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しおりを挟む「…毒殺されかけて、力に目覚めて間一髪助かった…?」
「毒無効、呪い無効、精神系魔法無効…?本当に人間なの…?」
うむ。一応肉体的には。
当時の待遇はともかく元伯爵令嬢であること、死にかけたことで魔法が勝手に発動して元気になりすぎちゃったことは料理長に説明した時と同じだ。で、何で首輪の一件に気付いたのかに関しては、呪い無効の効果を得たと同時に、呪いが巻き付いているものがわかるようになった、ということにした。
だって事実は単純に、どんな魔法も呪いも我から見たら拙すぎて分かっちゃうだけだもん。
玄人の目から見れば素人の作品などすぐにわかるというやつである。
「…力って、魔力が使えるようになったってだけだよな?回復魔法…の延長か…?」
ギルマスがしみじみと考え込んでいるが、そんなん我も知らんわ。魔王の時からそうだが、怪我とか状態異常とか、直ぐに魔力が循環して勝手に治すから自分相手に回復魔法使った事ないし。
「アリス様が死にかけて回復した理由には、私に思い当たりがあります」
料理長が動いた!……思い当たり?よく分からんが魔王の時の力に目覚めたからじゃないのか?
「アリス様は、魔導国王家から分かれる分家の母君を持つお方です。そして、その母君は五属性の魔力以外…"無属性特化"の血族でした」
とはいえ、ごくごく稀に片鱗を見せる者がいたくらいの話でしたが。と料理長は付け加えた。
火、水、風、光と闇。五属性の魔力というのがこれな。で、現代ではそのどれにも属さない魔法を無属性と呼ぶらしい。……時空間関連がそうだな。
「無属性特化に期待されているのが、時の魔法です。魔導国には《全ての魔法を集め、時すら支配したのなら、その者は永遠に語り継がれる伝説の魔王となるだろう》という伝承が残っています」
「…つまり、…どう言うことだ?」
「アリス様の異常な回復力も呪いや毒の類が効かないのも、時の魔法が働いている可能性が高いと思います」
料理長の仮説では、どうやら我は、我の身体を状態的に1番良い状態に保つように無意識的に魔法をかけ続けているのではないか、ということだった。
「…元々が特殊状況のアリス様ですから、無意識的に生存のため魔力を身体状態保護のために全て注ぎ込んでいたと、私は考えます。……今更な事とはいえ、私の無力が疎ましい…。やはり毒蛇フルコースでは足りなかったか…?」
そうかそうか。つまり我は無意識のうちに我の身体がベストな状態で時間を止めていたようなものと。それにより怪我しようが毒のもうが健康な状態まで身体が勝手に戻ったと、そう言うことか。
……待て?
「「「毒蛇フルコース?」」」
「ああ、お気になさらず。毒は抜きましたから」
思わず聞き返した。ギルマスとエルサ殿も引っかかったようだ。
「毒抜いてるなら問題ないね」
「はい。大丈夫です」
と、我と料理長が和気藹々としている傍ら、ギルマス達は、
「毒蛇使ってる時点で大問題の筈なんだが…」
「この2人見てると常識が何なのか分からなくなりますね…」
と、遠い目をしていたと後でルシアが教えてくれた。
「脱線しまくりだったが、とりあえず、嬢ちゃんの非常識と異常な能力が血筋と育ち方のせいなのは分かった。この事はきちんと伏せておく。誰かが知ってたら俺らを遠慮なく疑っていい。時間を取らせて悪かったな」
時間を取らせたことよりも、何かしらの事で我の素性を疑った事を謝って欲しいものだ。
「……ギルマス。アリス様が魔導国に縁ある事自体が今回問題の種になる可能性は?」
「問題無い。今回1番問題になったのは、魔導国から輸入したこの首輪だ」
だろうな。ソレのせいで今回の事は起きたのだから。多分。
「原因がこれだと特定したからにはこれに変な魔法がかかってる事を知っていた事になる。原因を特定する事で信頼を勝ち取りこちらを油断させて、中からこの国を崩壊させる為のスパイじゃねえのかと疑う輩も居たんだ。
嬢ちゃんは親がその国出身だろうが、嬢ちゃん自身には関係無い。話聞いてそれが分かったからな。俺らの方から追及することはもう無えよ」
これで俺も間違いない、関係ないと断言して堂々と援護してやれるしな、とギルマスが言う。
ギ、ギルマス…!我を庇ってくれる気だったのか!我、ちょっと感動したから、今度お礼に料理長テキストから我が修得したフルコースでもてなしをしてやろう!
ゲテモノに分類される魔物肉食わされそうだから要らないって?……我、まだ毒抜き修得してないから毒蛇は使わないのに。
いいもん。マリム呼んで魔物肉パーティーするから。
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