護衛騎士が勝手に侍ります(泣)

maruko

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最終章

【78】

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アントリックがナリシティに到着して城に入った時、ユメールはベッドから起きられなくなる程の怪我を負った侍女達の為に庭で花を摘んでいた。
侍女達はユメールを馬車から降ろした時に馬や騎士達に押しつぶされそうになるユメールを庇って負傷していたのだ。
圧死していても可笑しくない状態で命が守られたのは彼女達の夫や元婚約者のお陰だろう。
ファイゼンもランディも小屋に入った時は殆ど起き上がる事の出来ない重傷だった。
カイルに至っては虫の息で助ける事が出来なかった。彼はカリーナを抱きかかえて興奮する馬から彼女を守ったのだった。

そんな皆にユメールが出来る事は目を慰める為の花を摘み花瓶に差すことくらいで、そしてカイルの亡骸に花を手向ける事だけだったのだ。

その寂しそうに花を摘むユメールの背中を慰めるようにアントリックは抱きしめた。

「ユメ⋯無事で良かった」

背中にアントリックの熱を感じて生きてる実感をするユメール。
ただただ守ってもらい直ぐに安全圏に逃して貰った自分を責めていたから、その熱は暖かく心を慰める様に感じた。

「⋯皆に⋯守ってもらいました」

「うん⋯うん」

頭上から相槌が降ってくる。
その音に涙が溢れユメールは振り返りアントリックの胸に顔を埋めると、彼は優しく抱きしめたまま背中を擦る。

「怖かった」

そして今度は激しい慟哭に変わった。
そんなユメールをアントリックは落ち着く迄抱きしめていた。


アントリックが賊達に対峙してからは展開が早かった。
何故なら繋がれた牢にいたのはアントリックの見覚えある者ばかりだったから。
帝国の元少佐であったメルナールがその中にいたので軍隊派が絡んでいる事は一目瞭然であった。
だが彼は既にの指が無く、これ以上の拷問は命の危機であったから、生かしておく為に控えた。
アントリックの元侍従等がいたので其方を彼は担当して全てを吐かせた。
目的が解れば対策だ。
取り敢えず安全圏にユメールを連れて行くことが最優先だと、ナリシティの方はセレビアンに任せアントリックは騎馬にてユメールを王都へ連れ帰った。

モンマルトルの王城に到着したユメールは騎馬で移動した負担も有りその後3日程寝込んだ。
無理矢理の帰城をアントリックは国王と王妃に詰られたが、対応としては間違ってないので王妃の張り手2発で許してもらえた。

目が覚めたユメールにアントリックは話しかける。

「ユメ、私は今から帝国に戻り軍隊派を一掃してくる」

「一掃ですか?」

「あぁ、それに伴って国も一つ潰さねばならない。だから再び会えるのが遅くなるだろう。その前に式を挙げたいんだ。駄目だろうか?」

「⋯結婚式ですか?」

「そうだよ」

「⋯⋯」

「ユメ⋯⋯ユメール・モンマルトル。貴方を我が帝国の次代の皇妃に求める私の我儘を聞き届けて欲しい。貴方を国毎守れる男になる為にその身を私へ預けて欲しいのだ」

「⋯⋯なんてプロポーズですか、もっとロマンティックにして欲しかった」

「ごめん⋯勇気が出ないんだ。怒りの勢いだけでは⋯⋯足りない」

涙目のユメールだったが答えは諾一択しかない。

「絶対に無事でいて下さいね。私から貴方にあげられるのは勇気だけですか?」

「あぁそれが今一番欲しいんだ」

「解りました」

まだ若いアントリックの初陣に、勇気を奮い立たせる為の婚姻だとしても、其れでもユメールはその身を捧げるのに躊躇うことはしなかった。

そして二人は二大国の婚姻式にも関わらずひっそりと二人だけで式を挙げ、その日に結ばれた。





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