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第二章 サンディル過去戻り編
第二章 ②
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19年前に着いたのだろうか?
過去戻りをするのは勿論初めてだから、魔法を発動した時に体がフワッと浮き暗闇を彷徨う感覚の後、自然と目が開いて今だ。
邸は身に覚えのある建物。
アディルを物陰から見るのに只管通ったスパナート伯爵邸なのだが19年前なのかがわからない。
邸の中に入ってみようと思った途端、何処かの部屋に居た。
思っただけで意識を飛ばせるなんて凄いな。
そこには若いスパナート伯爵と向かい合って座ってる男女は⋯⋯女性の方には見覚えがある。
アディルの祖母だ、という事は男性は祖父か。
言い合いをしているようだな。
「だから婚約も結婚もしないと言ったじゃないですか」
「スパナート伯爵家はどうするつもりだ」
「分家から養子を貰えばいいでしょう、何に拘ってるんですか」
「拘るに決まってるだろう。何故他所から養子を貰わなければならないんだ!お前が作ればいいだけだ」
「じゃあ何処かで作ってきますよ。それでいいでしょう」
「なんて事!そんな女性の尊厳を無視するなんてアーチー私は貴方をそんな風に育ててしまったの」
「母上泣かないでください。
女性の尊厳って言いますけどね、あいつらは影では何やってるかわからない、とんでもない生き物ですよ。
常に人を貶める悪口、影では弱いものを虐める、男に猫なで声で媚を売る娼婦のように。
それを全て澄ました顔でやって退けるんですよ。
それこそうちの家系に入れたくない」
「そんな女性ばかりではないわよ。
中にはいるかもしれないけれど、実際いるかもしれないけど、でも、でも⋯⋯。では貴方は母もそんな女だと思っていたの?」
「そんなわけないでしょう。母上が特殊なんですよ。
周りが心配になるほどお人好しで、人の悪を疑わない、こちらが心配にしかなりませんね」
「母上のいいところじゃないか」
「父上がそうやって甘いから母上は悪意を持って近づかれてもわからないんですよ!
とにかく結婚の話はしないでください」
「でもね、サイフェル侯爵家の長女はとても慎ましやかな女性なのよ。
こう言ってはなんだけど侯爵が後妻を貰ってから、かなり虐げられてると聞いたわ。
先妻のお子なのに庶子とか言われてるそうよ。可哀想でしょう、だから貴方が救ってあげれば、ねっ。人助けだと思ってお願いよ」
「また可哀想が始まったんですか。父上止めてくださいよ、可哀想で結婚を押し付けられたらたまったものじゃない」
「フン、そんな事言っても結婚しないと常々言ってるお前が花嫁を連れてくるわけでもないんだからいいじゃないか、とにかく話は進めるからな」
どうにもお互いに思ってる事だけを言い合いしているが俺は少しスパナート伯爵の気持ちがわかるな。
まぁそれはともかくとしてキーワードが出たな。
サイフェル侯爵家の長女の所へ行こう。
──────────────
見たこともない所に来たがここは⋯⋯小屋か?
男女二人が抱き合ってるんだが、目のやり場に困る。
⋯⋯良かった、口づけだけだった。
13歳のときに閨ごとの授業を受けたが実際に目の当たりにするのかとドキドキしてしまった、ふぅびっくりさせるなよ。
と、思っていたら俺は驚愕した。
男の方が俺のお祖父様にそっくりだ、本人か!と思ったが目元にホクロがない。
消してないかよく観察したがそうではないようだ。
こちらも婚約の話をしている。
男に女が自分の婚約が決まりそうだと言ってるな。
男が不甲斐ない自分を責めてるみたいだ。
「もう少しだ、半年なんとかやり過ごしてくれ。そしたら迎えに来るから」って言ってる。
こちらは駆け落ちでもするつもりだったのか?
その後名残惜しそうに別れた2人は小屋を出たので迷ったが男の方についていってみる。
一軒の家に入っていったので続く、これは平民の生活なのかな?
入ってすぐがキッチンでこんな作り見たことないな。
男は中にいた母親らしき女性にジョイと呼ばれてる。
男が奥の部屋に行ったので付いていこうとした時、壁に飾っている絵が目に入った。
髪の色が違うが顔は俺のお祖父様にそっくりな絵が置いてあった。
さっきの男とも髪の色以外そっくりだ。
これは⋯⋯どう考えてもお祖父様の兄弟の家ではないのか?
ではジョイと呼ばれた男は父の従兄弟になるのか?
ではメリルが王家の血を?
チェリーナ様はキャンベラの方ではないかと言っていたが⋯⋯。
いや、まだ決めつけるのは早計だ。
じっくり観察しなければ、俺が観察した物を戻った時に皆が見るのだから。
男は部屋に着替えに行っていたみたいだ。
戻ってキッチンの前にあるテーブルに着く。
「なぁ母さん、あの人はまだ生きてるの?」
「まだ王家から発表がないから死んではいないんじゃない」
「早く死んでくれないかな、病気なんだろう」
「しっ!滅多な事言わないで、お願いだから。貴方まで生きてるだけで罪に問われたら、私は生きていけないわ」
「母さん、でも時間があまりないんだ。ティーナが侯爵から婚約を言い渡されてる。
スパナート伯爵家らしいんだ、侯爵家は金がなくなってきたからティーナを売るつもりなんだ」
「まぁお嬢様が?お労しい。奥様が早世したばっかりにあんな目に合って挙句に売られるように婚約しなければならないのね」
「だから早く救わないと行けないんだよ。
あの女が死んだら睨みを利かす者が居なくなって、父さんが受け取るはずの王家の遺産の分配もらえるんだろう。
そしたらこの国を3人で出るつもりなのに。
半年前に伯父さんが知らせてくれた時は保って一年って言ってたけど、一刻も早く欲しいんだ」
会話からして王族の家系に間違いない。
何かの罪で廃嫡されて平民に落とされたのか?
いや、しかしその様な記載は王家の記録にはなかったはずだ。
王族は四代前までは調べたのだからな。
⋯⋯⋯隠されていた真実なのか。
2人は食事を始めたので、先程のサイフェル侯爵家の方に飛んだ。
さっきの女が⋯嘘だろ、ここの長女だったよな。
床拭きをしているんだが、この女がティーナか。
凄いな、絵に描いたような虐げ方だ。
何度も廊下を汚されて、その度に拭き直しだ。
食事は普通に与えてる。
侯爵が高く売れたと下品に笑ってるが、こんな奴、我が国にいたかな?
覚えがないぞ、帰ったら調べてみよう。
ティーナの部屋は、昼間のあの小屋の近くだった。
この女を虐げる為だけに建てたのか?
自分の娘だろうにあの侯爵は酷すぎる、これはアディルの祖母じゃなくても救いたくなるぞ。
何故か別の若い女がその部屋に入って行ったから付いていったら、ティーナに罵詈雑言浴びせてる。
でもティーナも言い返してるな、虐げられてるわりに気が強いのか?
どうもあのジョイって男の取り合いをしてるみたいだな。
まぁ王家の出自なら美男子だもんな。
ジョイは我が国有数の商会、ダンテ商会で働いてるのか。
ダンテ商会も見た方が良さそうだ。
不思議な事に意識しか飛ばしてないが疲れると眠くなるみたいだ。
浮遊してるだけなのに疲れるってあるのか?
目かな。
俺は、過去戻りの仕組みを手探りつつ、観察を毎日続けて行った。
過去戻りをするのは勿論初めてだから、魔法を発動した時に体がフワッと浮き暗闇を彷徨う感覚の後、自然と目が開いて今だ。
邸は身に覚えのある建物。
アディルを物陰から見るのに只管通ったスパナート伯爵邸なのだが19年前なのかがわからない。
邸の中に入ってみようと思った途端、何処かの部屋に居た。
思っただけで意識を飛ばせるなんて凄いな。
そこには若いスパナート伯爵と向かい合って座ってる男女は⋯⋯女性の方には見覚えがある。
アディルの祖母だ、という事は男性は祖父か。
言い合いをしているようだな。
「だから婚約も結婚もしないと言ったじゃないですか」
「スパナート伯爵家はどうするつもりだ」
「分家から養子を貰えばいいでしょう、何に拘ってるんですか」
「拘るに決まってるだろう。何故他所から養子を貰わなければならないんだ!お前が作ればいいだけだ」
「じゃあ何処かで作ってきますよ。それでいいでしょう」
「なんて事!そんな女性の尊厳を無視するなんてアーチー私は貴方をそんな風に育ててしまったの」
「母上泣かないでください。
女性の尊厳って言いますけどね、あいつらは影では何やってるかわからない、とんでもない生き物ですよ。
常に人を貶める悪口、影では弱いものを虐める、男に猫なで声で媚を売る娼婦のように。
それを全て澄ました顔でやって退けるんですよ。
それこそうちの家系に入れたくない」
「そんな女性ばかりではないわよ。
中にはいるかもしれないけれど、実際いるかもしれないけど、でも、でも⋯⋯。では貴方は母もそんな女だと思っていたの?」
「そんなわけないでしょう。母上が特殊なんですよ。
周りが心配になるほどお人好しで、人の悪を疑わない、こちらが心配にしかなりませんね」
「母上のいいところじゃないか」
「父上がそうやって甘いから母上は悪意を持って近づかれてもわからないんですよ!
とにかく結婚の話はしないでください」
「でもね、サイフェル侯爵家の長女はとても慎ましやかな女性なのよ。
こう言ってはなんだけど侯爵が後妻を貰ってから、かなり虐げられてると聞いたわ。
先妻のお子なのに庶子とか言われてるそうよ。可哀想でしょう、だから貴方が救ってあげれば、ねっ。人助けだと思ってお願いよ」
「また可哀想が始まったんですか。父上止めてくださいよ、可哀想で結婚を押し付けられたらたまったものじゃない」
「フン、そんな事言っても結婚しないと常々言ってるお前が花嫁を連れてくるわけでもないんだからいいじゃないか、とにかく話は進めるからな」
どうにもお互いに思ってる事だけを言い合いしているが俺は少しスパナート伯爵の気持ちがわかるな。
まぁそれはともかくとしてキーワードが出たな。
サイフェル侯爵家の長女の所へ行こう。
──────────────
見たこともない所に来たがここは⋯⋯小屋か?
男女二人が抱き合ってるんだが、目のやり場に困る。
⋯⋯良かった、口づけだけだった。
13歳のときに閨ごとの授業を受けたが実際に目の当たりにするのかとドキドキしてしまった、ふぅびっくりさせるなよ。
と、思っていたら俺は驚愕した。
男の方が俺のお祖父様にそっくりだ、本人か!と思ったが目元にホクロがない。
消してないかよく観察したがそうではないようだ。
こちらも婚約の話をしている。
男に女が自分の婚約が決まりそうだと言ってるな。
男が不甲斐ない自分を責めてるみたいだ。
「もう少しだ、半年なんとかやり過ごしてくれ。そしたら迎えに来るから」って言ってる。
こちらは駆け落ちでもするつもりだったのか?
その後名残惜しそうに別れた2人は小屋を出たので迷ったが男の方についていってみる。
一軒の家に入っていったので続く、これは平民の生活なのかな?
入ってすぐがキッチンでこんな作り見たことないな。
男は中にいた母親らしき女性にジョイと呼ばれてる。
男が奥の部屋に行ったので付いていこうとした時、壁に飾っている絵が目に入った。
髪の色が違うが顔は俺のお祖父様にそっくりな絵が置いてあった。
さっきの男とも髪の色以外そっくりだ。
これは⋯⋯どう考えてもお祖父様の兄弟の家ではないのか?
ではジョイと呼ばれた男は父の従兄弟になるのか?
ではメリルが王家の血を?
チェリーナ様はキャンベラの方ではないかと言っていたが⋯⋯。
いや、まだ決めつけるのは早計だ。
じっくり観察しなければ、俺が観察した物を戻った時に皆が見るのだから。
男は部屋に着替えに行っていたみたいだ。
戻ってキッチンの前にあるテーブルに着く。
「なぁ母さん、あの人はまだ生きてるの?」
「まだ王家から発表がないから死んではいないんじゃない」
「早く死んでくれないかな、病気なんだろう」
「しっ!滅多な事言わないで、お願いだから。貴方まで生きてるだけで罪に問われたら、私は生きていけないわ」
「母さん、でも時間があまりないんだ。ティーナが侯爵から婚約を言い渡されてる。
スパナート伯爵家らしいんだ、侯爵家は金がなくなってきたからティーナを売るつもりなんだ」
「まぁお嬢様が?お労しい。奥様が早世したばっかりにあんな目に合って挙句に売られるように婚約しなければならないのね」
「だから早く救わないと行けないんだよ。
あの女が死んだら睨みを利かす者が居なくなって、父さんが受け取るはずの王家の遺産の分配もらえるんだろう。
そしたらこの国を3人で出るつもりなのに。
半年前に伯父さんが知らせてくれた時は保って一年って言ってたけど、一刻も早く欲しいんだ」
会話からして王族の家系に間違いない。
何かの罪で廃嫡されて平民に落とされたのか?
いや、しかしその様な記載は王家の記録にはなかったはずだ。
王族は四代前までは調べたのだからな。
⋯⋯⋯隠されていた真実なのか。
2人は食事を始めたので、先程のサイフェル侯爵家の方に飛んだ。
さっきの女が⋯嘘だろ、ここの長女だったよな。
床拭きをしているんだが、この女がティーナか。
凄いな、絵に描いたような虐げ方だ。
何度も廊下を汚されて、その度に拭き直しだ。
食事は普通に与えてる。
侯爵が高く売れたと下品に笑ってるが、こんな奴、我が国にいたかな?
覚えがないぞ、帰ったら調べてみよう。
ティーナの部屋は、昼間のあの小屋の近くだった。
この女を虐げる為だけに建てたのか?
自分の娘だろうにあの侯爵は酷すぎる、これはアディルの祖母じゃなくても救いたくなるぞ。
何故か別の若い女がその部屋に入って行ったから付いていったら、ティーナに罵詈雑言浴びせてる。
でもティーナも言い返してるな、虐げられてるわりに気が強いのか?
どうもあのジョイって男の取り合いをしてるみたいだな。
まぁ王家の出自なら美男子だもんな。
ジョイは我が国有数の商会、ダンテ商会で働いてるのか。
ダンテ商会も見た方が良さそうだ。
不思議な事に意識しか飛ばしてないが疲れると眠くなるみたいだ。
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