10 / 25
10 勘違い2 (リヒト様)
「待ってくれ!」
リヒト様は走って来られたようです。私の右腕を後ろから握って、握ってない方の手はご自分の膝です。お辞儀をするポーズで肩で息をされていますので、私の状態に目が入っておりませんの。彼の目には今地面のみ。
腕が捻られておりますリヒト様、とっても痛いです!
涙目になりながらも耐えながら、どうにか振り返りこの状況を打破したいのですが、今振り返ると尚更腕が捻る事に気づきました。タップしたくても彼に手が届きません。そしてリヒト様、貴方ひょろリの癖に手の力が強すぎる~!!
私の前を歩いていて対応に遅れたレマールが慌ててリヒト様を引き離そうとしましたが、彼は体は後ろに下がるものの腕を離してくれません。
「痛~~~い!!!」
私、到頭我慢できなくて絶叫に近い声を上げてしまいました。淑女のしの字もありません、面目次第もございません。
やっと我に返ったのでしょうか?今まで下を向いていて私の惨状に気づかなかったリヒト様は、やっと状況を把握して腕を離したのです。
私は痛む腕を擦りながら涙目でリヒト様を睨みます。これくらいは許されるでしょう?だって痛いんですもの。
「も、申し訳ない!そんなに強く握ったつもりは⋯」
リヒト様は謝罪の言葉を延べながら不思議そうな顔をしています。そして次の言葉で私は唖然としました。
「君は騎士だから直ぐに解かれると思って、強く握り過ぎたのかもしれない」
は?今リヒト様騎士って仰いましたかしら?
私はレマールを見ました、レマールも不思議な顔をして私とリヒト様を交互に見ています。
思わず私はレマールに、人差し指で自分を指し示し「私の事?」というように目で訴えました。
するとレマールは首を縦に振ったあとその首を傾げます。
ですわよね、私は騎士ではございませんもの。
リヒト様はどうしてか此方を見もせずに持論を語ります。
「いや、いくら騎士といっても女性を握る力ではなかったな、それは本当に失礼した。だが君が逃げるから、君は前の時も逃げ回っていたし。それに以前もスピカ嬢を虐めていた前科があったから、つい彼女の言葉を信じてしまった」
おやおや、もっと訳のわからないことを言っておりますリヒト様。
おそらくですが何方かと私を勘違いしているのは、分かりました。そしてその何方かが誰なのかも。
「ねぇレマール、脳筋って人の話を聞かないとかって意味もあるかしら」
「大きく捉えればそんな意味にもなり得ます」
マリアンが脳筋って言った意味が何となく分かりました。いえやっぱりどういう状況でそう思ったのかを話してほしかった。けれど彼女は本当にほんと~~~に面倒くさがりなので、きっと説明が面倒くさかったのだと思います。
そのうち顔合わせをすれば分かるとでも思ったのでしょう、こんな結婚式の直前まで顔合わせが延びるなんて誰も想像出来ませんものね。
さて、間違いを正したいのですがまだまだ持論を展開されてるリヒト様は聞いてくださいますかしら?
「リヒト様、リヒト様、リヒト様!リヒト様!!」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯ん?何だ?」
私の段々と大きくなる声で、繰り返した何度目かの問いかけにやっと返事を返してくださいました。この人、人の話を聞かないのではなく聞こえないのかしら?お耳の掃除が必要かもしれませんわねぇ。
「おそらくですが、いえ絶対にリヒト様は人違いをされております」
「人違い?何の話だ」
「先ず!」
私は人差し指で1を造り彼の目の前に振りかざしました。
「私は騎士ではありません!!」
どうだ参ったかと言うふうに宣言いたしましたが、リヒト様に鼻で笑われました。
「はっ!何を言うかと思えば、騎士でなければ優勝するはずがない」
「だから、その人物は私ではありません。従姉です」
「は?だがアナウンスでアルーステンと聞こえたぞ」
「はあ~~~~~」
私は大きく溜息を吐きました、もう、失礼とかどうでも良くなっちゃったのです。
「その家名の前は聞かなかったのですか?」
「いや聞こえなくてもアルーステンの女性は君しか居ないだろう?漸く会えると思って会場に走ったんだ」
あぁこれが脳筋の正体でしたか。
マリアン!
本当にもっと詳しく教えてほしかった。
恨みますわよ!
リヒト様は走って来られたようです。私の右腕を後ろから握って、握ってない方の手はご自分の膝です。お辞儀をするポーズで肩で息をされていますので、私の状態に目が入っておりませんの。彼の目には今地面のみ。
腕が捻られておりますリヒト様、とっても痛いです!
涙目になりながらも耐えながら、どうにか振り返りこの状況を打破したいのですが、今振り返ると尚更腕が捻る事に気づきました。タップしたくても彼に手が届きません。そしてリヒト様、貴方ひょろリの癖に手の力が強すぎる~!!
私の前を歩いていて対応に遅れたレマールが慌ててリヒト様を引き離そうとしましたが、彼は体は後ろに下がるものの腕を離してくれません。
「痛~~~い!!!」
私、到頭我慢できなくて絶叫に近い声を上げてしまいました。淑女のしの字もありません、面目次第もございません。
やっと我に返ったのでしょうか?今まで下を向いていて私の惨状に気づかなかったリヒト様は、やっと状況を把握して腕を離したのです。
私は痛む腕を擦りながら涙目でリヒト様を睨みます。これくらいは許されるでしょう?だって痛いんですもの。
「も、申し訳ない!そんなに強く握ったつもりは⋯」
リヒト様は謝罪の言葉を延べながら不思議そうな顔をしています。そして次の言葉で私は唖然としました。
「君は騎士だから直ぐに解かれると思って、強く握り過ぎたのかもしれない」
は?今リヒト様騎士って仰いましたかしら?
私はレマールを見ました、レマールも不思議な顔をして私とリヒト様を交互に見ています。
思わず私はレマールに、人差し指で自分を指し示し「私の事?」というように目で訴えました。
するとレマールは首を縦に振ったあとその首を傾げます。
ですわよね、私は騎士ではございませんもの。
リヒト様はどうしてか此方を見もせずに持論を語ります。
「いや、いくら騎士といっても女性を握る力ではなかったな、それは本当に失礼した。だが君が逃げるから、君は前の時も逃げ回っていたし。それに以前もスピカ嬢を虐めていた前科があったから、つい彼女の言葉を信じてしまった」
おやおや、もっと訳のわからないことを言っておりますリヒト様。
おそらくですが何方かと私を勘違いしているのは、分かりました。そしてその何方かが誰なのかも。
「ねぇレマール、脳筋って人の話を聞かないとかって意味もあるかしら」
「大きく捉えればそんな意味にもなり得ます」
マリアンが脳筋って言った意味が何となく分かりました。いえやっぱりどういう状況でそう思ったのかを話してほしかった。けれど彼女は本当にほんと~~~に面倒くさがりなので、きっと説明が面倒くさかったのだと思います。
そのうち顔合わせをすれば分かるとでも思ったのでしょう、こんな結婚式の直前まで顔合わせが延びるなんて誰も想像出来ませんものね。
さて、間違いを正したいのですがまだまだ持論を展開されてるリヒト様は聞いてくださいますかしら?
「リヒト様、リヒト様、リヒト様!リヒト様!!」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯ん?何だ?」
私の段々と大きくなる声で、繰り返した何度目かの問いかけにやっと返事を返してくださいました。この人、人の話を聞かないのではなく聞こえないのかしら?お耳の掃除が必要かもしれませんわねぇ。
「おそらくですが、いえ絶対にリヒト様は人違いをされております」
「人違い?何の話だ」
「先ず!」
私は人差し指で1を造り彼の目の前に振りかざしました。
「私は騎士ではありません!!」
どうだ参ったかと言うふうに宣言いたしましたが、リヒト様に鼻で笑われました。
「はっ!何を言うかと思えば、騎士でなければ優勝するはずがない」
「だから、その人物は私ではありません。従姉です」
「は?だがアナウンスでアルーステンと聞こえたぞ」
「はあ~~~~~」
私は大きく溜息を吐きました、もう、失礼とかどうでも良くなっちゃったのです。
「その家名の前は聞かなかったのですか?」
「いや聞こえなくてもアルーステンの女性は君しか居ないだろう?漸く会えると思って会場に走ったんだ」
あぁこれが脳筋の正体でしたか。
マリアン!
本当にもっと詳しく教えてほしかった。
恨みますわよ!
あなたにおすすめの小説
結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です
柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。
そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。
真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。
けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。
「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」
彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。
アンリは実は、亡き国王の婚外子。
皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。
無愛想な婚約者の心の声を暴いてしまったら
雪嶺さとり
恋愛
「違うんだルーシャ!俺はルーシャのことを世界で一番愛しているんだ……っ!?」
「え?」
伯爵令嬢ルーシャの婚約者、ウィラードはいつも無愛想で無口だ。
しかしそんな彼に最近親しい令嬢がいるという。
その令嬢とウィラードは仲睦まじい様子で、ルーシャはウィラードが自分との婚約を解消したがっているのではないかと気がつく。
機会が無いので言い出せず、彼は困っているのだろう。
そこでルーシャは、友人の錬金術師ノーランに「本音を引き出せる薬」を用意してもらった。
しかし、それを使ったところ、なんだかウィラードの様子がおかしくて───────。
*他サイトでも公開しております。
【完結】私の事は気にせずに、そのままイチャイチャお続け下さいませ ~私も婚約解消を目指して頑張りますから~
山葵
恋愛
ガルス侯爵家の令嬢である わたくしミモルザには、婚約者がいる。
この国の宰相である父を持つ、リブルート侯爵家嫡男レイライン様。
父同様、優秀…と期待されたが、顔は良いが頭はイマイチだった。
顔が良いから、女性にモテる。
わたくしはと言えば、頭は、まぁ優秀な方になるけれど、顔は中の上位!?
自分に釣り合わないと思っているレイラインは、ミモルザの見ているのを知っていて今日も美しい顔の令嬢とイチャイチャする。
*沢山の方に読んで頂き、ありがとうございます。m(_ _)m
【完結】都合のいい女ではありませんので
風見ゆうみ
恋愛
アルミラ・レイドック侯爵令嬢には伯爵家の次男のオズック・エルモードという婚約者がいた。
わたしと彼は、現在、遠距離恋愛中だった。
サプライズでオズック様に会いに出かけたわたしは彼がわたしの親友と寄り添っているところを見てしまう。
「アルミラはオレにとっては都合のいい女でしかない」
レイドック侯爵家にはわたししか子供がいない。
オズック様は侯爵という爵位が目的で婿養子になり、彼がレイドック侯爵になれば、わたしを捨てるつもりなのだという。
親友と恋人の会話を聞いたわたしは彼らに制裁を加えることにした。
※独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。
三度裏切られた私が、四度目で「離婚」を選ぶまで
狛犬
恋愛
三度、夫に裏切られた。
一度目は信じた。
二度目は耐えた。
三度目は――すべてを失った。
そして私は、屋上から身を投げた。
……はずだった。
目を覚ますと、そこは過去。
すべてが壊れる前の、まだ何も起きていない時間。
――四度目の人生。
これまでの三度、私は同じ選択を繰り返し、
同じように裏切られ、すべてを失ってきた。
だから今度は、もう決めている。
「もう、陸翔はいらない」
愛していた。
けれど、もう疲れた。
今度こそ――
自分を守るために、家族を守るために、
私は、自分から手を放す。
これは、三度裏切られた女が、
四度目の人生で「選び直す」物語。
再会の約束の場所に彼は現れなかった
四折 柊
恋愛
ロジェはジゼルに言った。「ジゼル。三年後にここに来てほしい。僕は君に正式に婚約を申し込みたい」と。平民のロジェは男爵令嬢であるジゼルにプロポーズするために博士号を得たいと考えていた。彼は能力を見込まれ、隣国の研究室に招待されたのだ。
そして三年後、ジゼルは約束の場所でロジェを待った。ところが彼は現れない。代わりにそこに来たのは見知らぬ美しい女性だった。彼女はジゼルに残酷な言葉を放つ。「彼は私と結婚することになりました」とーーーー。(全5話)
悪女として処刑されたはずが、処刑前に戻っていたので処刑を回避するために頑張ります!
ゆずこしょう
恋愛
「フランチェスカ。お前を処刑する。精々あの世で悔いるが良い。」
特に何かした記憶は無いのにいつの間にか悪女としてのレッテルを貼られ処刑されたフランチェスカ・アマレッティ侯爵令嬢(18)
最後に見た光景は自分の婚約者であったはずのオルテンシア・パネットーネ王太子(23)と親友だったはずのカルミア・パンナコッタ(19)が寄り添っている姿だった。
そしてカルミアの口が動く。
「サヨナラ。かわいそうなフランチェスカ。」
オルテンシア王太子に見えないように笑った顔はまさしく悪女のようだった。
「生まれ変わるなら、自由気ままな猫になりたいわ。」
この物語は猫になりたいと願ったフランチェスカが本当に猫になって戻ってきてしまった物語である。
彼女の離縁とその波紋
豆狸
恋愛
夫にとって魅力的なのは、今も昔も恋人のあの女性なのでしょう。こうして私が悩んでいる間もふたりは楽しく笑い合っているのかと思うと、胸にぽっかりと穴が開いたような気持ちになりました。
※子どもに関するセンシティブな内容があります。