婚約者様は妄想と違っておりました

maruko

文字の大きさ
9 / 25

9 濡れ衣

 困惑して返事を返せない私の横にリヒト様が立たれました。

「ロード、彼女は私の婚約者だ」

 背中細マッチョ様はロードというお名の様です。

「リヒトの婚約者がスピカを虐めたのか?」

「どうやらその様だな」

 私は思わずリヒト様を見上げました。
『どうやらその様だな』彼の言葉が私の脳内を刺激します。
 リヒト様はどういうおつもりでしょうか?
 私がこのスピカ嬢という方を虐めてると本気でお思いに?しかも真偽を私に確かめることなく?
 これはこのままにしていい話ではありません、だって私は突然声をかけられて、その後意味不明な言葉を投げられただけです。その後無視を⋯えっと無視はしましたわね、無視は虐めになりますわね、いえですが、私そもそもこの方に名乗られてもいないですし名乗ってもいないのです。あれって無視って事になるのかしら?あっやっぱりなるの?じゃあやっぱり虐め?駄目だわちょっと混乱してきましたわ。もうここで倒れてしまいたい、倒れていいかしら?
 それでもこのままではやっぱり駄目だと思い、取り敢えずあった事を話そうと決意して、口を開こうとした私よりも先に、リヒト様がスピカ嬢に謝罪を始めてしまいました。

「スピカ嬢、申し訳ない。いつも君には彼女のことを相談に乗ってもらっていたのに、肝心の彼女からこんな仕打ちを受けさせるなんて、どうお詫びをすれば良いか」

 何これ?何これ?何これ?何これ?

 私の頭がどうにかなってしまったのでしょうか?
 全くわけのわからない、えっこれって何ですか?何かが始まっておりますの?私が話す前に勝手に謝罪?
 私は怒り心頭!何処から反論しようかと頭の中で算段しておりましたら、先程の陛下の執務室の扉が開きました。
 そうでした!私達は不敬にも陛下の執務室の前で揉め事を起こしているのです。
 扉が開いてその事に気づいた私は体が震えてきました。

「君達、中に声が筒抜けなんだが、静かにしたまえ。陛下がいらっしゃるのだぞ。邪魔だ!」

 先程部屋の壁際に控えていた方が低い声で叱責されました。私は申し訳なくて頭を下げます。
 他の方々も下げております。どう考えても不敬です。反省です!

 扉を閉めようとしたその時に奥からのはっきり聞こえない声に反応してその方は続けました。

「災難だったねアルーステン辺境伯令嬢。虚言癖のあるメロウ子爵令嬢は明日からもう此処には居ないから、また顔を見せに来てほしいと陛下からのご伝言だ。それとそこの文官ども!仮にも王城で働くなら言葉の真偽は見極めよ」

 そう言って扉を閉められました。
 立ちすくむ面々の中、控室から今来たのでしょう、レマールが私の側にやって来て「リーシャ様帰りましょう」と背中を押してくれました。

 私はその場で呆然とする方々に会釈だけして踵を返したのです⋯が!

 王城の馬車停めでリヒト様に捕まってしまいました。






あなたにおすすめの小説

結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です

柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。 そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。 真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。 けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。 「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」 彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。 アンリは実は、亡き国王の婚外子。 皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。

無愛想な婚約者の心の声を暴いてしまったら

雪嶺さとり
恋愛
「違うんだルーシャ!俺はルーシャのことを世界で一番愛しているんだ……っ!?」 「え?」 伯爵令嬢ルーシャの婚約者、ウィラードはいつも無愛想で無口だ。 しかしそんな彼に最近親しい令嬢がいるという。 その令嬢とウィラードは仲睦まじい様子で、ルーシャはウィラードが自分との婚約を解消したがっているのではないかと気がつく。 機会が無いので言い出せず、彼は困っているのだろう。 そこでルーシャは、友人の錬金術師ノーランに「本音を引き出せる薬」を用意してもらった。 しかし、それを使ったところ、なんだかウィラードの様子がおかしくて───────。 *他サイトでも公開しております。

【完結】都合のいい女ではありませんので

風見ゆうみ
恋愛
アルミラ・レイドック侯爵令嬢には伯爵家の次男のオズック・エルモードという婚約者がいた。 わたしと彼は、現在、遠距離恋愛中だった。 サプライズでオズック様に会いに出かけたわたしは彼がわたしの親友と寄り添っているところを見てしまう。 「アルミラはオレにとっては都合のいい女でしかない」 レイドック侯爵家にはわたししか子供がいない。 オズック様は侯爵という爵位が目的で婿養子になり、彼がレイドック侯爵になれば、わたしを捨てるつもりなのだという。 親友と恋人の会話を聞いたわたしは彼らに制裁を加えることにした。 ※独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。 ※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。

【完結】私の事は気にせずに、そのままイチャイチャお続け下さいませ ~私も婚約解消を目指して頑張りますから~

山葵
恋愛
ガルス侯爵家の令嬢である わたくしミモルザには、婚約者がいる。 この国の宰相である父を持つ、リブルート侯爵家嫡男レイライン様。 父同様、優秀…と期待されたが、顔は良いが頭はイマイチだった。 顔が良いから、女性にモテる。 わたくしはと言えば、頭は、まぁ優秀な方になるけれど、顔は中の上位!? 自分に釣り合わないと思っているレイラインは、ミモルザの見ているのを知っていて今日も美しい顔の令嬢とイチャイチャする。 *沢山の方に読んで頂き、ありがとうございます。m(_ _)m

三度裏切られた私が、四度目で「離婚」を選ぶまで

狛犬
恋愛
三度、夫に裏切られた。 一度目は信じた。 二度目は耐えた。 三度目は――すべてを失った。 そして私は、屋上から身を投げた。 ……はずだった。 目を覚ますと、そこは過去。 すべてが壊れる前の、まだ何も起きていない時間。 ――四度目の人生。 これまでの三度、私は同じ選択を繰り返し、 同じように裏切られ、すべてを失ってきた。 だから今度は、もう決めている。 「もう、陸翔はいらない」 愛していた。 けれど、もう疲れた。 今度こそ―― 自分を守るために、家族を守るために、 私は、自分から手を放す。 これは、三度裏切られた女が、 四度目の人生で「選び直す」物語。

再会の約束の場所に彼は現れなかった

四折 柊
恋愛
 ロジェはジゼルに言った。「ジゼル。三年後にここに来てほしい。僕は君に正式に婚約を申し込みたい」と。平民のロジェは男爵令嬢であるジゼルにプロポーズするために博士号を得たいと考えていた。彼は能力を見込まれ、隣国の研究室に招待されたのだ。  そして三年後、ジゼルは約束の場所でロジェを待った。ところが彼は現れない。代わりにそこに来たのは見知らぬ美しい女性だった。彼女はジゼルに残酷な言葉を放つ。「彼は私と結婚することになりました」とーーーー。(全5話)

「仲睦まじい夫婦」であるはずのわたしの夫は、わたしの葬儀で本性をあらわした

ぽんた
恋愛
サヤ・ラドフォード侯爵夫人が死んだ。その葬儀で、マッケイン王国でも「仲睦まじい夫婦」であるはずの彼女の夫が、妻を冒涜した。その聞くに堪えない本音。そんな夫の横には、夫が従妹だというレディが寄り添っている。サヤ・ラドフォードの棺の前で、夫とその従妹はサヤを断罪する。サヤは、ほんとうに彼らがいうような悪女だったのか?  ※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。

彼女の離縁とその波紋

豆狸
恋愛
夫にとって魅力的なのは、今も昔も恋人のあの女性なのでしょう。こうして私が悩んでいる間もふたりは楽しく笑い合っているのかと思うと、胸にぽっかりと穴が開いたような気持ちになりました。 ※子どもに関するセンシティブな内容があります。