【完結】マリナの再婚

maruko

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保留期間(元夫の奮闘と母子の変化)

母子で公園

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カイルから貰った鉢植えにロイドが今日も話しかけている。
花屋の店員から聞いたのは、この鉢植えは時期が来たら植え替えたほうが良いと言う話だ。
剪定もしなければならないらしい。

元は大木だという話
何故ロイドはこの樹を気に入ったのだろう。

以前店員が「妖精と話してるのでは?」と真顔で言った時は冗談でしょと気にも止めなかったけれど最近は私もまさかねなんて考えている。

この鉢植えに出会った時のロイドはまだ2歳だった。
港町ならではの商品で何処かの島から輸入している物だと聞いた。

漸く少し長めに歩けるかなというくらいの時期にトトトトと引き寄せられるように向かった時は本当に吃驚したのだ。
その場で買おうと思ったが配達をしていないと聞いてその時は諦めた。

その後も幾度となくロイドに買ってあげると言っても首を振るばかりだったのに!

カイルに買ってもらって喜ぶロイドを見て本気で呆然とした。
何故か誇らしげなカイルをギロッと睨んで、その日私は一緒に食事をした際に、カイルの嫌いなセロリを多めに彼の皿に入れた。

「ロイド今日はピクニックしようか!」

朝から私はサンドイッチを作っていた。
二人で出かけようと張り切った。
私の声かけにロイドが走ってくる。

「ははうえ~どこぉ」

「どこに行きたい?」

「⋯⋯⋯⋯みな、こういぇん」

たっぷり考えてから言い直した。港じゃないのかな?
その言い換えが良く解らなかったけど「解った」というと嬉しそうに燥いでいた。

二人で手を繋ぎ歩く、少し歩きがしっかりしてきたように思う。
ロイドも成長してるのねぇと思いながら歩いた。

いつものようによく解らない歌詞の歌を歌いながらご機嫌だ。

シートを敷いて座らせると直ぐに靴を脱いでゴロゴロゴロと転がる。
ロイドはシートを敷くと必ずこれをする。
ちなみに甥のディールドはでんぐり返りをしている。
ロイドも一度は必ず挑戦しようと頭をシートに付けるけど、まだ出来ないみたいだ。

一通りゴロゴロの儀式が終わったらまた靴を履いて走り回っている。
小さな公園だから見守るだけでいいのでこの公園は重宝している。

座ってロイドを眺めていると親子連れが来た。
父親が子供を肩車している。

以前この光景を見たロイドが私の背中に隠れた事を思い出した。
今日もロイドはこちらに戻るかな?と思っていたけどロイドは少しだけ眺めて持ってきた玩具を転がして遊んでいる。

ロイドの行動の変化にカイルの存在があるのは間違いないと思った。

以前姉から聞いたディールドが、ロイドに義兄を父上と呼ばれたくなかったという話。
ロイドがカイルのことをと言った事。

それを思い出した。

自分にも父がいるからと気にならなくなったのかな?

私は少し複雑な気分になった。
私だけでは埋められなかったロイドの心の穴。

「ははうえ~」

考えていたらロイドが手を差し出した。
汚れている。

「お腹空いた?」

「はい!」

汚れた手をあげてロイドが答える。
二人で手洗い場に行き手を洗う、少し濡れた袖口も拭いてあげながらロイドを見ると、満面の笑みが私をホッとさせてくれた。

二人でシートに戻るとロイドがジュースのお強請りをする。
ごくごくと飲みながらチラッと先程の親子連れを見ていたのを私は見逃さなかった。
サンドイッチを摘みながらロイドが私に

「あのねぇははうえ~ちちうえねぇ⋯⋯」

言いにくそうに言葉を選んでいるように見えた3歳なのに?

「どうしたの?」

「ちゃびちぃの」

カイルが寂しい?

「父上がそう言ったの?」

そう聞くとロイドは暫くう~んと言って傾げてた首を左右に振った。

「言ってないけどロイドはそう思ったの?」

そう言うとまた首を傾げたけど大きく頷いた。
ロイドにはカイルが寂しそうに見えるのか。
ロイドがいちいち「う~ん」と考えるように見えるのは何故かしら?でも⋯⋯。

私は自分がショックを受けてるのを認めたくなかった。

カイルが寂しいのは私達が側にいないから⋯よね?
私の責任のような気がして居たたまれなくなる。

「ロイドは父上が好き?」

私の問いに何故かロイドは答えなかった。
その代わり厳しい質問返しが来た、聞くんじゃなかったと思ったけどあとの祭りだ。

「ははうえ~ちちうえ~しゅき?」


ロイドのブーメランを何とか笑って誤魔化した。
でもこれは今日限りしか使えない。
子供に嘘は厳禁だ!

ちゃんと見ているのだからと以前姉に教わった。
だから私は決意を話した。

「まだ解らないけどちゃんと考えるからね」

ロイドは不思議そうな顔をして私を見つめていた。



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