【完結】マリナの再婚

maruko

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モルトワ子爵家の変革

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カイルと二人で出かけた日から数日後、兄が訪ねてきた。

カイルと海に行ったあの日、家に帰ったら姉の使いが待っていて、そのまま姉の邸に向かった。
そこにはロイドもいて、そして母もいた。

今モルトワ子爵家は父から兄に家督を継承する為に色々と動いてる最中なのだとその時聞いた。
母の膝に座るロイドは私の寂しかった気持ちを他所にご機嫌だった。

色々な事が片付くまでは取り敢えず母は姉の所にいるという。

そんな中での兄の来訪
何故私を直接訪ねて来たのか真意がちょっと解らない。

「入ってもいいか?」

「どうぞ」
「どうじょ」

私の真似をするロイドを眩しそうに眺めている兄の顔を見ていた私に

「そんな顔するな」

と言われたがどんな顔だろう?

「仕事前なのですが⋯」

「あぁ忙しい時に悪かった、急いできたから何か飲みたくて⋯⋯」

図々しい兄にお茶を煎れてあげると「生き返った」と大げさなことを言う。

「悪かった、今日仕事が終わってから話したいんだ、出来れば二人で話してからそれからライナ達とも話したい」

図々しいと、またまた思ったが家の事だろうと了承した。
ロイドの着替えをさせて外に出ると帰ったはずの兄が馬車の前で待っていた。

「行き先は同じなんだ一緒に行こう」

親切心から言ってるのが解っていたがまたもや図々しいと思ってしまって心の中で自分を笑う。

いつもの様にロイドを預けに来た私が兄と一緒で執事が驚いていた。
それはそうだろう
ロイドをお願いして仕事に行こうとすると馬車で送ると兄に言われたが丁重に断った。

そういえば兄にお礼を言うのを忘れていた事に傍と気付いた。
先日義姉からロイドに誕生日のプレゼントが届いた。
一体いつ着せる機会があるのだろうかと思うほど豪華な子供服と知育玩具だった。
手紙にはサイズが解らなくて一般的な3歳の男の子で作ったけれどお直しは可能だからと3年間知らなくて何も出来なかったとお詫びが認められていた。

話す時にお礼を言わないとと思いながら今日の業務に取り掛かった。


仕事が終わり外に出ると兄が待っていた。
馬車の近くに立ち馭者と話をしていた、数日前のカイルを思い出して、いやだ兄と重ねるなんてと思った自分に驚いた。
別に重なってもいいじゃない
そう考えながら兄の方へ歩を進めると兄が手を上げた、またあの日に重なる⋯だから!!⋯⋯⋯。

自分の脳内が変になってしまったのかと落ち込みながら馬車に乗った。

連れて行かれたのはカフェだった、姉のお薦めだそうだ。
いえいえ私もこの地に住んでいるからここは知ってると喉まで出かかって止めた。
要らぬ事は言わないほうがいいと判断した。
何故なら兄が得意気な顔をしていたからだ。

頼んだ珈琲を一口飲んでから兄は先ずはと謝罪をした。
因みに私も頼んだのは同じく珈琲だ。

「マリナはしなくていいと言ったが私の自己満足かもしれないが謝らせてほしい」

そう言って幼い妹を気遣えなかった自分を恥じていると謝っていた。
私はそれをぼんやりと眺めたが、一つも怒りが湧いてこなくて、自分の中で既に昇華していることに気付いた。

だが「いいの」と言ってしまっていいのだろうか?

あぁ昇華はまだだったと自分で自分を冷ややかに笑う。

「今日のお話というのは?」

「あぁ叔母のことだ」

「あの人⋯⋯のことですか」

「母上の前で話してしまうと気に病むだろう、今は小康状態だが、その、あまり良くはないから」

母が弱っているのは王都で会ったときに母に聞かされていたので知っている。
叔母が私を虐げた話など母の心臓を止めてくれと言う様なものだ。
私は一応兄の行動を理解した。

「その、言いにくいだろうし今更なのは本当に解っているし、マリナの気持ちを考えると無理にとは言えない、だが何があったのか。私が目を反らしていた日々に何が起こっていたのかを知りたいんだ」

「聞いて如何するのですか?」

「叔母を追い出すのは決定している。今隔離しているんだが、現状ではそれしか出来ないんだ。罪を知りたい、ちゃんと罰したいんだ」

そう言って兄は私に説明してくれた。

叔母の罪は現状では当主に対しての虚偽報告のみだそうだ。

それは父が叔母を信用しすぎた結果とも言える。

領地にいる叔母が父から依頼されたのは家政を取り仕切る事と私と姉が学園に入るまでの養育。
私と姉が成人してからは領地のモルトワ子爵家の邸の管理だ。

本来なら事細かに予算を割り振ってお金を渡す筈が妹を信じきった父が割り振らずに予算だけを一括で毎月渡していた。

報告が虚偽だった事は責めることが出来るが横領には当たらない。
何故なら報告をする義務を課してなかったからだそうだ。
あの報告は変な言い方だが叔母の善意だという。

「報告義務を課してなかったって事?」

「あぁ」

「お父様は馬鹿なの?」

「⋯⋯そうかもな、領地を預かる者としてはそうなるな」

兄の言い方が解せないのが顔に出ていたようだ。

「例えば父上と同じ状況が私に起こったとして叔母と同じようにライナが申し出てくれたとしたら私も父上と同じだったかもしれない。でもマリナも自分に置き換えてみてライナが子供にそんな事をしてるとは思わないだろう?」

思わず兄の例え話に納得してしまった自分が悔しい。
でも姉がそんな事をするはず無いと私は知っているのも本当だ。
あぁ父にとってのあの叔母は、私にとっての姉だったということなのか。

「だからといって叔母をそのままなわけには行かない、表向きにはこれ以上は何も出来ないんだ。だが⋯⋯」

「?」

「スタンリー公爵が児童虐待の罪には問えるのではないかと提案してくれた、その代わり父上も連座になるが、父上は覚悟を決めた」

兄はそう言って私をジッと見つめた。





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