【完結】婚約破棄された僕はギルドのドSリーダー様に溺愛されています

八神紫音

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14話 僕の初めては……

「……は?」

 ケントとルークが同時に飛びかかり、次に僕が目にしたのは、ヴォルクが手錠とともに床へと拘束されている状況だった。

「え、あのヴォルクを捕まえたの!?」
 これには僕もビックリする。だってヴォルクってすごい怪力だよ?

「これはな、魔力のこもってる魔法具なんだよ。ヴォルクはパワーはすげぇけど魔法への耐性は皆無だからな」
 ルークはそう言って勝ち誇った笑みを浮かべている。

 まさかそんな魔法の道具があったとは……。

「おいこらてめぇら今すぐこの手錠離しやがれ!」
 ヴォルクはそう言って手錠をガンガンと引き千切ろうとするけど、すぐに力が抜けていくようにだらんとなった。

「さて、邪魔者は消えた訳だけど……」
 ケントは微笑みながら僕の方を見る。

 え、待って、僕この2人になんかされる!?

「てめぇらそいつになんかしてみろ……マジで許さねぇぞ……」
 ヴォルクはわなわなと震えている。ヴォルク、僕のためにあんなに怒って……ちょっと嬉しいかも。


 すると、ケントは両手をパンと合わせて僕へ祈るようにこうお願いしてきた。
「お願いエミル! 添い寝して!」

「ええ!?」
 ヴォルクにはあんなことしたのに僕には意外と下から来るんだな……。

「俺も、頼む! 俺らの間に寝てくれるだけでいいんだ!」
 ルークも同じように手を合わせ目をきゅっとつぶっている。

「そ、そんなシングルベッドに3人も狭いよ……」

「それがいいんでしょ?」
 と、ケント。

「だめか?」
 ルークは片目を開けてチラッとこっちを見ながら言った。


 添い寝くらいなら……って思ったけど、ごめんね、僕はヴォルクと約束したんだ。

「だめ。ヴォルクは朝までこのままでもいいけど、僕も2人と添い寝はしない」
 僕はきっぱりとそう言い切った。

「てめぇクソチビこの野郎、前半余計なこと言ってんじゃねぇ!」
 怒るヴォルク。

「でも、後半はいいでしょ?」

「ぐ……」
 満更でもなさそうなヴォルク。


「ヴォルクの添い寝は許すのに俺らはダメだなんて……」
 と、ケント。

「ごめんね」

「お前……本気でコイツのこと……」
 と、ルーク。

 僕は言葉の変わりにこくんと大きくうなずいた。 

 すると、2人は顔を見合わせてやれやれとため息をついた。

「分かった。俺らもお前が嫌がることすんのは嫌だし」
「ルーク、ありがとう……」

「ヴォルクは朝までこのまんまにしとくよ?」
「うん、それでいいよケント。じゃないとみんなの前で襲われちゃうし……」

「チッ、クソが……」
 ヴォルクは悪態をついてそのまま諦めたように眠り始めたので、ルークとケントもそれぞれ床についた。



 僕はそれからこっそり起きると、床で寝ているヴォルクの隣に寝転がり、勝手に彼の腕を枕にして寝た。

 結局僕の初めては……奪われないままだった。

 そして僕が寝入る直前くらいに頭上から「ありがとな……」って聞こえた気がしたけど、僕はそのまま寝入ってしまい、翌朝も覚えていなかった。
 


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