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第一章 公爵夫人になりました
私の過去 3ー③
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魔法を解除された私が一番初めにした事はクラリスに手紙を書くことでした。
あの時の返信をしていなかったからです。
クラリスがラデイール様の妹だという事に、宛名を書く時に気づいて、自分の迂闊さに笑ってしまいました。
なるほどあの正義感の塊のようなラデイール様の妹ならクラリスも黙って置けなかったのかと。
直ぐに返信が来てお茶に招待されたのでミラー侯爵家に母と弟と3人で行きました。
キャンベラも誘いましたがラデイール様の家と聞いて断られました&癇癪を起こしてました。
クラリスにはひとつ下の弟がいたのでアンディーも退屈することなく過ごせそうだったので私はクラリスと今までの事を沢山話しました。
クラリスは7歳になった頃、体を悪くして領地で過ごす事になったそうです。
手紙を書いたりする事もできなくて私の身に起こった事も知らなかったんだとか。
元気になり戻ってきたら7歳の頃の私からの手紙を読んでびっくりしてラデイール様に訊ねたのだとか、でもその頃はラデイール様も何も知らなかったようです。
それから調べてくれて私の身に何が起こっていたのかを知り、あの手紙を書いてくれたのだそうです。
それからの日々は、クラリスに紹介された子爵家のタリーと3人でとても仲良く過ごしました。
私は幼少期のお茶会の件で未だに人をあまり信じられないし、お茶会というワードにとても嫌悪感を持っています。
彼女達がいなければもっともっと私の日常は色褪せたものだったでしょう。
彼女たちには感謝しかありません。
──────────────
ところで嫁いで行ったメリルはとても大事にされているそうです。
母がメリルに初めて会ったとき彼女は5歳でしたが既に魔力を開放していました。
祖母に引き取られてからというのは祖母の性格を知れば考えられないので、おそらくその前に何らかの命の危険があったのではないかと母は推察したそうです。
そしてキャンベラは3歳。
母はキャンベラに違和感を持ちました。
大人しくしていたかと思ったら急に甘えだすそれも娼婦のように。
キャンベラが持つ資質なのかと最初は思ったそうです。
でもよくよく観察してみると弱い魔力を感じる。
あまりにも弱くて気づくのが遅れたけれどメリルの魔力でした。
メリルはキャンベラに精神魔法を使っていたのです。
母が気づいたら即解除をしていたのですが、ずっとメリルに張り付くわけにもいきません。
そのうちその魔力に取り込まれてしまってキャンベラに根付いてしまいました。
何とか矯正しようと頑張りましたが、長年弱い魔力を掛け続けられたキャンベラには効果はなかったそうです。
それは本当に元々のキャンベラの資質では?
今でも私はそう思ってます。
流石に私や弟を殺そうとしたのはメリルの魔法かもしれませんが日々の苛烈な性格は彼女のもって生まれたもののような気がします。
承認欲求がメリルは強いのだと母は言いました。
愛が信じられずに、これでもか、これでもかと求める。
それが父母の愛なのか、男の人への愛なのか、それとも全ての人なのか、今となってはわからないそうです。
だけど王命の事があるので彼女を刺激しないようにしなければならなかった父母は長く苦しみました。
祖父母のことを父は恨みましたが、母は恨むのは違うと思って父を説得したそうです。
だって祖母は単にお人好しだっただけですから。
可哀想な子供を見捨てられずにいただけです。
祖父母は、私の目にも充分に二人に愛情を持って接していました。
だからきっとメリルの承認欲求も彼女の資質なのでしょう。
私はそう思います。
そして驚く事にメリルは私と弟にも精神魔法を使っていたみたいです。
ただ私の方が魔力が上ですので全くかかりませんでしたが⋯⋯。
業を煮やしたメリルは言葉で操る事にしたようです。
子供の頃は沢山騙されました。
だから彼女が私を噂で追い詰めた事を知った時ショックを受けたのです。
彼女は何をしたかったのでしょう。
今となっては知る事もないし知りたくもありません。
ただ彼女の安寧を祈るばかりです。
あの時の返信をしていなかったからです。
クラリスがラデイール様の妹だという事に、宛名を書く時に気づいて、自分の迂闊さに笑ってしまいました。
なるほどあの正義感の塊のようなラデイール様の妹ならクラリスも黙って置けなかったのかと。
直ぐに返信が来てお茶に招待されたのでミラー侯爵家に母と弟と3人で行きました。
キャンベラも誘いましたがラデイール様の家と聞いて断られました&癇癪を起こしてました。
クラリスにはひとつ下の弟がいたのでアンディーも退屈することなく過ごせそうだったので私はクラリスと今までの事を沢山話しました。
クラリスは7歳になった頃、体を悪くして領地で過ごす事になったそうです。
手紙を書いたりする事もできなくて私の身に起こった事も知らなかったんだとか。
元気になり戻ってきたら7歳の頃の私からの手紙を読んでびっくりしてラデイール様に訊ねたのだとか、でもその頃はラデイール様も何も知らなかったようです。
それから調べてくれて私の身に何が起こっていたのかを知り、あの手紙を書いてくれたのだそうです。
それからの日々は、クラリスに紹介された子爵家のタリーと3人でとても仲良く過ごしました。
私は幼少期のお茶会の件で未だに人をあまり信じられないし、お茶会というワードにとても嫌悪感を持っています。
彼女達がいなければもっともっと私の日常は色褪せたものだったでしょう。
彼女たちには感謝しかありません。
──────────────
ところで嫁いで行ったメリルはとても大事にされているそうです。
母がメリルに初めて会ったとき彼女は5歳でしたが既に魔力を開放していました。
祖母に引き取られてからというのは祖母の性格を知れば考えられないので、おそらくその前に何らかの命の危険があったのではないかと母は推察したそうです。
そしてキャンベラは3歳。
母はキャンベラに違和感を持ちました。
大人しくしていたかと思ったら急に甘えだすそれも娼婦のように。
キャンベラが持つ資質なのかと最初は思ったそうです。
でもよくよく観察してみると弱い魔力を感じる。
あまりにも弱くて気づくのが遅れたけれどメリルの魔力でした。
メリルはキャンベラに精神魔法を使っていたのです。
母が気づいたら即解除をしていたのですが、ずっとメリルに張り付くわけにもいきません。
そのうちその魔力に取り込まれてしまってキャンベラに根付いてしまいました。
何とか矯正しようと頑張りましたが、長年弱い魔力を掛け続けられたキャンベラには効果はなかったそうです。
それは本当に元々のキャンベラの資質では?
今でも私はそう思ってます。
流石に私や弟を殺そうとしたのはメリルの魔法かもしれませんが日々の苛烈な性格は彼女のもって生まれたもののような気がします。
承認欲求がメリルは強いのだと母は言いました。
愛が信じられずに、これでもか、これでもかと求める。
それが父母の愛なのか、男の人への愛なのか、それとも全ての人なのか、今となってはわからないそうです。
だけど王命の事があるので彼女を刺激しないようにしなければならなかった父母は長く苦しみました。
祖父母のことを父は恨みましたが、母は恨むのは違うと思って父を説得したそうです。
だって祖母は単にお人好しだっただけですから。
可哀想な子供を見捨てられずにいただけです。
祖父母は、私の目にも充分に二人に愛情を持って接していました。
だからきっとメリルの承認欲求も彼女の資質なのでしょう。
私はそう思います。
そして驚く事にメリルは私と弟にも精神魔法を使っていたみたいです。
ただ私の方が魔力が上ですので全くかかりませんでしたが⋯⋯。
業を煮やしたメリルは言葉で操る事にしたようです。
子供の頃は沢山騙されました。
だから彼女が私を噂で追い詰めた事を知った時ショックを受けたのです。
彼女は何をしたかったのでしょう。
今となっては知る事もないし知りたくもありません。
ただ彼女の安寧を祈るばかりです。
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