枯れない花

南都

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第五章 「結末」

第二十五話

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「俺も戦います。ようやく、俺も戦えるんです」

 機械腕を解除し、アクセサリーを身にまとう。
 手首へとブレスレットをつけ、首元にネックレスを掛ける。不器用な手つきでイヤリングをつければ、最後の戦いに向け一度大きく息を吸い込んでみる。

 身体が動くことでネックレスが音を奏でた。アクセサリーなど、男には本来似合わない。
 あまつさえ俺のような人間ともなれば、不相応にも程がある。そぐわない、それでもモノクロームのためならば。

 そして再び腕に機械を纏わせる。そうしてアクセサリーの浮遊を用いて体を浮かせる。
 そんな俺を見上げたモノクローム、その目は不安げだった。

 しかし何かを決心したかのように「そうですね」と一度目を伏せれば、四つの両剣と共に体を宙に浮かせる。そして見上げた先、俺の先を見たモノクロームの目にはミーファが映っている。
 空で停止し、舞い踊るように満月の光の下で空へと昇っていくミーファが。

 並んで昇っていく上空、遠くなっていく地面。ひたすらに昇りつづけるミーファを追って行けば、ある地点で彼女はこちらを振り返り動きを止めた。
 地表から三キロメートル近く離れたその場所、白い月明かりの逆光を受けて黒のシルエットとなった少女。その少女はぴんと、俺たちを指さした。

「さあ、始めましょう。手加減はなし。最後の戦いよ、勝敗に関わらず、ね」

 いずれにしても能力は消える。ミーファの言うように、これが正真正銘最後の戦い。

 突如、襲ってきたのは先ほどと同じ言葉には表し難い圧迫感。

 この精神的な圧迫、『能力』によるものだ。最初は彼女の存在からの威圧感から来るものと思っていた、しかし確実に精神的に追い込む力が働いている。
 それが分かったのならば、こちらも対処のしようがある。

 回帰で周囲の能力を掻き消す。何を掻き消しているのかは定かではない。
 それでも確かに存在するそれを無効化する。同時に体は途端に軽くなり、ミーファから感じていた直視できない威圧感は消え去っていく。

 ミーファは上機嫌に駆け回る。星と星とを飛び回るように、ひたすらに宙を揺れ動く。

「ビンゴ。それにしても、その能力は悪くない。未来視よりもずっと厄介ね」

 そうして天真爛漫な様子と共ににぃと笑えば、腕を広げてくるっと回る。

 黒く丈の長いワンピースが花のように広がり、それを照らす月明かりはフリルの立体感を際立たせる。そうして正面へと体が戻れば、指で作った銃の銃口をこちらに向けた。

 ぴんと伸びた人差し指、銃を見立てたその指で狙っているのは、蒼く光ったモノクロームの瞳だ。

「そもそも未来視は効かないわ。そんなもの本来は空理空論よ、現実だけで戦いましょう」

 告げてミーファが空を駆ければ、どこからともなく表れた吹雪が俺たちを襲う。
 視界が奪われるような雪、桜の混じったその強風を回帰で消し去れば、反撃とばかりに機械腕の機関銃を発砲する。

 しかしそれは彼女には当たらない。いや、当たっていても傷を負わない。
 空を駆けているとはいえ、弾はいくつか当たっている。それでも表情の一つも変わらないのだ。

 追って放つは光線とかまいたち。
 その双方へは「これは怖いな」と反応を見せ、そして手を向ければその二つはミーファに辿り着くことなく消える。
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