母と初めてのデートで来た場所なんだと教えてくれて、またまた嬉しい気持ちになりました。
その後父母は珈琲を私と弟がデザートを食べている時に二人の養女の話を聞きました。
何故父が私達に姉と呼ばせたくなかったのか、やっと謎が溶けました。
父は子供には罪はないと頭ではわかっているつもりだったけど私が生まれた時に、とてつもなく彼女達に違和感が湧いたそうです。
どうしても受け入れられないという感情を抑えるのに苦労したといいます。
そんな折、私が魔法を使った事を知った父母は愕然としたそうです。
その時に初めて魔力開放の意味を教えられました。
魔力持ちが命の危険を感じたらその力を開放するということを⋯⋯。
それから父母は私に言いました。
お茶会での出来事は知っていたし理由もわかっていた、けれどもそれを彼女に今は追求できない、難しいかもしれないが普通に接して欲しいと。
「ごめんよアディル。私がもう少し感情をコントロールできていれば、君を辛い目に合わせる事はなかったんだ。二人の前ではなるべくアディルを可愛がらないようにしていたつもりだったけど、あの娘はそれだけでは足らなかったんだろうな。
私が守ろうと思うのは此処にいる3人だけだ。
父と母はもういい年だからね、二人で何とかやっていくだろう。
もう少しだけ待っていてくれないか?
我慢を強いて申し訳ないけれど、きっと何とかするから」
父が涙を浮かべて9歳の娘に懇願されました。
そして弟を守ってあげてと。
父の願いを実行する為に私は考えました。
魔法を使えても子供なので絶対に顔にも態度にも出てしまいます。
だから私は自分に精神魔法を掛けることにしたのです。
今まで通り二人に接する為に。
魔法解除のキーワードは母に託しました。
そうしないと誰も解けないと母に言われたからです。
その後、私が10歳になった時、全ての元凶のメリルがバスティナ伯爵の元に嫁いで行きました。
それから母が私の魔法を解除したのです、
キーワードは
”カッコウハスニモドッタ”
お友達が少しずつ増える感覚でそれなりに楽しんでいましたし、その日は必ず父が「楽しかったかい?」と訊ねてくれて沢山お喋りも出来るのでとても嬉しかったのです。
普段の父は姉二人とよく話していました。
不思議な事かもしれませんが私は姉二人をお姉様と呼んだ事がありませんでした。
そもそも姉と言う言葉を知らなかったのです。
だから二人の事は名前で呼んでいました。
まだその頃は姉二人が養女ということも私は聞かされていなかったのです。
キャンベラが何度も怒ってましたが怒る意味が解ってなかったのです。
いつものように魔法で躱しておりました。
でも何度もお茶会に参加すれば世間が少し見えてきます。
世間では上の兄弟をお兄様、お姉様と呼ぶ事に気づきました。
それで母に何故スパナート家では違うのかと訊ねましたら、父が嫌がるからだと教わりました。
決して他の人には言ってはいけないとも言われました。
私はその時はまだ小さかったので、これを逆に捉えてしまいましたの。
私が父に嫌われているから姉達と区別しているのだと。
子供ながらに考えてお茶会の話の時だけは機嫌の良い父親と沢山話したくて母にお強請りして何度も何度もお茶会に参加していたのですが、そのうち私の周りに変化が起こります。
仲良くしていた友人達が私を遠巻きに見るようになってヒソヒソ話すのです。
子息達からは意味もわからず泥水の中に突き飛ばされたりお茶をかけられたり。
私はきっと勝ち気な性格なのでしょうね、悔しくても悲しくても絶対に泣くものかと魔法で浄化を続け、何事もなかったように振る舞って相手にしてないわという態度で接してました。
でもそんな日々が続くと子供ですからもうお茶会になんか行かない!
私は友達なんかいらない!
と、なりますよね。
私もそうなりました。
お強請りするほど参加していたお茶会に行かなくなって母も祖母も心配して声を掛けて下さいましたが、頑なに語りませんでした。
おそらく母はお茶会に参加した後に何らかの魔法を私が使っている事に気づいていたのでしょう。
調べて私の身に何が起こったのかを知ったようです。
でもその時の母は行動は起こしませんでした。
静観することにしたようです。
ずっと家から出ない私は弟とばかり一緒にいました。
時折メリルも一緒に遊んでくれて、もう私の世界はこれでいいと思ってました。
キャンベラが日々するイジメは正直、お茶会でのイジメとは比べ物にならないくらい子供っぽいので簡単にやり込められるし気にするほどの事でもないので、家の中での運動くらいにしか考えてませんでした。
そんな日々に慣れ始めていた私が9歳になった頃、クラリス・ミラー侯爵令嬢からお手紙が届いたのです。
彼女はお茶会で出来た初めてのお友達でした。
私はお茶会で出来た友人達とはお手紙のやり取りをしておりましたが、その数は徐々に減っていきイジメが始まってからは全くなくなっていましたので、彼女からのお手紙は戸惑い半分、嬉しさ半分といった気持ちでした。
そういえばクラリスは最初の2、3回会った後は何故かお茶会に参加しなくなりそれっきりだったわねと思いながら中身を読むと、とても信じられない事が書いてありました。
私は姉いじめの汚名を着せられていたのです。
それを兄姉がいる子供達が聞いて、姉を虐げる輩は排除しようとなったみたいです。
そしてその事を話しているのがメリルだと手紙に書いてありました。
敵は家の中にいる気をつけるように、と私を心配している手紙に涙が溢れます。
お人好しな優しい姉だと思っていたメリル。
いつもキャンベラに苦言を呈してくれていたメリル。
お姉様と呼びたかったメリル。
何故なのかと理由がわからなくて部屋に閉じこもり、食事もしなくなった私を心配して父母が部屋にやってきました。
数日はそのまま閉じこもっていましたが意を決して父母にクラリスの手紙を見せました。
読み終わった父は舌打ちをし、そんな父を母は睨みつけておりました。
次の日、私と弟と両親4人で初めて外食に行きました。
私は初めての事に戸惑いましたが父がいて、そして移動の時に私と手を繋いでくださる事が何よりも嬉しくて悲しい気持ちが少し和らぎました。
すごく綺麗なお店で美味しい料理を堪能していると父が此処は母と初めてのデートで来た場所なんだと教えてくれて、またまた嬉しい気持ちになりました。
その後父母は珈琲を私と弟がデザートを食べている時に二人の養女の話を聞きました。
何故父が私達に姉と呼ばせたくなかったのか、やっと謎が溶けました。
父は子供には罪はないと頭ではわかっているつもりだったけど私が生まれた時に、とてつもなく彼女達に違和感が湧いたそうです。
どうしても受け入れられないという感情を抑えるのに苦労したといいます。
そんな折、私が魔法を使った事を知った父母は愕然としたそうです。
その時に初めて魔力開放の意味を教えられました。
魔力持ちが命の危険を感じたらその力を開放するということを⋯⋯。
それから父母は私に言いました。
お茶会での出来事は知っていたし理由もわかっていた、けれどもそれを彼女に今は追求できない、難しいかもしれないが普通に接して欲しいと。
「ごめんよアディル。私がもう少し感情をコントロールできていれば、君を辛い目に合わせる事はなかったんだ。二人の前ではなるべくアディルを可愛がらないようにしていたつもりだったけど、あの娘はそれだけでは足らなかったんだろうな。
私が守ろうと思うのは此処にいる3人だけだ。
父と母はもういい年だからね、二人で何とかやっていくだろう。
もう少しだけ待っていてくれないか?
我慢を強いて申し訳ないけれど、きっと何とかするから」
父が涙を浮かべて9歳の娘に懇願されました。
そして弟を守ってあげてと。
父の願いを実行する為に私は考えました。
魔法を使えても子供なので絶対に顔にも態度にも出てしまいます。
だから私は自分に精神魔法を掛けることにしたのです。
今まで通り二人に接する為に。
魔法解除のキーワードは母に託しました。
そうしないと誰も解けないと母に言われたからです。
その後、私が10歳になった時、全ての元凶のメリルがバスティナ伯爵の元に嫁いで行きました。
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”カッコウハスニモドッタ”
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