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第一章 公爵夫人になりました
公爵夫人として
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その後4人で簡単な打ち合わせをして別宅を出たのは夕暮れ時でした。
丸一日濃い時間を過ごして私の頭はパンク寸前です。
「奥様こちらで少しお休みになっては?
到着しましたらお起こししますので」
馬車に乗り込むと椅子の端にクッションを重ねてくれていました。
そうですね、かなり疲れたので休みながら帰る事にします。
ハンカチを氷魔法で冷やし目に当ててそのまま眠りに就きました。
ローリーに再び起こされた時、私は何故か自室のベッドにいて驚いていると、マーク様が運んでくれたみたいです。
食事をどうするか聞かれたので着替える事にしました。
食堂に行くと既にマーク様は始めていて私が中に入ると慌てておられました。
「すまない、まだ休んでいると思ってさきに始めていたよ」
「旦那様、私こそ遅れて申し訳ありません。
ベッドに運んでいただきありがとうございます」
「今日は父の所に行っていたんだ疲れただろう。
もっとゆっくりしていても良かったのに」
「大丈夫ですわ。しっかりと休ませてもらいましたもの」
マーク様の故郷が我が国を狙ってる事を聞いてしまったので少し身構えてしまったけれど、彼は元々メイナードの家系だったわと思い直しました。
食事を堪能してサロンに二人で移動して本日の擦り合わせです。
サロンに防音をかけました。
「君の魔法は凄いね。自由自在じゃないか」
「マーク様、私一度魔術師団の団長様にお会いしたいのですが、お取次頂けますか?」
「団長に?」
「はい、実は私魔法は自己流なんですの」
「君はチェリーナ様の娘だよね」
「そうなのですが母から教わった事はないのです。うちには魔法書は極々僅かしか置いていなくて、それも全て母により鍵がかけられていました。
解除した2冊の本は治癒の本だったので、治癒だけは本で学びました。それ以外は自然と使っていたのです。
だから根本的な事など知らずここまで来たのでマーク様に教えて欲しかったのですが先日お断りされましたので」
「それで僕に教えてほしいと言ったんだね。
それはやはり団長の方が対処できると思うけど、僕が思うにチェリーナ様が一番だけど今はお体に負担がかかると良くないからね。わかったよ、明日にでも団長に聞いてみる。忙しい方だけどおそらく直ぐに来てくれると思うよ」
「それはなぜですか?」
「今魔術師団での最優先事項がこのメイナード家だからだよ。なんせサンディルは副団長だからね」
「それも不在中に昇進されたのですか?」
「そうだよ、ただこれは前もって決まってたんだ。
彼が爵位を継ぐときに昇進するってことはね」
「ふ~んそうですか~」
「なにその気の抜けた感じ」
「私の知らないところで、知らない事が沢山起きてますよね。でもそれらは私にとってはそんなに重要でもないことで、でも私は頑張らないといけないみたいなのですけど、いまいちやる気が起きないというか⋯⋯。
目標が欲しいなぁと思いまして。今のままだとお願いされた事をただするだけで、私には目的がまるで無いのです」
「ウィルハイム様は無理難題を言ってきたの?」
「いいえ、全然無理じゃない事を仰っていました。
私はこのままでいいそうなので。
最低限のルールが一つだけ、あとは私の好きにしていいそうです」
「聞いても?」
「ええ、いいと思います。マーク様が今されてる事と関係ありますもの。
スノーを逃したり辞めさせたりしない事ですわ」
「結局彼女なんだね」
「そうなんですけど、マーク様は彼女と何らかの関係とかあったりするのですか?」
「質問の意味がわからないのだけど」
「彼女は私に対して何か含みがあるんです。でも接点なんて今まであるわけもないし、まぁ唯一の接点がマーク様なので」
「う~ん、勘で言わせてもらうなら。彼女は僕に好意がある。ただそれは僕になのかサンディルになのかがわからないんだ」
「サンディル様には会って居られないのでしょう?時期が7年前なのでちょうど入れ替わった後では?」
「そうなんだけど、上手く言えないんだけどメイナード公爵家を視野に入れて好意を持ってるって言えばいいのかな」
「あぁなるほど、納得致しました」
スノーは夢見ているのねメイナード公爵夫人を。
それを前提でマーク様(サンディル様)に好意を持っていて私が邪魔だとね。
あの謎のマウントは意味が解らなかったけど私が大した魔法が使えないと思ったからって事で合ってるわよね。
あ~ぁ王妃様の言う通りにするのがやっぱり一番って言うことなのね。
──────────────
次の日はアンヌとローリーが朝の支度をしてくれて早速庭造りに取り組むべく張り切っていたのにドーランに水を刺されました。
「奥様おはようございます。本日は執務の説明をさせて頂きたいのですが、お時間頂けませんでしょうか?」
「ドーラン、貴方は聞いてないのかしら?お義父様から」
「奥様は執務をしたくないと思われていてもやはり公爵夫人であ「ちょっと待って」るか」
ドーランの言葉を遮って彼を睨みつける。
「私が仕事をしたくないと言っていると聞いたの?」
「いえ、チェリーナ様からの進言と聞いておりますが、嫁ぎ先の執務を放棄する事を前もって約束させるのは、奥様がしたくないと仰ってるとしか思えませんので私の方から説得をさせて頂こうと思っておりました」
「そうなのね」
「はい、奥様もご存知であられると思いますが特に今は公爵本人が不在なので、執務はほぼ前公爵様が担っておられます。
ただ邸の中には現状を知らぬ者ばかりです。
マーク様がされているのは旦那様の代わりに魔術師団のお仕事をされているだけです。
こちらに回されている仕事は私の方で捌かせて頂いてますが、これで奥様もとなると流石に⋯⋯」
ドーランの言う通りだわ。
私はテモシーに言われて仕事しないですんでよかったわ~って脳天気に思ったけれど、傍から見れば夫婦揃って公爵家の執務を放棄しているも同然だもの。
知っている者はマーク様に公爵家の仕事をさせるわけにはいかない事を知っているけれど、知らない者はサンディル様が執務を投げやり魔術師団の仕事ばかりしてると思うわよね。
アレッ?でも本当の事だわ。
契約婚でも周りがそれを知らなければ私は噂通りの愚鈍な女になるわ。
流石に愚鈍な女を公爵家は求めてないでしょうしね。
私も嫌だし、さてそれでは汚名返上しますか!
「ドーラン貴方の言う事もっともだわ。
では支度をし直すので少し待ってて」
「畏まりました」
ドーランが部屋を出てから奇しくも昨日の朝マリーが選んだ服に着替える。
なんか納得いかないなぁ。
まぁ自分の服ですし、服に罪はない。
「お待たせ、さぁ案内して」
ドーランに連れられて公爵夫人としての第一歩を踏み出しました。
丸一日濃い時間を過ごして私の頭はパンク寸前です。
「奥様こちらで少しお休みになっては?
到着しましたらお起こししますので」
馬車に乗り込むと椅子の端にクッションを重ねてくれていました。
そうですね、かなり疲れたので休みながら帰る事にします。
ハンカチを氷魔法で冷やし目に当ててそのまま眠りに就きました。
ローリーに再び起こされた時、私は何故か自室のベッドにいて驚いていると、マーク様が運んでくれたみたいです。
食事をどうするか聞かれたので着替える事にしました。
食堂に行くと既にマーク様は始めていて私が中に入ると慌てておられました。
「すまない、まだ休んでいると思ってさきに始めていたよ」
「旦那様、私こそ遅れて申し訳ありません。
ベッドに運んでいただきありがとうございます」
「今日は父の所に行っていたんだ疲れただろう。
もっとゆっくりしていても良かったのに」
「大丈夫ですわ。しっかりと休ませてもらいましたもの」
マーク様の故郷が我が国を狙ってる事を聞いてしまったので少し身構えてしまったけれど、彼は元々メイナードの家系だったわと思い直しました。
食事を堪能してサロンに二人で移動して本日の擦り合わせです。
サロンに防音をかけました。
「君の魔法は凄いね。自由自在じゃないか」
「マーク様、私一度魔術師団の団長様にお会いしたいのですが、お取次頂けますか?」
「団長に?」
「はい、実は私魔法は自己流なんですの」
「君はチェリーナ様の娘だよね」
「そうなのですが母から教わった事はないのです。うちには魔法書は極々僅かしか置いていなくて、それも全て母により鍵がかけられていました。
解除した2冊の本は治癒の本だったので、治癒だけは本で学びました。それ以外は自然と使っていたのです。
だから根本的な事など知らずここまで来たのでマーク様に教えて欲しかったのですが先日お断りされましたので」
「それで僕に教えてほしいと言ったんだね。
それはやはり団長の方が対処できると思うけど、僕が思うにチェリーナ様が一番だけど今はお体に負担がかかると良くないからね。わかったよ、明日にでも団長に聞いてみる。忙しい方だけどおそらく直ぐに来てくれると思うよ」
「それはなぜですか?」
「今魔術師団での最優先事項がこのメイナード家だからだよ。なんせサンディルは副団長だからね」
「それも不在中に昇進されたのですか?」
「そうだよ、ただこれは前もって決まってたんだ。
彼が爵位を継ぐときに昇進するってことはね」
「ふ~んそうですか~」
「なにその気の抜けた感じ」
「私の知らないところで、知らない事が沢山起きてますよね。でもそれらは私にとってはそんなに重要でもないことで、でも私は頑張らないといけないみたいなのですけど、いまいちやる気が起きないというか⋯⋯。
目標が欲しいなぁと思いまして。今のままだとお願いされた事をただするだけで、私には目的がまるで無いのです」
「ウィルハイム様は無理難題を言ってきたの?」
「いいえ、全然無理じゃない事を仰っていました。
私はこのままでいいそうなので。
最低限のルールが一つだけ、あとは私の好きにしていいそうです」
「聞いても?」
「ええ、いいと思います。マーク様が今されてる事と関係ありますもの。
スノーを逃したり辞めさせたりしない事ですわ」
「結局彼女なんだね」
「そうなんですけど、マーク様は彼女と何らかの関係とかあったりするのですか?」
「質問の意味がわからないのだけど」
「彼女は私に対して何か含みがあるんです。でも接点なんて今まであるわけもないし、まぁ唯一の接点がマーク様なので」
「う~ん、勘で言わせてもらうなら。彼女は僕に好意がある。ただそれは僕になのかサンディルになのかがわからないんだ」
「サンディル様には会って居られないのでしょう?時期が7年前なのでちょうど入れ替わった後では?」
「そうなんだけど、上手く言えないんだけどメイナード公爵家を視野に入れて好意を持ってるって言えばいいのかな」
「あぁなるほど、納得致しました」
スノーは夢見ているのねメイナード公爵夫人を。
それを前提でマーク様(サンディル様)に好意を持っていて私が邪魔だとね。
あの謎のマウントは意味が解らなかったけど私が大した魔法が使えないと思ったからって事で合ってるわよね。
あ~ぁ王妃様の言う通りにするのがやっぱり一番って言うことなのね。
──────────────
次の日はアンヌとローリーが朝の支度をしてくれて早速庭造りに取り組むべく張り切っていたのにドーランに水を刺されました。
「奥様おはようございます。本日は執務の説明をさせて頂きたいのですが、お時間頂けませんでしょうか?」
「ドーラン、貴方は聞いてないのかしら?お義父様から」
「奥様は執務をしたくないと思われていてもやはり公爵夫人であ「ちょっと待って」るか」
ドーランの言葉を遮って彼を睨みつける。
「私が仕事をしたくないと言っていると聞いたの?」
「いえ、チェリーナ様からの進言と聞いておりますが、嫁ぎ先の執務を放棄する事を前もって約束させるのは、奥様がしたくないと仰ってるとしか思えませんので私の方から説得をさせて頂こうと思っておりました」
「そうなのね」
「はい、奥様もご存知であられると思いますが特に今は公爵本人が不在なので、執務はほぼ前公爵様が担っておられます。
ただ邸の中には現状を知らぬ者ばかりです。
マーク様がされているのは旦那様の代わりに魔術師団のお仕事をされているだけです。
こちらに回されている仕事は私の方で捌かせて頂いてますが、これで奥様もとなると流石に⋯⋯」
ドーランの言う通りだわ。
私はテモシーに言われて仕事しないですんでよかったわ~って脳天気に思ったけれど、傍から見れば夫婦揃って公爵家の執務を放棄しているも同然だもの。
知っている者はマーク様に公爵家の仕事をさせるわけにはいかない事を知っているけれど、知らない者はサンディル様が執務を投げやり魔術師団の仕事ばかりしてると思うわよね。
アレッ?でも本当の事だわ。
契約婚でも周りがそれを知らなければ私は噂通りの愚鈍な女になるわ。
流石に愚鈍な女を公爵家は求めてないでしょうしね。
私も嫌だし、さてそれでは汚名返上しますか!
「ドーラン貴方の言う事もっともだわ。
では支度をし直すので少し待ってて」
「畏まりました」
ドーランが部屋を出てから奇しくも昨日の朝マリーが選んだ服に着替える。
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