【完結】婚約破棄された僕は過保護な王太子殿下とドS級冒険者に溺愛されながら召喚士としての新しい人生を歩みます

八神紫音

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2話 王太子殿下

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⸺⸺バルニエ孤児院⸺⸺

「院長先生……いる?」
 孤児院、ちっとも変わってないや。懐かしさになんだか目頭が熱くなる。
 自然と実家に帰ったような温かさを感じて院長先生を探すと、あの頃より少し老けた良く知ったおじさんと、見知らぬ美青年がテーブルで話をしていた。

「ルカ!? ルカじゃないか! 何と言うタイミングで……」
 院長先生がそう出迎えてくれると、彼の向かいに座っていた美青年がグッと割って入ってきた。
「君がルカか! なんと可愛らしい……あぁ、じゃなかった、こんなジャストなタイミングでここを訪れてくれるとは、運命なのだろうか……」
「あ、あの……あなたは? ジャストなタイミングって何ですか?」
 思っていた展開と真逆の展開に頭が混乱してくる。とてもゆっくり考える時間なんてなさそうだ。

 この美青年はそんな僕を更に混乱させる一言を放った。
「申し遅れた、私はアルフレッド・バルニエ。君の腹違いの兄だ」
「……え?」
 その短い自己紹介の中にいくつもの信じられないような情報が詰め込まれていて、僕の思考は完全に停止した。
「あぁ、ルカ、固まってしまったね……」
 と、院長先生。
「おや、少し事を急ぎすぎたようだ……ルカ、大丈夫かい、ルカ?」

 "バルニエ"って言ったらこの国の名前で……それに僕がこの人の腹違いの弟?
 それってつまり……?
「お、王太子殿下!? その殿下が兄って何!?」
 僕のパニックは頂点に達する。
「お、落ち着いてくれ、ルカ。どうか落ち着いて聞いてほしい。まずは深呼吸だ、吸ってー、吐いてー」
「すー……はー……」
 殿下の言う通りに深呼吸をすると、ちょっとだけ落ち着いたような気がして、そのまま院長先生が座っていた席に着かされた。

 殿下も向かいに座り直し、口を開く。
「昨晩、父上である国王陛下が城の使用人との間に子をもうけていたことが明らかになった。使用人の女性は身体が弱く、子を産んですぐに亡くなってしまったそうだ。そのため父上はこの孤児院の前に子を置いていった。それがルカ、君なんだ……」
「えぇ……なんか、信じられません……それに、何で今になってそんな話……」
「父上はずっと君の事が気がかりだったそうだ。そんな折、王立学院で魔道コンクールがあっただろう?」
「あ、はい……僕は予選敗退でしたが……」
「ははは……。父上も来賓として会場を訪れていたんだ。その時の君の魔力を感じてピンと来たらしくてね、こっそり魔力鑑定をしたところ、父上との親子関係が証明されたんだ」
「そ、そんな事が……」
 僕の魔力にピンとくるなんて、捨てたその時の魔力を覚えていたってことか……。

「父上がなんだか塞ぎ込んだ様子だったので問い詰めたところ、私にだけその話をしてくれたんだ。魔力鑑定証も丁寧にとってあった。声をかけたいが怖くてかけられない……そういう感じだった。ただ、ちゃんと生きていてホッとしている、とも仰っていたよ」
「そう、ですか……」

 なんだか複雑だ。僕を孤児院に置いていった親の事なんて今まで考えた事もなかった、と言うか考えないようにしていた。
 でも、王太子殿下の口ぶりから国王陛下が僕の事をずっと心配してくれていて、今も気にかけてくれている事は分かる。
 立場上、めかけですらない使用人との子だから公に出来なかったって言うのも、もう子どもじゃないし、理解出来る。

「私も兄弟はいないと思っていたから、弟がいるなら是非会ってみたいと思ってね、同時に父上から、幸せでやっているのか見てきてほしいとも言われた。学院の情報から君がハプソン家の養子になっていることは分かっていたが、あまり大きな騒ぎにしないために、まずはこの孤児院を訪れたという訳なんだ」
「……」
 決して幸せな生活ではなかった。どうしよう、なんて言うべきだろうか。

「そう言えば、ルカはどうしてここに来たんだい? 何か用事があったのだろう」
 と、院長先生。

 そうだ。そうだった。僕は家を追い出されたんだ。どうせ誤魔化したってハプソン家が養子を勘当した事なんてすぐに分かる。ありのままを言えばいいんだ。

「僕、家を追い出されたんです……」

「「はぁ!?」」
 今度は王太子殿下と院長先生が固まってしまった。
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