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第五章 「結末」
第十一話
しおりを挟む穂瑞をモノクロームは切なげに見ていた。かと思えば、一度肩で息をして、そうして決意したように言い放つのだ。力強い言葉を。
「私が運命操作のアクセサリーを作ってあなたの姿を戻します」
穂瑞がうつろな目を大きく見開いた。そして動揺交じり、焦ったように口走る。
「なんで私に固執するっ」
するとモノクロームは俺をちらと見た。そして微笑んだかと思えば、空を見て吐露するように言葉を溢した。穂瑞の代わりに空へとやるせなさを伝えるように。
「あなたは……少しシオンに似ているから」
「外見がか?」
「むしろ内面が、ですよ」
それだけ告げ、モノクロームが穂瑞を抱える。そのまま向かった先は路地だった。先ほど伝ってきた道、その道脇だ。
少し重い足取り、それでも一歩一歩と確かにその脚を進めていく。そうして道脇へと辿り着けば、穂瑞をその壁へと降ろす。
壁に持たれかかった穂瑞、その姿は一見すれば、穏やかに眠っている一人の女性の姿でしかない。
それを見て、ほっと息をついたモノクローム。続けて彼女は、俺にわずかに聞こえるほどの声で憂いた感情を溢すのだ。
「あなたが鼓と因縁があるように、私は穂瑞と因縁があるのかもしれませんね」
憂いているが、思いはせているようでもある。そんなモノクロームに告げる言葉は見当たらない、ただそっとしておくべきだと心の底から声がしていた。
ただそんな時だった、そんな最悪のタイミングで、あの男がここに来た。今、最も会いたくない男と俺たちは出会ってしまったのだ。
毛先の整った肩までありそうな長髪。雨でもその髪型は大きくは崩れず、整えられたままに顔に張り付いている。
細身の身体。黒色のコートを羽織り、その下には白いシャツが見える。ぴっちりしたジーパンは、膝元に微かなダメージが入っている。
この少年を、俺は知っている。
「お前ら、アスピレーションの……」
鼓だ。最悪のタイミングだ。まさかこのタイミングで出会うとは。噂をすれば影が差す、嫌な諺が実現したものだ。
驚いたように声を上げた鼓の後方、十数人の能力者がいる。鼓が先頭に立っている辺り、おそらく彼が率いている集団なのだろう。随分と躍進したものだ、この男は。
「隔離の能力者もいる、やはりお前らはそっち側だったんだな……」
悲し気にこちらを見た鼓、俺からすれば演技にしか見えなかった。主観が混じっている、俺はこの男への嫌悪感が強い。しかしそれを抜いても、この男は俺には偽善者にしか見えなかった。
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