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第二章 「主人公」と「憧れ」
第二十一話
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おそらくこれがモノクロームの能力なのだろう。
『アクセサリー』、能力の塊を生成している。モノクロームの持つアクセサリーがあれば、その所持者には能力が付与される。今ならば、モノクロームには『治癒能力』も宿っている。
「これで大丈夫です。無効化を一瞬解きます」
聞いた店長は目を伏せ微かに口角を上げる。両腕のガトリングを撃ち続けつつ、「ああ」と小さく声を上げて。
「丁度いい、弾が尽きるところだった」
「私はその間にシオンの傷を治癒します。今のままでは逃げるのも難しいですから」
「わかったよ。なら俺は閃光弾と発煙筒を撃ちだす。閃光でこっちも目がくらまないように壁を立て、相手さんが戸惑っている内に飛行用の機械を生成する」
会話の最中、上方から向かってきた半径一メートル程度の火球。迫るそれをモノクロームが障壁で妨げれば、「燃料は?」と目を細めながら問いかけた。
それに店長はにやりと笑う。
「今ならば火薬だって作れるんだぞ」
「そうでしたね。開花というのは本当に破格です」
困ったように微笑んだモノクローム。柔らかな笑顔、そして俺をちらと見る。目があえば、彼女は再び微笑む。
胸がざわつく、これまで味わってこなかった感覚。
人たらしだ、本当にこの女性は。
数歩歩み寄ってくれば、黙って俺の手の甲へと両手を伸ばす。俺の目の前、目を伏せ、撫でるようにその傷に触れた。
患部が淡い光に包まれる。心地の良い光、患部が埋まっていくのがよくわかる。これが……鼓を包んでいた光だ。
「あまあまなのはいいが時間がないっ! 行くぞ、お二人さんっ!」
声の元を振り返れば、そこには空を飛ぶための機械に乗り込んだ店長がいる。
路地の上、無理やりに形成された滑走路。路地の直線部、数メートル上方、それは立体的に無理やりに形成されている。
滑走路の先に道を阻む壁があるからか、はたまた飛び立ちを容易にするためか、滑走路の先はぐいと反り立っていた。
「今行きます! シオン、気を付けてください!」
同時に地面がせりあがる。勢いよく突きあがったそれが止まった先は滑走路の手前だ。
店長が乗り込んでいるジェット機のすぐ後方部。少し地面が離れていてその距離を飛び越える必要はあるが、距離としてはたかだか一メートルほどの距離だ。常人ならば容易く飛び越えられる。
「行きましょう」
「はい、今すぐに」
一言交わし、店長の乗る機械へと向かう。操縦席へと入りこんだ店長、その後ろの座席側へと足を走らせる。
やけに耳につく甲高い音を立てる推進部、そこを挟んだ左側、扉を開ければ中へと入る。
『アクセサリー』、能力の塊を生成している。モノクロームの持つアクセサリーがあれば、その所持者には能力が付与される。今ならば、モノクロームには『治癒能力』も宿っている。
「これで大丈夫です。無効化を一瞬解きます」
聞いた店長は目を伏せ微かに口角を上げる。両腕のガトリングを撃ち続けつつ、「ああ」と小さく声を上げて。
「丁度いい、弾が尽きるところだった」
「私はその間にシオンの傷を治癒します。今のままでは逃げるのも難しいですから」
「わかったよ。なら俺は閃光弾と発煙筒を撃ちだす。閃光でこっちも目がくらまないように壁を立て、相手さんが戸惑っている内に飛行用の機械を生成する」
会話の最中、上方から向かってきた半径一メートル程度の火球。迫るそれをモノクロームが障壁で妨げれば、「燃料は?」と目を細めながら問いかけた。
それに店長はにやりと笑う。
「今ならば火薬だって作れるんだぞ」
「そうでしたね。開花というのは本当に破格です」
困ったように微笑んだモノクローム。柔らかな笑顔、そして俺をちらと見る。目があえば、彼女は再び微笑む。
胸がざわつく、これまで味わってこなかった感覚。
人たらしだ、本当にこの女性は。
数歩歩み寄ってくれば、黙って俺の手の甲へと両手を伸ばす。俺の目の前、目を伏せ、撫でるようにその傷に触れた。
患部が淡い光に包まれる。心地の良い光、患部が埋まっていくのがよくわかる。これが……鼓を包んでいた光だ。
「あまあまなのはいいが時間がないっ! 行くぞ、お二人さんっ!」
声の元を振り返れば、そこには空を飛ぶための機械に乗り込んだ店長がいる。
路地の上、無理やりに形成された滑走路。路地の直線部、数メートル上方、それは立体的に無理やりに形成されている。
滑走路の先に道を阻む壁があるからか、はたまた飛び立ちを容易にするためか、滑走路の先はぐいと反り立っていた。
「今行きます! シオン、気を付けてください!」
同時に地面がせりあがる。勢いよく突きあがったそれが止まった先は滑走路の手前だ。
店長が乗り込んでいるジェット機のすぐ後方部。少し地面が離れていてその距離を飛び越える必要はあるが、距離としてはたかだか一メートルほどの距離だ。常人ならば容易く飛び越えられる。
「行きましょう」
「はい、今すぐに」
一言交わし、店長の乗る機械へと向かう。操縦席へと入りこんだ店長、その後ろの座席側へと足を走らせる。
やけに耳につく甲高い音を立てる推進部、そこを挟んだ左側、扉を開ければ中へと入る。
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