【完結】マリナの再婚

maruko

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保留期間(元夫の奮闘と母子の変化)

寂しい

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カイルに送られて自宅に帰って一人で湯を浴びた。

バスルームを出て髪を乾かしながらロイドがいない事に打ちのめされていた。

「寂しいなぁ」

言葉を口にすると胸に冷たい風がピューと吹いた。
ロイドが生まれてから初めて離れて過ごす。

ロイド⋯泣いてないかしら?
寂しがってないかしら?
姉を困らせているんじゃ⋯⋯。

寂しい寂しい⋯⋯ロイドじゃない私が寂しい。

たった一晩が我慢できずにずっと寂しくて眠りについたのは明け方近くになってからだった。

それでも眠りは浅く直ぐに目覚めたのかも知れない。

何時もの起床時間より早く目が覚めていた。

目覚めたけれど直ぐにはベッドから出られなかった。
自分の横に、いつもある小さな温もりが恋しくてシーツを撫でる。

「ロイドおはよう」

いないロイドに朝の挨拶、少し気持ちが上を向いた。
でも直ぐに萎む。

「はぁロイドに依存し過ぎ?」

溜息と共に兼てより思っている事も口から溢れた。

いないロイドの寝ている様子を想像して白いシーツを眺める。

どれくらいの時間そうしていたのか解らないけど、出かけるのだったと気付いた私は大きく溜息を一つ吐いて漸くベッドから出た。

一人で顔を洗い軽く朝食を取り出かける支度をした。

あっという間に終わる。

何時もはロイドと熟すその時間の半分もかからなかった。

また寂しくなる。

子供の頃の孤独とは、ちょっと違うけれど寂しいことには変わりない。
そこまで考えて、あの頃も寂しかったのだと漸く自分の中で認める事が出来た。

「ずっと寂しかったのよね」

やっと本当に義兄の言う事を理解できた気がした。

«また捨てられるんじゃないかという気持ちがどうしても勝ってしまう。身構えて話しても良いことはないよ、それが柔軟にって事だ»

「理解は出来たけどポンコツは酷くない?」

またしてもいない義兄に文句を言う。

孤独と独り言はセットだと思って、アレ?反対か?
独り言を言って孤独を感じるのか?

自問自答

私何やってるの?

ロイドがいない寂しさから思考は只管、寂しい気持ちの上乗せで、持て余している所にカイルが迎えに来た。

ホッとした私は玄関の扉を開けて今の今まで感じていた寂しさを隠して「おはようございます」と何食わぬ顔で挨拶をした。


◇◇◇


馬車の中で「何処に行くの?」と聞くと「海」と返事が帰ってきた。

海かぁ

メーチェ領の砂浜がある所は、私達が住んでいる所よりも少し離れている。
乗合馬車では4つ過ぎた所だ。
前に行ったのはロイドがまだ小さくてずっと抱っこしていて⋯3歳になってからは連れてきてなかったな、もう直ぐ4歳なのに、喜んだだろうに、今度連れてきてあげよう。

「マリナ、マリナ、マリナ!」

「あっ何?」

「ロイドの事?」

「あ、えぇそうねロイドの事ばかり考えていたみたい、ごめんなさい」

「何故謝る?」

さっぱり解らないといった風情のカイルを見て、そうだ私何謝ってるんだろうと思った。

「海が久しぶりだなと思っていたの」

「そうか、今度ロイドも一緒に行こう⋯⋯⋯行ってくれるか?」

カイルが情けない顔をして聞くから笑ってしまった。
そんな顔されたら断れない、だって表情がロイドだ。

「わかったわ、いつかね」

それから天気の話や今カイルがしている仕事の話などを聞いていたら目的地に着いたようだ。
そこは以前ロイドと来た所よりもっと先の場所だった、初めて来た。

馬車を降り海岸へ出る、そして砂浜を二人で並んで歩いた。

海面が太陽に反射して眩しい。
思わず目を細める

黙って二人で歩いているのに沈黙が気不味くないのが不思議だ。

暫く歩いていたら誰のものか解らない小さなボートが置いてあった。
カイルはそこへ近付きボートの中からシートを出す、広げて「座ろう」と言った。
そのシート使って大丈夫なのかな?と訝しみながら恐る恐る近付くと「準備してたんだ」と言う。

「昨日ちゃんと自分の事を話せるか自信がなかったんだ、だから今日もう一つチャンスを作っておこうと思って準備してた。でも俺の話は出来たから⋯⋯マリナの話しを聞くよ」

座った後に横に並んで座ったカイルが暴露する。
その様子を思い浮かべてまた笑ってしまった。

話そうと心に決めたのにいざ話すとなると何処から手を付けていいか解らない。
話すことがあり過ぎる。

大きく深呼吸をした。

光る海面を見つめながらもう全て話してしまえと覚悟を決めた。

「私、私ね生まれた時から両親とは離れて暮らしていたの。物心ついた時に側にいたのは姉だけだった。叔母もいたのだけど子供が嫌いなのかあまり構っては貰えなかった」

「⋯⋯」

「偶に父という名の人が来ていた事は解ってた、その時は姉が喜ぶから私も喜ぶって感じだった。最初は来るのが嬉しかったりもしたのだと思う、その辺は正直覚えていないの」

「⋯⋯」

「姉が居なくなったのも私にとっては突然だった。ある日姉が居なくなったのだと感じたの、それからは生活が一変したのよ」

「何も言わずに居なくなったのか?」

私は首を左右に振った。

「きっとお別れはしたんだと思うの、でも私と姉は10歳違うから。今考えれば学園に入る為に領地の家を出たのよね、でもそんな事その時の私には解らなかった、だって5歳なんだもの」

それから私はカイルに、カイルと結婚するまでの話しを聞いてもらった。


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