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19話 離さない
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自分の部屋に戻り荷物をまとめようとするが、この部屋の物は全てランス様に買ってもらったものだと言う事を思い出す。
ランス様からは付き人とという仕事の給料をあげたいと何度も言われたけど、助けてもらってこんな良いお部屋に住ませてもらって衣食住何も困っていないから、給料をもらっても何に使っていいか分からない。という理由で受け取るのを断っていた。
こんな事になるなら少しだけでも給料をもらって自分で何か買っておくんだった。ランス様から頂いた物は持ってはいけない。
だから僕は『今までお世話になりました』というメッセージカードを机に置いて、特に荷造りをする事なく、手ぶらで屋敷を後にした。
⸺⸺
首都の大通りをトボトボと歩く。僕、これからどうしたらいいんだろう。急に一文無しになってしまった。
いや、お金がない事なんて正直どうでもいい。
ランス様のお側に居られなくなってしまった事がこんなにも辛いなんて。僕、ランス様の事大好きなんだ。お側にいたくてたまらないんだ。でも、僕じゃランス様のお嫁さんにはなれない。
だから、僕はランス様のお側にいちゃいけないんだ。
こんな大通りでボタボタと涙を零すのがみっともなくて恥ずかしくて、路地裏に逃げ込んでうずくまり、わんわんと泣いた。
「うぅっ……ランス様……ランス様……! 会いたいよ、ランス様……!」
⸺⸺ふわっと何か温かいものに包み込まれ、ギュッと抱きしめられた。
「良かった……見つけられて……」
「えっ、ランス様……!?」
確かにランス様が僕をキツく抱きしめている。本物だ。でも、どうして? 僕を追いかけてきてくれたの?
そんなランス様の身体は、ぶるぶると震えていた。僕の首元に、ひと粒の涙が零れ落ちた。ランス様が、泣いている……!?
「もう、離さんぞ……」
ランス様は絞り出すように震えた声でそう言った。
「どう、して……?」
「……お前を愛しているからだ、ルミエル」
「! そんな事言わないで下さい……僕じゃ、僕じゃダメなのに……」
「ダメじゃないさ」
「ダメなんです! 僕じゃ、ランス様のお嫁さんになれない……」
「……家族にはなれる」
「えっ……家族?」
思わず顔を上げ、目をぱちくりとさせた。家族って、一体どういう事だろう?
「父上は、ルミエルと養子縁組をしようとしていたんだ」
「えぇ!?」
「俺とルミエルが直接結婚をする事は出来ないが、父上がルミエルと養子縁組をし、俺とは兄弟関係は結ばない事で、間接的に俺とルミエルを男女の様なパートナーにしようとしていたようだ」
「えぇぇぇ、そんな事一言も言ってなかったし、ランス様のために決断しろって言われて、僕はてっきり出て行けって事かと思って……」
ランス様は大きく溜め息を吐いた。
「はぁ……やはりか。父上がとんでもない誤解をさせてしまっていたようで、本当にすまなかった」
「僕の……勘違いだったんだ……。じゃぁ、決断って、一体なんの……?」
「父上は、お前が俺と恋仲である事を恥じて、秘密にしているのではないかと思っていたらしい。それで、お前の自尊心を傷つけまいと言葉を選びに選んだ結果、関係を認める"決断"をしろと、そういう意味で……」
「何それややこしい!?」
「……全くだ」
でも、旦那様は僕を追い出そうとしているどころか、正式に家族として迎え入れようとしてくれていたんだ。後でたくさんお礼を言わないと。
こうして僕の家出は1時間足らずで終わりを迎え、ディオール公爵の屋敷へと戻った。
ランス様からは付き人とという仕事の給料をあげたいと何度も言われたけど、助けてもらってこんな良いお部屋に住ませてもらって衣食住何も困っていないから、給料をもらっても何に使っていいか分からない。という理由で受け取るのを断っていた。
こんな事になるなら少しだけでも給料をもらって自分で何か買っておくんだった。ランス様から頂いた物は持ってはいけない。
だから僕は『今までお世話になりました』というメッセージカードを机に置いて、特に荷造りをする事なく、手ぶらで屋敷を後にした。
⸺⸺
首都の大通りをトボトボと歩く。僕、これからどうしたらいいんだろう。急に一文無しになってしまった。
いや、お金がない事なんて正直どうでもいい。
ランス様のお側に居られなくなってしまった事がこんなにも辛いなんて。僕、ランス様の事大好きなんだ。お側にいたくてたまらないんだ。でも、僕じゃランス様のお嫁さんにはなれない。
だから、僕はランス様のお側にいちゃいけないんだ。
こんな大通りでボタボタと涙を零すのがみっともなくて恥ずかしくて、路地裏に逃げ込んでうずくまり、わんわんと泣いた。
「うぅっ……ランス様……ランス様……! 会いたいよ、ランス様……!」
⸺⸺ふわっと何か温かいものに包み込まれ、ギュッと抱きしめられた。
「良かった……見つけられて……」
「えっ、ランス様……!?」
確かにランス様が僕をキツく抱きしめている。本物だ。でも、どうして? 僕を追いかけてきてくれたの?
そんなランス様の身体は、ぶるぶると震えていた。僕の首元に、ひと粒の涙が零れ落ちた。ランス様が、泣いている……!?
「もう、離さんぞ……」
ランス様は絞り出すように震えた声でそう言った。
「どう、して……?」
「……お前を愛しているからだ、ルミエル」
「! そんな事言わないで下さい……僕じゃ、僕じゃダメなのに……」
「ダメじゃないさ」
「ダメなんです! 僕じゃ、ランス様のお嫁さんになれない……」
「……家族にはなれる」
「えっ……家族?」
思わず顔を上げ、目をぱちくりとさせた。家族って、一体どういう事だろう?
「父上は、ルミエルと養子縁組をしようとしていたんだ」
「えぇ!?」
「俺とルミエルが直接結婚をする事は出来ないが、父上がルミエルと養子縁組をし、俺とは兄弟関係は結ばない事で、間接的に俺とルミエルを男女の様なパートナーにしようとしていたようだ」
「えぇぇぇ、そんな事一言も言ってなかったし、ランス様のために決断しろって言われて、僕はてっきり出て行けって事かと思って……」
ランス様は大きく溜め息を吐いた。
「はぁ……やはりか。父上がとんでもない誤解をさせてしまっていたようで、本当にすまなかった」
「僕の……勘違いだったんだ……。じゃぁ、決断って、一体なんの……?」
「父上は、お前が俺と恋仲である事を恥じて、秘密にしているのではないかと思っていたらしい。それで、お前の自尊心を傷つけまいと言葉を選びに選んだ結果、関係を認める"決断"をしろと、そういう意味で……」
「何それややこしい!?」
「……全くだ」
でも、旦那様は僕を追い出そうとしているどころか、正式に家族として迎え入れようとしてくれていたんだ。後でたくさんお礼を言わないと。
こうして僕の家出は1時間足らずで終わりを迎え、ディオール公爵の屋敷へと戻った。
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