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第一章
イェナル・カタセ・ファリウト①
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聖女は二階から声をかけていた。
すぐ側に階段はないからその場で待つように、と言われてアミエルは側にあった椅子に腰掛けて、スザンヌと二人で緊張しながら待っていた。
暫くしてかなりの早足で現れた聖女は、アミエルが思っていたよりも背が高くなかった。
そして⋯普通の女性に見えた。
期待していた聖女のオーラ等は⋯⋯無い。
その事にアミエルは少しだけガッカリしてしまった。
本物の聖女というのは、オーラをキラキラと全身から醸し出していると勝手に思っていた。
今までの、ただ王太子達に選ばれただけのなんちゃって聖女達にもオーラがあったなんて聞いたこともなかったのに。
(勝手な思い込みでごめんなさい)
アミエルは心の中で謝罪していた。
「お待たせしちゃってごめんなさいね。よく来てくれたわね!会えてとても嬉しいわ。お茶の準備はしているから飲みながら話しましょっ」
そう軽い口調で言って案内されたのは、森の中の蔦の絡まりまくった城の中とは思えないほど日当たりの良い部屋だった。
温室なのか室内なのに花壇があったり、花の鉢植えがアチコチに置かれている。
その部屋の大きな窓の側にテーブルが置かれ、その上には美味しそうなクッキーが皿に並べられていた。
窓から外が見えたが其処には意外にも小さな庭園が広がっていた。
城の裏側に位置する場所なのかもしれない、少なくとも玄関前では見えてなかった。
聖女は何処からかワゴンを押してきて自らお茶の支度を始める。
「私が!」
スザンヌが代わろうと声をかけたが、聖女は微笑みながら首を左右に振って、優しい声音で「座ってて」とスザンヌの申し出を断った。
彼女が淹れてくれたお茶は不思議な味がした。
「疲労回復を入れてみたわ、貴方達緊張もしてたのでしょう?肩が凝ってるはずよぉ」
“疲労回復を入れてみた”とは何だろう?そう思いながらも不思議な味のお茶をアミエルは残らず飲み干していた。
隣を見るとスザンヌも同じように飲み干している。
それを見て聖女がお代りを淹れてくれた。
同じ茶器から淹れられたのにお代わりは味が違って、アミエルはお茶だけで不思議な世界に来たように思った。
(オーラは無かったけど不思議なお茶は淹れられるんだ、やっぱり本物の聖女様って凄いのね)
アミエルは聖女への尊敬の念を抱き始めていた。
「さて!改めてご挨拶するわ!初めまして(ニコッ)一度名乗っているけれど自己紹介からするわね。私はイェナル・カタセ・ファリウト、聖女と呼ばれているわ」
「私はアミエル・シュトラウゼと申します。以後お見知りおきください。この者は私の侍女でスザンヌです」
「聖女様よろしくお願いします」
アミエルからの紹介にスザンヌもイェナルに挨拶をした。
「では、不躾で申し訳ないけど私から質問させてね。今日は何年の何月何日かしら?」
突然質問をされたのが日付だったのに少し驚いたが、何よりもそれを真っ先に知りたいらしいイェナルにアミエルが答えると、彼女が不思議な顔をした。
少し俯いて指で額を押さえながら、暫く考えてるようだったイェナルが再び口を開く。
「サファルナ821年は何年前になる?」
今度はイェナルが歴史の質問をしてきてアミエルは戸惑ったが頭の中で計算する。
ファリウト王国では今はシャエルナ516年だった。
その前がサファルナ年で821年はサファルナの最後の年だと記憶している。
「516年前ですわ」
「⋯⋯⋯ご、516年⋯」
イェナルはそう言って目元以外を両手で隠すように顔を押さえている。
彼女の戸惑いがアミエル達にも伝わってきた。
イェナルは自分の目の前に置かれた自身で淹れたお茶をガブッと一息に飲み干した。
唖然とその様を見ていたアミエルにイェナルが信じられない事を言い出した。
「私、516年も眠っていたみたい」
「「⋯⋯⋯⋯⋯ええっ!!」」
「どうりでねぇ、久し振りに鍵鼻見たから」
アミエルとスザンヌは間合いも同じく二人揃って驚きの声を張り上げたのだが、その後に言ったイェナルの言葉は聞き逃していた。
✎ ------------------------
短めだったので今日はもう一話更新します
次話は少しだけ長めです👐
すぐ側に階段はないからその場で待つように、と言われてアミエルは側にあった椅子に腰掛けて、スザンヌと二人で緊張しながら待っていた。
暫くしてかなりの早足で現れた聖女は、アミエルが思っていたよりも背が高くなかった。
そして⋯普通の女性に見えた。
期待していた聖女のオーラ等は⋯⋯無い。
その事にアミエルは少しだけガッカリしてしまった。
本物の聖女というのは、オーラをキラキラと全身から醸し出していると勝手に思っていた。
今までの、ただ王太子達に選ばれただけのなんちゃって聖女達にもオーラがあったなんて聞いたこともなかったのに。
(勝手な思い込みでごめんなさい)
アミエルは心の中で謝罪していた。
「お待たせしちゃってごめんなさいね。よく来てくれたわね!会えてとても嬉しいわ。お茶の準備はしているから飲みながら話しましょっ」
そう軽い口調で言って案内されたのは、森の中の蔦の絡まりまくった城の中とは思えないほど日当たりの良い部屋だった。
温室なのか室内なのに花壇があったり、花の鉢植えがアチコチに置かれている。
その部屋の大きな窓の側にテーブルが置かれ、その上には美味しそうなクッキーが皿に並べられていた。
窓から外が見えたが其処には意外にも小さな庭園が広がっていた。
城の裏側に位置する場所なのかもしれない、少なくとも玄関前では見えてなかった。
聖女は何処からかワゴンを押してきて自らお茶の支度を始める。
「私が!」
スザンヌが代わろうと声をかけたが、聖女は微笑みながら首を左右に振って、優しい声音で「座ってて」とスザンヌの申し出を断った。
彼女が淹れてくれたお茶は不思議な味がした。
「疲労回復を入れてみたわ、貴方達緊張もしてたのでしょう?肩が凝ってるはずよぉ」
“疲労回復を入れてみた”とは何だろう?そう思いながらも不思議な味のお茶をアミエルは残らず飲み干していた。
隣を見るとスザンヌも同じように飲み干している。
それを見て聖女がお代りを淹れてくれた。
同じ茶器から淹れられたのにお代わりは味が違って、アミエルはお茶だけで不思議な世界に来たように思った。
(オーラは無かったけど不思議なお茶は淹れられるんだ、やっぱり本物の聖女様って凄いのね)
アミエルは聖女への尊敬の念を抱き始めていた。
「さて!改めてご挨拶するわ!初めまして(ニコッ)一度名乗っているけれど自己紹介からするわね。私はイェナル・カタセ・ファリウト、聖女と呼ばれているわ」
「私はアミエル・シュトラウゼと申します。以後お見知りおきください。この者は私の侍女でスザンヌです」
「聖女様よろしくお願いします」
アミエルからの紹介にスザンヌもイェナルに挨拶をした。
「では、不躾で申し訳ないけど私から質問させてね。今日は何年の何月何日かしら?」
突然質問をされたのが日付だったのに少し驚いたが、何よりもそれを真っ先に知りたいらしいイェナルにアミエルが答えると、彼女が不思議な顔をした。
少し俯いて指で額を押さえながら、暫く考えてるようだったイェナルが再び口を開く。
「サファルナ821年は何年前になる?」
今度はイェナルが歴史の質問をしてきてアミエルは戸惑ったが頭の中で計算する。
ファリウト王国では今はシャエルナ516年だった。
その前がサファルナ年で821年はサファルナの最後の年だと記憶している。
「516年前ですわ」
「⋯⋯⋯ご、516年⋯」
イェナルはそう言って目元以外を両手で隠すように顔を押さえている。
彼女の戸惑いがアミエル達にも伝わってきた。
イェナルは自分の目の前に置かれた自身で淹れたお茶をガブッと一息に飲み干した。
唖然とその様を見ていたアミエルにイェナルが信じられない事を言い出した。
「私、516年も眠っていたみたい」
「「⋯⋯⋯⋯⋯ええっ!!」」
「どうりでねぇ、久し振りに鍵鼻見たから」
アミエルとスザンヌは間合いも同じく二人揃って驚きの声を張り上げたのだが、その後に言ったイェナルの言葉は聞き逃していた。
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短めだったので今日はもう一話更新します
次話は少しだけ長めです👐
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