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15 プレゼント
結婚式前の慌ただしさの中で日々は過ぎてゆき、結婚式まであと10日という今日、私にとっては人生を左右するかもしれない人物に再会しました。
私の結婚式に出席するためにマリアンが彼女の夫ともに父達より一足早くやってきたのです。
私はマリアンの顔を見た瞬間、嬉しさのあまり彼女に抱きつきました。
普段そんな事をした事がない私にマリアンは吃驚しすぎて声が出なかったと後で聞きました。
「何リーシャ私の顔見てそんなに喜ぶなんて!」
「マリアン貴方を待ってたわ!本当に待ってたの!」
私は気色満面の笑みで彼女を迎えたつもりでしたが、その後のロインの言葉に脱力します。
ロインというのはマリアンの夫で、彼はマリアンと結婚するまで私の専属護衛をしておりました、歳は5つ上で辺境騎士団所属の騎士です。
「うわぁリーシャ、ひょっとして笑ってつもりか?でもまぁ辛うじて何とか口元に出てるぞ!よっぽど嬉しかったんだな」
ロインは長年の付き合いから言葉遣いも気安く話してくれる辺境伯の娘の私にとっては希少な人なのですが、如何せん歯に衣着せぬ物言いで偶に私のトラウマを抉ります。
慣れておりますが、この頃は私の表情筋も仕事をしていると自負しておりましたのに⋯ちょっと悲しいです。
そう申しましたらロインがブンブンと首と手を振ります。
「いやぁリーシャ、あまり変わってないぞ!お前の表情筋はさっきのなんとか見える笑み以外は変わってねぇ」
隣のマリアンも頷きます。
私は幼い頃から皆に無表情で影に日向に悪様に言われておりましたが、タウンハウスに来てからは、皆が分かってくれてるようなので、少しは改善されたと思っていましたの。ですからこの時も後ろに控えてるレマールを振り返りました。
そうしましたら彼女は気不味そうな笑みを浮かべました。
えっ?どういう意味の笑みでしょうか?
「まぁそれはどうでもいいじゃない!どうして私を待ってたの?」
応接室のソファの背凭れにゆったりと体を預けながらマリアンが聞いてきます。
「それがね、リヒト様は騎士ではなかったのよ」
「⋯⋯⋯それで?」
「えっと、知ってたの?」
マリアンはなぜそんなことを聞くのか、という様に首を傾げながら再び頷きます、そしてピンと来た様に私の顔を凝視して側に置いていた長い箱を指差しました。
「ねぇ!まさかこれって婚約者へのプレゼントだったの?だったら言ってよ!王室にでも献上するのかと思ってた。ちゃんと聞いてたら訂正したのに!」
私は泣きそうな顔をして頷きました。
実は私はリヒト様に兼てよりプレゼントを用意しておりました。王城勤務の近衛だと思いこんでいた私は、リヒト様に結婚の記念にと思い、アルーステン領で一番の刀匠にお願いして2口の剣を作って貰っていたのです。
私が拘り抜いていた為、こちらに来るときに間に合わなかった物をマリアンが持ってきてくれたようです。
「「うわっ~~~」」
私の失敗を知った2人は飽きれた顔で此方を見ています。ですが私へ勘違いさせたのはマリアンですから彼女にも責任の一端はある筈です。
「でもマリアンがリヒト様を“脳筋”って表現したから、だから⋯」
「あぁごめん、それは私も悪いけど。でもねぇ本当に面倒くさかったのよ説明が。それにさぁこんなに会わないなんて思わないし。手紙のやり取りもしていたのでしょう?」
マリアンの聞いた手紙のやり取り云々は、今ここで言わないほうがいいと思い、それは無視して聞きたいことを訊ねました。
「ねぇ2年前に何かあったのでしょう?リヒト様は私と貴方を間違えてるみたいだったわ」
「それよ!もう何回否定しても納得しないのよ!あの人達」
「達?」
「あぁ、本当に面倒くさいけど説明するから!それに何かあったのでしょう?」
私が頷くとマリアンは2年前の出来事を詳しく話してくれたのですが⋯⋯。
その場はなんとも言えない空気になりました。
私の結婚式に出席するためにマリアンが彼女の夫ともに父達より一足早くやってきたのです。
私はマリアンの顔を見た瞬間、嬉しさのあまり彼女に抱きつきました。
普段そんな事をした事がない私にマリアンは吃驚しすぎて声が出なかったと後で聞きました。
「何リーシャ私の顔見てそんなに喜ぶなんて!」
「マリアン貴方を待ってたわ!本当に待ってたの!」
私は気色満面の笑みで彼女を迎えたつもりでしたが、その後のロインの言葉に脱力します。
ロインというのはマリアンの夫で、彼はマリアンと結婚するまで私の専属護衛をしておりました、歳は5つ上で辺境騎士団所属の騎士です。
「うわぁリーシャ、ひょっとして笑ってつもりか?でもまぁ辛うじて何とか口元に出てるぞ!よっぽど嬉しかったんだな」
ロインは長年の付き合いから言葉遣いも気安く話してくれる辺境伯の娘の私にとっては希少な人なのですが、如何せん歯に衣着せぬ物言いで偶に私のトラウマを抉ります。
慣れておりますが、この頃は私の表情筋も仕事をしていると自負しておりましたのに⋯ちょっと悲しいです。
そう申しましたらロインがブンブンと首と手を振ります。
「いやぁリーシャ、あまり変わってないぞ!お前の表情筋はさっきのなんとか見える笑み以外は変わってねぇ」
隣のマリアンも頷きます。
私は幼い頃から皆に無表情で影に日向に悪様に言われておりましたが、タウンハウスに来てからは、皆が分かってくれてるようなので、少しは改善されたと思っていましたの。ですからこの時も後ろに控えてるレマールを振り返りました。
そうしましたら彼女は気不味そうな笑みを浮かべました。
えっ?どういう意味の笑みでしょうか?
「まぁそれはどうでもいいじゃない!どうして私を待ってたの?」
応接室のソファの背凭れにゆったりと体を預けながらマリアンが聞いてきます。
「それがね、リヒト様は騎士ではなかったのよ」
「⋯⋯⋯それで?」
「えっと、知ってたの?」
マリアンはなぜそんなことを聞くのか、という様に首を傾げながら再び頷きます、そしてピンと来た様に私の顔を凝視して側に置いていた長い箱を指差しました。
「ねぇ!まさかこれって婚約者へのプレゼントだったの?だったら言ってよ!王室にでも献上するのかと思ってた。ちゃんと聞いてたら訂正したのに!」
私は泣きそうな顔をして頷きました。
実は私はリヒト様に兼てよりプレゼントを用意しておりました。王城勤務の近衛だと思いこんでいた私は、リヒト様に結婚の記念にと思い、アルーステン領で一番の刀匠にお願いして2口の剣を作って貰っていたのです。
私が拘り抜いていた為、こちらに来るときに間に合わなかった物をマリアンが持ってきてくれたようです。
「「うわっ~~~」」
私の失敗を知った2人は飽きれた顔で此方を見ています。ですが私へ勘違いさせたのはマリアンですから彼女にも責任の一端はある筈です。
「でもマリアンがリヒト様を“脳筋”って表現したから、だから⋯」
「あぁごめん、それは私も悪いけど。でもねぇ本当に面倒くさかったのよ説明が。それにさぁこんなに会わないなんて思わないし。手紙のやり取りもしていたのでしょう?」
マリアンの聞いた手紙のやり取り云々は、今ここで言わないほうがいいと思い、それは無視して聞きたいことを訊ねました。
「ねぇ2年前に何かあったのでしょう?リヒト様は私と貴方を間違えてるみたいだったわ」
「それよ!もう何回否定しても納得しないのよ!あの人達」
「達?」
「あぁ、本当に面倒くさいけど説明するから!それに何かあったのでしょう?」
私が頷くとマリアンは2年前の出来事を詳しく話してくれたのですが⋯⋯。
その場はなんとも言えない空気になりました。
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